思わぬ場所で薬草に逢う。
「残暑」とは言うけれど、
今年の空気には秋の気配なんて
少しもありません。
暦の上では進んでいるはずなのに、
暑さがまだ居座っていて、
ほんとうに季節は
移ろっているのだろうかと
疑いたくなるほどです。
どこかで大雨を降らせて
いるんだなと思うと、
空の大きな呼吸を感じる
ようで、少し胸が
ざわつきます。
さて、そんなある日。裏庭に
回ってみたら、雨樋の接着が
外れて水が直接落ちるように
なっていました。
最初は「どうしようもないな」
とため息。
でも、放っておくわけにも
いかず、とうとう腹を
くくって修理を決意。
気持ちを切り替えて裏手
へ回ると…そこで出会ったのが、
まさかの光景。
砂利を敷いて雑草が
生えないようにした
はずの場所に、どくだみが
規則正しく並んで群生して
いるのです。
「なんでこんなところに…?」
思わず声が漏れました。
処分しなきゃ、と家内に
相談したら、
「近所のおばさんが
欲しがってるから、枯れるまで
置いておいてあげて」
さらに「この花、白くて
かわいいでしょう」と。
その言葉にふと足を止めて、
見直しました。
たしかに、素朴で清らかな白。
真夏の光に可憐に咲いていて、
強烈な匂いを放つどくだみ
とは思えない可憐さが
あります。
砂利の隙間にも根を張り、
懸命に生きている姿に、
「植物って、つよいなあ」
「邪魔者」ではなく、「恵みの草」
として昔の人は大事に
してきたんですよね。
気づけば、私も少し見方を
変えていました。
そういえばなんの為にここへ
来たんだっけ。
忘れてました。まあこれも
愛嬌かな。またの機会にでも
とドクダミに理由を付けて。
●一口メモ●
①どくだみは乾燥させて煎じると
利尿作用があり、薬草茶として
親しまれています。
②独特の匂いの正体は
「ラウリンアルデヒド」。
⓷せんぶりやげんのしょうこと
並び、「十薬」と呼ばれる
身近な薬草。
④漢方薬としても、民間の
暮らしの中でも長く利用
されてきました。
暑さにため息をつきつつ、裏庭で見つけたどくだみの花。
思いがけない出会いに、心が少しやわらぎました。
ありがとうございました。
完。。