性犯罪犯人が撮影した児童が性器露出している画像は「性欲を興奮させ又は刺激するもの」か?
最近、性器露出画像だと「性欲を興奮させ又は刺激するもの」とされることが多いのですが、
東京地裁r6.11.29
男湯の男児について
また、被告人が撮影した画像等は、いずれも殊更に性器が露出された男児の姿態であり、それ自体として、見る者にそのような男児の姿態を盗撮したものであることを想起させるものであることからすれば、性欲を興奮・刺激するものであることは明らかである。弁護人の主張(4)は採用できない。↓
東京高裁r070704
(2)論旨(弁護人)は、男湯やその脱衣所に男児が裸でいる光景は自然な姿で、社会通念上許容されたものであるから、本法2条3項3号所定の「性欲を興奮させ又は刺激するもの」に当たらないとして、原判決が、原判示第4の撮影行為により記録保存された動画及び静止画のデータが同号所定の児童ポルノに当たると判 ○ G ① 断し、児童ポルノ製造罪の成立を認めたことには法令適用の誤りがある、という。
しかし、原判決がおおむね指摘するとおり、被告人が撮影した動画及び静止画は、いずれも衣服の全部又は一部を着けず、殊更に性器が露出された男児の姿態を撮影しているものであり、その姿が浴場や脱衣所において自然なことであるとしても、その姿態を盗撮して動画や静止画のデータとされたものは、性欲を興奮させ、刺激するものである。
原判決に所論の法令適用の誤りはない。
高裁判例をよく読むと、性器露出だけでは「性欲を興奮させ又は刺激するもの」にはなりません。
東京高裁h30.1.30は「具体的には、トイレに座る画像、一部着衣してあどけなく座る画像、児童を拘束している画像、上半身裸の男児の目や口をガムテープで塞ぎ両手を緊縛した画像で性器が映っていないもの、児童が突っ立っている画像を挙げ、これらの画像を撮影した行為について児童ポルノ製造罪を認めた原判決には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令適用の誤りがある、というのである。~論旨は理由がない」と判示するので、あたかも「トイレに座る画像、一部着衣してあどけなく座る画像、児童が突っ立っている画像」が3号ポルノとされているように読めますが、東京高裁が「原判決は、公訴事実に含まれる各画像を個別に検討し、一部の画像を性欲を興奮させ又は刺激するものに該当しないとするなど、児童ポルノの該当性を慎重に判断しており、所論指摘の画像の撮影行為をいずれも児童ポルノに該当するとした原判決の判断は不合理ではない。」として追認した1審判決(横浜地裁h28.7.20)で「甲228号証及び甲230号証の各画像中、一部の画像(甲228号証添付資料12の写真1ないし17、甲230号証添付資料2の写真1ないし5、同資料7の写真6ないし10、同資料10の写真1、2、同資料11の写真3、同資料15の写真1、2、8ないし13及び15)については、被害児童が衣服の全部又は一部を着けない状態にはあるものの、通常の沐浴をしている情景としか見られないなど、性欲を興奮させ又は刺激するものに該当しないと判断したため、これらの画像については児童ポルノ製造罪は成立しない。」として無罪になった画像は、結構たくさんあって(17+5+5+2+1+9=39画像)、「沐浴画像」だけではなく「トイレに座る画像、一部着衣してあどけなく座る画像、児童が突っ立っている画像」なんですよ。東京高裁はそれらは児童ポルノではないとしつつ「トイレに座る画像、一部着衣してあどけなく座る画像、児童を拘束している画像、上半身裸の男児の目や口をガムテープで塞ぎ両手を緊縛した画像で性器が映っていないもの、児童が突っ立っている画像」は児童ポルノだというのです。
■28260882
東京高等裁判所
平成28年(う)第1687号
平成30年01月30日
上記の者に対する保護責任者遺棄致傷、強制わいせつ、児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反、強制わいせつ(変更後の訴因わいせつ誘拐、強制わいせつ)、殺人、強制わいせつ致傷被告事件について、平成28年7月20日横浜地方裁判所が言い渡した判決に対し、検察官及び被告人から各控訴の申立てがあったので、当裁判所は、検察官星景子出席の上審理し、次のとおり判決する。
理由
※ 以下、AからIまでは、それぞれ別紙記載の被害者の氏名を表す。
第1 本件各控訴の趣意及び各答弁
検察官の本件控訴の趣意は検察官作成の控訴趣意書に、これに対する答弁は主任弁護人小松圭介ら作成の答弁書に、被告人の本件控訴の趣意は同主任弁護人ら作成の控訴趣意書、弁護人奥村徹作成の控訴趣意書、訂正申立書、平成29年9月12日付け及び同年10月3日付け各控訴趣意補充書に、これに対する答弁は検察官作成の答弁書にそれぞれ記載されたとおりである。
検察官の論旨は、量刑不当の主張であり、弁護人の論旨は、事実誤認、法令適用の誤り、訴訟手続の法令違反、量刑不当の主張である。
・・・・・・・・・
(2) 論旨は、また、原判決が児童ポルノと認めた画像の中には、一般人の性欲を興奮又は刺激させないものが含まれているとして、具体的には、トイレに座る画像、一部着衣してあどけなく座る画像、児童を拘束している画像、上半身裸の男児の目や口をガムテープで塞ぎ両手を緊縛した画像で性器が映っていないもの、児童が突っ立っている画像を挙げ、これらの画像を撮影した行為について児童ポルノ製造罪を認めた原判決には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令適用の誤りがある、というのである。
しかし、原判決は、公訴事実に含まれる各画像を個別に検討し、一部の画像を性欲を興奮させ又は刺激するものに該当しないとするなど、児童ポルノの該当性を慎重に判断しており、所論指摘の画像の撮影行為をいずれも児童ポルノに該当するとした原判決の判断は不合理ではない。トイレに座る画像、一部着衣してあどけなく座る画像、児童が突っ立っている画像であって、児童に殊更扇情的な姿態をとらせたものではなくても、性器を殊更露出させたものであれば、一般人の性欲を興奮させ又は刺激するものといえる。また、全裸で両手を縛った画像や性器をひもで緊縛するなどして児童を拘束している画像や、上半身裸の男児の目、口をガムテープで塞ぎ両手を緊縛した画像も、一般人の性欲を興奮させ又は刺激するものといえる。所論は、少年アイドルの上半身裸の写真や小学生の水泳の写真と同視でき、児童ポルノに該当しないとも主張するが、それらは、画像から読み取れる姿態、場面、周囲の状況、構図等を総合的に考慮して判断するならば、一般人の性欲を興奮させ又は刺激するものとはいえないと評価されるにすぎない。なお、保護者が陰茎をつまんで撮影した写真は、児童ポルノに該当するが、その製造、所持の目的が、子供の成長の記録のためであるなどして、性的好奇心を満たす目的等に欠ける場合には、犯罪を構成しないと評価されるだけである。
■28243152
横浜地方裁判所
平成28年07月20日
第8 児童ポルノ製造事件について
甲228号証及び甲230号証の各画像中、一部の画像(甲228号証添付資料12の写真1ないし17、甲230号証添付資料2の写真1ないし5、同資料7の写真6ないし10、同資料10の写真1、2、同資料11の写真3、同資料15の写真1、2、8ないし13及び15)については、被害児童が衣服の全部又は一部を着けない状態にはあるものの、通常の沐浴をしている情景としか見られないなど、性欲を興奮させ又は刺激するものに該当しないと判断したため、これらの画像については児童ポルノ製造罪は成立しない。