またしても本日2記事目。
昔のアメリカのミステリーを読むのにはまっている。今日紹介したいのは、インド系アメリカ人女性医師のリツ・ムケルジ著「裁きのメス」。
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南北戦争直後のアメリカ、フィラデルフィア。女性医師がまだ認められていない時代に、医学部を出て医師として働く女性が主人公。多くの差別に当然会うが、本書の主題はそこではなく、当時ふつうに存在していた身分の差、貧富の差だ。主人公は解剖医としても働いており、警察に届いた女性の水死体に疑問を抱く。水死体の女性は、かつての主人公の患者であるはずなのだが、主人公は彼女が不妊であると知っていた。しかしその死体は妊娠していた。この疑問の謎に主人公は立ち向かう、というストーリー。
当時の人々の「常識」が、今の時代と大きくずれている事がまず興味深い。と同時に、現代になっても全く同じ問題がはびこっている事も驚かされる。人種差別、女性蔑視、極端な貧富の差、貧者は教育が受けられない、貧者は不健康にならざる得ない、一家の父親が死ぬと裕福な家族でさえ一気に貧困になる不安定さ。これらの問題は、令和の時代でも、変わらない。おそらく永遠に変わらないのだろう。
それでもこの小説の芯を貫いているのは、教育を得た者は強い、という事。また、社会がどうであれ、個人差はある、という事。社会に飲み込まれない強さを持つ人はどんな時代にも存在する、という事だろう。
著者自身が医師なので、医学的な記述が多く、リアリティーがあって興味深い。昔は常識とされていた治療が、現代の医学からみると「トンデモ医療」である事が分かり、面白いというより怖くなったり。
琵琶湖に持っていって、1日で読んだ。現実逃避できて心から寛げた。このへんのテーマがお好きな方はぜひ。
