けれども、この慈悲心の目的は、人々に同じ心を起こさせることであるから、それは教えを説き、悟りを示すということになる。
金品を施して、生活を安らかにするということもあるが、「本心」を得るということこそ最大の善であるからして、教化することが、すなわち智慧を施すということが、慈悲の中身となるのである。
だからお大師様も『三昧耶戒(さんまやかい)の序』の中で
苦しみを取り去り、楽しみを与えるには…教えを授けるのが一番良い
と申されたのである。
このように智慧を施し、教えを説き教化するということが「(菩提心)論」にゆうてある勝義心(しょうぎしん)すなわち智慧なのである。
つづく
(本文の読みやすさを考慮し、原文からカナを漢字に改め、句読点を変更し、()にて原文を補った。)

神代峻通師 近影