「死にてえよ」
お爺さんが情けない顔でこちらを見上げている。
「こう暑くっちゃ」
赤の他人に、面と向かって言うかな?そういうこと!
バス停にはわたしとお爺さんしかいない。
「ここはまだマシですよ。風がある」慰めるわたし。
「今K区から来たんですが、向こうはもっと暑いですよ」
へえ、そうなの?という顔のお爺さん。
でも「死にてえよ」
また言った。
「今日はお早かったんですか?」
「息子が……」
ああ、息子さんがお盆に帰ってきて、見送りにでも出たのかな?それで、想像以上にあまりにも暑くて、へたばっている訳だ。
「ああ、死にてえ」
「もうすぐですよ」
ビックリするお爺さん。
「もう暑さもピークですよもうちょっとの辛抱ですよ」
そらそうだ。という顔のお爺さん。
あなたの寿命がもうすぐじゃなくて、暑さがな!

Oleg Yudin
お爺さんに言えなかったこと。
「神様はこちらの都合で終わりにしてくれない」
『神様は喜劇がお好き』