
飛騨高山で目覚める。
朝風呂に入り、ビュッフェで軽めの朝食、支度して濃飛バスセンターへ向かう。
8時過ぎ、高山はまだ涼しい。
新穂高行きのバスは平日なのに一台増便して二台で運行する。
バスの中はほぼインバウンドツアー客、モンゴロイドは少数派だった。
8時40分発、市街地を出るとバスの車窓に夏の花がちらほら見え始めた。
路肩にギボウシが咲いている。
乗鞍への乗り換え「ほおのき平」で降りたのは僕ら二人だけだった。

畳平行きバスはすぐにのり9時30分発、すぐに乗り継げた。
以前はレンタカーで登ったつづれ織りの坂をバスは登る。
途中、槍穂高連峰が見える展望地を通過、やがて森林限界を超えハイマツ帯になる。

青い空と緑の丘、テンションが上げる。
ハクサンイチゲらしき白い花や、キンバイらし黄色い花、コマクサもちらほら見える。
これが夏山。
尾崎喜八に「お花畠」という詩がある。
いちばん楽しかった時を考えると、
高山の花のあひだで暮らした
あの透明な美酒のやうな幸福の
夏の幾日がおもわれる。
残雪や岩のほとりの
どんな花でも嘆賞に値したし、
あらゆる花が夕べの空や星辰の
深い意味を持っていた。
そこに空気は香り、
太陽の光は純粋に、
短かい休暇が私にとっては永遠だった
私に人生といえるものがあるなら、あたなと過ごしたあの夏の日々、という歌も思い出した。
それは今日のような一日、花々が咲き乱れる高山の野を歩いた日のことなのかもしれない。
今回の山歩き唯一の目的は、夏山の世界に身を浸すこと、言わば夏山浴。
結果として、青空、百花繚乱、霧の谷、雷雨…夏山の洗礼を受けた。
そんな一日、行動録のみ記して、後日に写真をまとめてアップしようと思う。











〈行動録〉2025/7/24
10蒔過ぎ、バスが畳平に到着。いきなり標高2702mに立つ。気温12℃ 涼しい。
目の前の魔王岳の登り口にコマクサのピンク色が見えてテンションが上がる。
バス停のある場所からお花畑へ階段を下る。
今回は乗鞍の最高峰(剣ヶ峰 3026m)に登るつもりはない。
フラット登山を決めこむ。
お花畑を抜けて、肩の小屋が見える頃、雲行きが怪しくなる。
大粒の雨が降り出す。
タイミング良く小屋に逃げこむ。
12時過ぎ、コンビニおにぎり2個と宿の朝食ビュッフェでパクってきた温泉卵で昼食とする。
雨が小止みになる。
小学生のグループが下っていった雪渓あたりを歩く。
花の種類を上げると切りがないので割愛。
ことしは季節進行が早くハクサンイチゲが終わり、チングルマも稚児車になっている。
コマクサは最盛期は過ぎたがまだ元気で大群落を作っていた。
富士見岳の斜面をぐるりと埋め尽くす大群落は圧巻だった。
岩手山でも見たが、ここはそれ以上の規模で感動した。
畳平へ戻る途中、ふたたび雷鳴。
また大粒の雨が降り始めた。
いきなりどしゃ降りになる。
ストームクルーザーは上だけでパンツを履かなかったことを後悔しても遅い。
下半身はずぶ濡れになって歩く。
畳平では早々にバスで帰る人が集まっていた。
まだ時間の余裕があるので、雨が上がりガスが出た頃にお花畑を一周する。
富士見岳の斜面にもういちど戻る。
圧巻のコマクサ大群落。
15時半のバスで帰途に就く。










ほおのき平を経て、高山に戻ったのは17時過ぎ。
高山も夕立があったようでアスファルトが濡れていた。
駅で帰りのチケットと夕食の弁当を買う。
宿に戻ったらもう出たくない。
風呂に入って、オールスターを見て、夜鳴きそばを食べて寝るだけだ。
雨で空気が洗われたか、13階の露天風呂から北アルプスがクリアに見えた。



原色に近い夏の空、緑の丘、霧の谷、花の斜面、雷雨の洗礼… 夏山浴の一日だった。
これが “一日の王” になった、というのだろう。