以下の内容はhttps://okumuraosaka.hatenadiary.jp/entry/2025/02/27/173412より取得しました。


届出出会い系サイトの年齢確認とユーザーの年齢確認義務(青少年条例)

届出出会い系サイトの年齢確認とユーザーの年齢確認義務(青少年条例)

 だいたい児童買春をしようとする人には年齢確認義務はないのですが(児童ポルノ・児童買春法9条)、青少年条例には年齢知情条項があって淫行する際の年齢確認義務があるように見えるので、届出出会い系サイトの場合でも、利用者は年齢確認義務があるという問題があります。結論として児童買春行為には青少年条例は適用されないので、年齢確認義務もないことになります。

 裁判例では、年齢確認を尽くさなかったことなどを理由にして未必の故意を認定しているものがあります。
 検事の論稿では、風俗営業のように店側が重い年齢確認義務を負う場合には、客の年齢確認義務を緩和しようとするものもあります。
 現場の警察官の認識は、裁判例ふうの人が多い感じです。

 

沖縄簡裁平成30年4月19日
(事実認定の補足説明)
1 被告人は,金銭を対償として供与する約束をしてA子(当時l6歳)(以下「本件女性」という。)と性交した事実を認めつつ,本件女性が18歳未満であるとは知らなかったと弁解し,弁護人もこの弁解を前提として被告人は本件犯行の故意がないから無罪であると主張する。そこで,この点について,以下検討する。

2 証拠によれば,以下の事実が認められる。
(2) スマートフォンのアプリである「届出出会い系サイト」は,出会い系のメールの掲示板であり,これに登録する際には,自動車運転免許証や健康保険被保険者証等の画像による年齢確認手続が必要である(甲7,被告人の公判供述)。
 本件女性は,成人している友達の自動車運転免許証を借りて,その画像を加工した上で,同サイトに登録し,プロフィール画面では年齢を20代前半として登録していた(甲5,7)。
 他方,被告人は,同サイトのプロフィール画面では年齢を40代後半として登録していた(甲5)。
~~
(2) これに対し,被告人は,同サイトの登録の際に免許証等による年齢確認がされており,本件女性のプロフィールにある年齢が虚偽であるとは思わなかったと供述する。
 しかし,上記2(4)のとおり,18歳未満の児童が出会い系サイトを通じて知り合った男性と売春をしている例が多々あることは広く知られた事実であって,出会い系サイトヘの登録の際の年齢確認は必ずしも厳密にされているわけではない。また,プロフィールの年齢は自己申告によるものであって自動車運転免許証等の身分証明書に記載されたとおりでないことは,上記2(1),(2)のとおり,被告人も60歳のところを40代後半と登録していることからして,被告人も十分に認識していたと認められる。
(3) また,被告人は,出会い系サイトを通じて知り合った買春の相手方に対し,その年齢を確認するために,生年月日を尋ねたり身分証明書の提示を求めたりすることはしない,年齢の確認は自分の感覚でやるしかない,自分の感覚はかなり正しいと思っているなどと供述する。
 しかし,本件女性の語った21歳という年齢と18歳未満とはさほどの年齢差があるわけではなく,その違いにつき感覚で正しく判断できるとはおよそ考え難いのであり,被告人の供述は採用することができない。被告人の上記供述は,結局のとごろ,性交という目的を達するまでの男女間の雰囲気を良好に保つとともに,買春の相手が1 8歳未満であることを知ってしまった場合に直面する性交を断念するかどうかの判断から逃れるためにあえて,更なる年齢確認をしなかったにすぎないというべきである。
~~
3 以上によれば,被告人は,本件女性の顔つきや体型,会話の内容等から同人が18歳未満である可能性を十分に認識しながら,あえてその年齢を確認することなく18歳未満であっても構わないと考えて性交したと認定することができ,未必の故意があったと認められるのであり,これに反する被告人の弁解及び弁護人の主張は採用することができない。

藤宗検事「青少年保護条例違反」シリーズ捜査実務全書9第3版青少年条例
(イ) 青少年の年齢の知情性について
① 行為者を淫行につき処罰するためには、淫行当時、その相手方が青少年であることについて知っていなければならないし、特に無過失のみ不処罰の旨の規定のあるところでは知らないことにつき過失がある場合でなければならないのは、前述のとおりである。
後者について、どのような場合に、知らないことについて過失があると認められるのであろうか。
結論としては、具体的事案によって千差万別としか言えず、青少年の年齢が18歳直前なのか14、5歳なのかはかりに若年であるのか、行為者と青少年の知り合った経緯、行為者の身分、立場などを総合して判断するしかない。
しかし、育成条例の「淫行等」について、前述のように、単なる不道徳な性行為というのではなく、前記①・②のように、限定した概念として、青少年の未成熟を利用し、あるいは乗じるなどの特に不当な行為とらえていることからすれば、相手が未成熟な青少年であることを知っていることが前提のはずと考えれ、過失であれ、その認識を欠いている場合を、「知って」淫行等した場合と同列に論じられるのが疑問なとしない。
故に過失の認定には慎重であるべきであるし、過失の程度も重過失と言えるようなものに限るべきではなかろうか。児童買春・ポルノ法等において児童の使用者についてのか過失ある場合の処罰が規定されていることも参考とされるべきである。
② 過失認定が難しい一例を見てみる。
デートクラブやいわゆるキャバクラなどの客が、その店のホステスを相手に性交又は性交類似行為に及んだ場合、その行為が単に性欲を満たすためだけの淫行に当たることは明らかであるから、その相手が18歳未満の青少年であれば、淫行規制条例の適用を受け得ることになる。
ところで、当節、青少年の肉体的発育はめざましく、15、6歳で成人以上の体格をしている者も珍しくはなく、化粧、衣類によって、その外見のみから18歳以上か18歳未満であるかを判別することは困難な場合が多いが、デートクラブやキャバクラなどでアルバイトしている青少年の場合には殊更外見からの年齢判断はできにくい。
客は、被疑者として取り調べられると、年齢については「知らなかった」と否認する者が多い一方、恥、不名誉に思い早く終わらせたい気持ちから、「若いなと思った」「本人は18歳と言っていたが、まだかもしれないと思った」などの未必的認識を認める供述をする者も多く、これを根拠に過失を認定している例も見受けられる。
しかし、キャバクラなどは、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第22条第3号により、18歳未満の者を接客に使えないはずであり、通常の客は、ホステスは18歳以上との認識で来店すると思われ、仮に、前記のような若干の疑念を抱いたとしても、客にその点を確認する方法は相手ホステスに尋ねるくらいしかないだろうし、それ以上の確認を要求すること自体非現実的であろう。実質的には誤認の場合の認識との間にこれほどの径庭もないと言うべきであろう。

一方、捜査官に対しては、「当該客に年齢を問われ、17歳と答えた。」「もうすぐ18歳の誕生日と言った。」などと、客の年齢知情を裏付ける供述をする青少年が稀でないが、キャバクラなどで働いている青少年には、すでに取調べに慣れていて、自己が被保護者たる青少年であることを利用し、被害者的立場を誇張し、かつ、捜査官に迎合的な供述をする者がまま見られ、しかもそのような店の経営者は、客寄せのために成人顔の若い女子を用いる傾向が強く、中には、18歳未満と知っていても本人に、客に問われたら18歳と答えるよう指示している場合が多いのは周知の事情であるから、右青少年の供述を全面的に信用することは危険である。

このような例では、結局は、客が既に青少年と話をする機会などがあってその身にを知り得る関係にあったとか、当該店には18歳未満の女子ばかりを置いているなどの噂があって、客の来店理由になっていたと認められるなど、個別具体的に、淫行の相手が18歳未満であることについて客観的に知り得る状況があったことを明らかにしなければ、過失を認めるべきではないと考える。

淫行規制条例は、青少年の健全育成、保護のために、これを阻害する行為を回避する義務を年長者に負わせるものであるが、保護の対象たる青少年が自らの意思でいわば性を売り物にするデートクラブやキャバクラなどに身を置く以上、そ保護は、個別の客を淫行で処罰することによるより、むしろ雇用主の児童福祉法違反、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律違反、売春防止法違反などを処罰することで図られるべきところではなかろうとも考えられる。




以上の内容はhttps://okumuraosaka.hatenadiary.jp/entry/2025/02/27/173412より取得しました。
このページはhttp://font.textar.tv/のウェブフォントを使用してます

不具合報告/要望等はこちらへお願いします。
モバイルやる夫Viewer Ver0.14