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映画「ミステリアス・スキン」の雑感

ちょっと前に映画「ミステリアス・スキン」を観に行った。

たまたま映画館で予告を見かけてクィア映画というよりは20年前のインディーっぽさが美しい作品なんじゃなかろうかと期待して前売り券を買っていたんだけど、想像以上にしっかりと児童への性加害を扱っているとの事で劇場に行くに適した心身穏やかなタイミングを見計らって足を運んだ。

 


あらすじとしては、母と恋人の情事を目撃して自身の同性愛を自認し、野球チームのコーチからの性加害を愛だと受け取ってその影を追い求める大人の男性に体を許すニールと、父に男らしさを求めてられて入団した野球チームでコーチからの性加害に遭ってその記憶を失ってしまったブライアンが再び出会うまで、という物語だった。

20年前に描かれていたクィア作品としてはかなり直接的でありながら配慮がしっかりされているという印象で、社会への主張というよりは主人公たちがどうにか幸せになって欲しいという、穏やかながら切実な思いで満ちた映画だった様に受け取った。

 


ネタバレありで雑感を描きたいのだけれど、スクロール避けに無関係な文章を挟むような題材でも無い気がしており、このまま続けたい。

観る予定のある方はブラウザバックをお願いしたい。

 


ニールは年上の男(野球チームのコーチ)に受けた性加害を自分への愛だと思い込んで(実際、歪ながら利害が一致しており、お気に入りだったのだろうと思う)、姿を消したコーチの様に自分を特別だと愛してくれる相手を求めて町中の大人の男たちに体を許して金を稼いでおり、田舎町では出会えないのだと居場所を求めて都会に飛び出して行った。

田舎のある程度思想が似たり寄ったりの男を相手にしているのと違い、都会で多様な思想にぶつかる中で傷つき、自分の願いは本当にコーチ(の様な相手)を手に入れる事なのかを考え続けて葛藤している姿が痛々しかった。

自分を大事に思ってくれる親友たちや母親にも打ち明けられない繊細さと、カリスマ性を感じさせる作り上げたプライドがどちらも余計に彼を追い込んでいる様で、それが美しいんだから辛い話だよなと感じた。

 


ブライアンはコーチから受けた性加害を「UFOに攫われて記憶を消された」という妄想によって蓋をしたものの、度々その場面を部分的に夢にみて、それを手掛かりに自分に何が起こったのかを解き明かそうとする。

同じようにUFOに攫われたと言う女性にアドバイスをもらったり(結局、誰かと接点を持ちたいと願う寂しい大人の女性だった訳なんだけど)、夢に出てきたチームメイト時代のニールを手掛かりに彼の実家に辿り着き、彼の親友を経由してニールを身近に感じていく姿は、自分の上手くいかなさ(自分に理由があるかは兎も角、父が求めるマッチョさを会得出来ず、両親も離婚してしまった)の根源が蓋をされた記憶にあると信じ過ぎている痛々しさも感じさせて観ていて苦しかった。

 


そんな過去に囚われて留まるニールを、過去を知りたいと遡っていくブライアンが迎えに行く、という物語なのかなと個人的には受け取っている。

コーチからの愛が性加害であったこと、自分が性加害の被害に遭って事実から目を背けて生きてきた事をそれぞれが認識して身を寄せ合うラストシーンは、せめて互いがいて良かったと感じさせるものだったと思う。ニールにしてもブライアンにしても、事実と向き合う上で互いの存在は助けになるし、逃れようのない事実の証人という苦い存在でもあるというか。

その過去を受け止めてここから歩いていかないといけないという精神的な距離の遠さを感じさせるフェードアウトで映画は終わるのは途方もないけど孤独ではないので希望的でもあるな、と感じながらエンドロールを眺めた。

 


それにしてもコーチが社会的な信頼や関係性を構築した上で口止め出来そうな相手を選んで手を出していたことも、金銭で簡単に性的に搾取出来る相手を下に見て好き勝手吐口にする他の大人たちも、実際にやっている事は同じだし、非常に生々しくてかなりキツいものがあった。

ドキュメントやルポを読んでいると、そういう加害で負ってしまった心のダメージはそう簡単に癒えないと記されているし、平和に生きてこられた自分でもその残酷さはあまりにも重たい罪だなと考えさせられる。

人生は誰かの欲望でこんなに簡単に狂うのだという怖さがあるし、トラウマというのはどんな形でもそう簡単に誰かと分かち合えるものではないのだなという気付きもあった。

 


こういった側面ばかりを強調してしまうのは自分の受け取り方がそう、という向きが強いからだと最後に書いておきたい。

安っぽくなってしまうけど、映画として素晴らしく、音楽もとても素敵であるという事は大前提なんだよと言いたい。

 


またー。




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