久しぶりに初めての著者の本を読んだが面白かった。2022年初版。カナダ。
メイドものというのは、家庭の裏を描くものが多いが、これはメイドと言ってもホテルの清掃係の話。はっきりと書いてはいないが、おそらく主人公は知的遅れのない発達障害者。コミュ力に大きな問題を抱えており、常識も全く足りない。ずっと祖母と同居していたが、その祖母が亡くなった事により、一人で生きていかざるを得なくなり窮地に立たされる。
祖母がメイドをしていたせいで、自分もホテルメイドになる。この仕事は他人とのコミュニケーションが最小限で済み、几帳面な主人公にもやれる仕事だった。しかしそれは、祖母という支えがあったからこそ。祖母がいなくなった途端に、実生活を送る上で、数々の難問が起こり始める。
金銭的には、働き者でしっかり者の祖母が、ある程度の貯金をためておいてくれたのだが、他人を疑う事ができない主人公は、悪い男にあっさり騙され、貯金を一切合切奪われる。これにより、毎月の家賃を払うことすらできなくなる。
その上、働いていたホテルの部屋で、なじみの富豪が殺されているのを発見してしまう。
最初は、ただの第一発見者だった主人公だが、ホテルの悪い従業員や客に騙され、犯人にしたてあげられてしまう。
私がこのブログに再三書いているように、発達障害者は嘘がつけないタイプが多い。この主人公も嘘がつけない。だが、実は、この主人公は、犯人を知っている。知っているがそれを警察には言わない。嘘をつかずにそれをやり通す。主人子は、なぜ犯人を庇うのか。どうやって我が身を守るのか。
あまり書くとネタバレになるので控えるが、このあたりは特に読み応えがある。
あとは、障害を持っていながら、まっすぐに賢明に行きている主人公が、多くの壁を突破していく姿が心を打つ。障害者独特のやりとりにユーモアがあり、救われる面も多い。
かなり長い本なので読むのに躊躇するかもしれないが、読み始めるとあっという間だ。秀逸なミステリー。