キャサリン・ライアン・ハワードの「ナッシング・マン」を読んでいて、ソファーの掃除をしようかなと思った。
殺人者がある一家惨殺を行うのだが、その手段として、事前にその家のソファーのクッションの下に、ナイフとロープを隠しておく、というのだ。その家で唯一生き残った女の子は、事件が起こる数日前にソファークッションを積み木のように積み上げて遊んでいたら、下からナイフとロープが出て来た。
普通なら「?」と思い「こんなの出て来たよ」と親に知らせるところだが、その家のソファークッションの下からは、いつも雑多なものが出てくるのだ。親がとりあえずここに入れておこう、と何やかや隠している。女の子はクッションで積み木遊びをするたびにそれらを見てきたので、ナイフやロープが出てきても不審に思わずそのままにしていたのだ。
数日後、その家に殺人犯が入り一家を惨殺する。唯一生き残った女の子は、長じてその殺人犯を追う事を決意し、当時の新聞記事を調べていると、同じような一家惨殺の記事を見つける。その家の掃除婦が、事件の数日前に、その家のソファーの下にナイフとロープがあったと語っていた。点と点が繋がった。彼女は自分がナイフとロープを見つけた時に家族に知らせれば事件を起こらなかったと激しく動揺する。
とまあ、こんな出だしからこの小説は始まるのだが。
ここを読んだ時点で私は、ソファーの掃除をしなければ、と思ったのだ。武器が出てくると思ったわけではなく(当たり前 笑)、ただ単に、ずっと掃除していなくて、気になっていたからだ。
我が家のソファーはどっしりしていて大きく、座り心地も最高なのだが、いかんせん、ソファーの下に掃除機が入らない。よって、すぐにソファー下に埃がたまる。
本来なら週一ぐらいの頻度でソファーをどけて、掃除機をかけるべきなのだが、大きいソファーなので本当に重い。ただ床の上をずらすだけで汗がしたたるほどの重労働。なので大体、ソファーの下に掃除機をかける頻度は年一回がせいぜい。
しかも今回は、もう2年程掃除していない。1年半を過ぎる頃から、怖くて掃除できなくなった。
ミステリーに影響された勢いで、えいやっとソファーを移動する。怖いほどの一面の埃が、2センチほど積もっていた。ソファーと壁との間からは、おそらく私が食べたピザパンの上のチーズの切れ端が、固まって出て来た(以前盛大にこぼした記憶)。アイスのカップの蓋も、髪をまとめるゴムも出て来た。大きなゴミを拾って、掃除機をかけたら、空っぽだった掃除機のゴミをためるカップが満杯になった。
更にぞうきんで壁と床を拭き、乾かしてから、えっさほいさとソファーを元に位置に戻した。
お次はクッションの間の掃除。我が家のソファークッションは、背もたれ部分は取り外せるが、座面のクッションは外れない。背もたれクッションを外して拭いて、座面クッションは、クッションの間やクッションと背もたれの間を、ボールペンを差し込んでぐいぐい掃除していく。ありとあらゆるものが出てくる。主には私の髪の毛。なぜならいつもここで髪を乾かすから。ティッシュやメモ用紙、何かの蓋。極めつけは、だいぶ前に忽然と姿を消していた、リモコンの電池部分の蓋が出て来た。
こんなところにあったのか!
リモコンの電池の蓋が消えたので、仕方なくずっと紙をテープで貼り付けて、電池が落ちないようにしてリモコンを使っていた。不便だった。
クッションを戻し、ソファーまわりにいつも置いている飾りのクッションを戻し、定位置にリモコンも置いた。
ああすっきり。
ソファーを掃除すると、良い事しか起こらない。分かっているが、次回掃除するのは一年後だと思う。
