良いリーダーは「すぐに任せる」と巷間では言われている。
エメットの法則というものがある。
「仕事を先延ばしにすることは、片付けることよりも倍の時間とエネルギーを要する」
エメットの法則 - Wikipedia
仕事は先延ばしにしない方が良い。特にマネージャーはそうである。マネージャーが仕事を抱え込むことは罪である。チーム全体にその悪影響が増幅される。
うん、そうだよね。知っている。
ピーターの法則というものがある。
能力主義の階層社会では、人間は能力の極限まで出世する。したがって、有能な平(ひら)構成員は、無能な中間管理職になる。
ピーターの法則 - Wikipedia
無能な中間管理職を抜け出すにはプレーヤーとしての能力とは別の管理職としての能力を開花させねばならない。それは「自分で課題を解決する能力」から「他人に課題を解決させる能力」にシフトする。
マネージャーが課題を解決するのは部下の打席を奪うことになるし、手放すことはリスクではなく、信頼につながるのだ。またプレイングに固執しては、マネージャーとしての成長に繋がらない。
うん、そうだよね。知っている。
知っているのだけど、最近、適度に仕事を抱えておきたい、自分が取り組む課題を持っていたい、という気持ちが強くなっているのである。
アンチパターンだろうと思いながら、なぜそう思うのか自己分析してみる。考えて浮かんだのは以下の4つである。
- すぐ手放すことが無責任であるように感じる
- 自分が解決することにこだわりたい。問題解決能力を衰えさせたくない
- レイヤーごとに適切な課題があると考えている
- 寝かせることで、あるいは複数の課題を抱えることで出せる答えがある
課題の手触りを確かめ、解決可能性を考慮した上で、然るべき道筋と共に任せるのは責任感のある行動だが、自分が咀嚼できていない課題を右から左にスルーするのが良いと思えない。
先ほど挙げたピーターの法則で言うと、せっかく伸ばしたポジションに応じた能力を使わないのは勿体ないのでは?と思ってしまう。人に任せていては、いずれ能力が錆びついてしまうのではという恐怖感もあるし、「問題解決すること」が好きなのだ。
また、「任せられない課題」があるはずだという考えもある。マネージャーにはマネージャーの課題があり、レイヤーが上がれば上がったレイヤーに合わせた課題があるはず。解決できる課題を他人に任せて回っているというのは、実は向き合うべき課題が見えていない、目を逸らしているのではないか。
最後に、ある程度の課題を持ち続けることで、その問題について意識し続ける時間を長く持てる。そういった状況で、特に複数の課題が時に結びついて解決することがあったりする。
自分の好きなマンガ『3月のライオン』には次のようなシーンがある。
桐山の脳は そのハードディスクがパーテーション分けされていない為 1個何かについて考え出すと 全ての考え事に対する読み筋が同時に全部展開を始めます
羽海野チカ『3月のライオン』11巻 Chapter 114 p.153 より
主人公の桐山くんが、目の前の将棋の対局、お世話になっている家族の将来、などを同時に考えている結果、小学生の時からずっと解けなかった詰将棋が突然解ける、というシーンに繋がる。
この感覚に共感があるんだよな。適度に課題を持ち続けた結果、何かの拍子にそれが解けたり、何かと何かが不意に結びついて大きく前進する。そんな体験を求めて課題を自分の中に幾つか留めている。
さて、この記事を読んだ同僚は、「いや大西は課題を抱えすぎているでしょ」「適度じゃないでしょ」とツッコミたくなるだろう。
そうなのだ。今この瞬間、適度を超える課題を幾つも抱え込んでしまっている自覚が自分にもある。このままじゃいかん、自分で解決すべき課題、他人に任せるべき課題をしっかり見極めていかないといけない。という気持ちを忘れないようにブログにも記しておく。
これはonishiアドベントカレンダー2025、12日目の記事です。