神に捧げる絹ごろも
穢れを知らぬ乙女がひとり
仮の織屋で機を織る
乙女には、誰にも知られぬ愛しい恋人がいた。
織り小屋を抜け出し、人目を忍ぶ逢瀬。
ある日、純白の絹ごろもが朱に染まる。
もう神に捧げることは出来ない。織り子たちが引っ立てられる。
「この中に咎を犯した者がいる!」
織り子は神への冒涜の罪で投獄される。
責め立てられても、相手の名を決して言わない。
牢獄の格子に糸を括り、
「もう一度恋人に会えますように」と願をかける。
恋人は巫女を犯した大罪人。
家族が恐れ、閉じ込める。
ようやく抜け出し、織り子もとへ走るが、既に処刑された後だった。
恋人は嘆き悲しみ、来世での逢瀬を誓い川に身を投げる。
神にその身を捧げたはずの巫女が、姦通し処刑された。
歴史のヒダの中に埋れ、忘れ去られた事実。
誰もが知っている(と思っている)織姫彦星の七夕伝説と史実を、
わたしはいつもの妄想で、物語に織り上げたしだいです。
その後、二人がどうなったか……、
それは皆さんご存知の通り。
