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とみの喜幸回!『合身戦隊メカンダーロボ』第9話「最後の戦線 南シナ海」

  • 『合身戦隊メカンダーロボ』について

www.youtube.com


 このブログの長期的で熱心な読者である潜狸ぐすく氏から「メカンダーロボのとみの回の感想を書いてほしい」との依頼を受けた。1月に。それから3ヵ月。他の録画とかを優先して消去するために見ていたとはいえ、非常に遅れて申し訳ない。



 事前に報酬ももらっている…。


『機動戦士ガンダム』よりも前に、戦争をリアル志向で描いたロボットアニメがあった!?その名は『合身戦隊メカンダーロボ』!!
本エピソードの演出は富野由悠季(とみの喜幸 名義)、作画監督に湖川友謙(小国一和 名義)という、のちに『伝説巨神イデオン』『聖戦士ダンバイン』を手掛けるタッグにより制作された。

 宣伝したい気持ちはわかる!富野由悠季氏、湖川友謙氏のネームバリューは確かにある!



 だが!メカンダーロボがリアルな戦争を描いているって言うのは、!


 盛り!すぎ!



 もうね、本当にメカンダーロボ、全体の感想を正直に言うと「雑」。その一言。


 メカンダーロボの熱心なファンである潜狸ぐすく氏には申し訳ないが、「雑」としか言いようがない。



 いやー、本当言えば全話(あるいは配信されているもの全部)見てから総括するべきだけど、僕は第9話まで見るのに3カ月かかる延期癖のあるクズなので。もう9話時点で言いますけどね。
 いちおう見られたら全話見たいけど…。


 僕はアニメファンというより、富野由悠季と出崎統ファンというのに偏り過ぎていると思う。他のアニメは普通に倍速で見ないとかったるくてしょうがないが、富野由悠季と出崎統の絵コンテ主義者のアニメはテンポをいじると一気に気持ち悪くなるのでいじれない。そして、基本的に鬱病だし、アニメを見る時も何かしながらでないと退屈して死にそうになるけど富野由悠季と出崎統のアニメを見ている時は逆に生きる力が湧いてくる。理屈ではない。


 というくらい偏っているので、「全話見れたらいいけど、とりあえず、とみの回の第9話だけの感想でも勘弁してくれ!」と言う感じです。


  • メカンダーロボの雑さ

 ネタバレ覚悟でWikiを読んだけど、メカンダーロボの放送年1977年なのか…。えっ?宇宙戦艦ヤマトによるアニメブームの後なの?
 っていうか、富野喜幸監督はすでにその年に無敵超人ザンボット3を手がけていたのだが?


 YouTubeで配信されている画質とか画面の日焼け具合から、もっと古いアニメだと思っていた!
 マジンガーZ(72~74)の後なのは当然として、勇者ライディーン(75)より古いかと思っていた!鋼鉄ジーグくらいかと(まあ、ジーグも75~76なのであんま変わらんけど)


 っていうか、「機動戦士ガンダムはそれまでのロボットアニメとは違ってリアル」っていまだに言われがちだけど、マジンガーZからガンダムまでの間、7年しかない。鉄人28号は1963~65年ですが…。


 それまでのロボットアニメの期間自体が7~16年しかないのに、ガンダムが45周年になった今でも「ガンダムはそれまでのロボットアニメと違ってリアル~」とか言うのは流石にアニメの歴史を軽視し過ぎでは?まあ凡俗の認識なんかどうでもいいけど。


 それにしても、メカンダーロボは「それまでのロボットアニメ期間の後半」でリアルになりつつあった時期だし、確かに新造人間キャシャーンのような量産型の敵ロボット軍団とか占領の概念とかあるので、リアルな要素もある。(もちろん、マジンガーZもジャパニウムとかゼウスとかミケーネ文明とかのファンタジーはあるものの、操縦の習熟とかパワーアップ開発の速度とかでリアルな面もある)


 しかし、メカンダーロボは雑。


 まず、メカンダーロボのデザインが全然洗練されていない。いや、これ、カッコよくないだろ。なんかそれっぽいパーツをとりあえず突っ込みました、って感じのデザインだし。イデオン以上に何を考えているのか分からない感情移入しにくい顔つきだし。僕的に評価できるのはV字の襟がネックガードになってるというところくらいかなー。そこはちょっとシド・ミードのデザインに似ている。ゴッドシグマっぽさかもしれない。
メタル・アクション メカンダーロボ ノンスケール ダイキャスト&ABS製 塗装済み 完成品フィギュア


 とにかく全身に武装をゴテゴテと付けてて、もう、ロボットとしての機能性とかデザインの美しさより、オモチャとしてのプレイバリューの全振りした感じで、なめてんのかって思いますね。


 腕とか関節の構造をガン無視して回転して武器を出しますし。Vガンダムですらもうちょっと…。


 メカンダーロボ(と合身戦隊のメカ)の武装の名前もメカンダーUFOとか空中大型魚雷ジョーズとか、ミサイルのくせに無駄にタツノコのタイムボカンシリーズみたいに合体するブルサンダーとか、ミサイルのスカイドンキー(これは任天堂のドンキーコングよりも先)とか、子供が好きそうなUFOとか当時はやってた映画とか動物モチーフとか、節操がなく、キッズがおもちゃを欲しがりそうな要素を突っ込んだ感じ。


 そもそも、メカンダーロボ自体が開発時点では名無しのロボットで第三話で愛称をこめて「メカンダーロボ」と命名されたらしいんだが。いや、主力兵器なのに名前を付けずに「ロボット」って読んでたとか、開発経緯も雑じゃね?


 そもそもロボットや、その操縦席になる戦闘機などの「メカンダー」ってのも、キカイダーくらいの意味しかないし、合身マシン戦隊メカンダーロボって合体するマシンの戦闘用メカ部隊のロボットという意味で、ほとんど個別の具体的な意味を持ってない。雑…。


 メカンダーロボの基地であるキング・ダイヤモンドも普段は野球場に偽装していて、メカンダーロボはバックスクリーンから登場する。子どもは野球も好きだからね…。
 しかし、メカンダーロボの身長が120mとイデオンより大きいのでキング・ダイヤモンドは全長1200m。そんなに大きい野球場があるか!(まあ敵のコンギスター軍団は異星人だから野球場の概念を持ってないと思うけど、じゃあ、別に偽装する意味もないのでは?)


 あと、メカンダーロボとかキング・ダイヤモンドを秘密裏に開発した敷島博士は地球防衛軍(国連軍)から謎の人物ミスターXと呼ばれているけど、国際物理秘密研究所(通称IPS)の所長で、秘密研究所だけど一応国際機関の所長なので、あの、隠す意味はあるんですかね?基地はデカすぎるので地球防衛軍の方にも隠せないと思うのだが。


 ヒロインの敷島ミカが敷島博士の娘っていうのは同時期のコン・バトラーVの南原ちずるとかボルテスVの岡めぐみみたいに、組織の重要人物のオッサンの血縁者というよくある設定だけど、敷島ミカは国連軍で訓練を受けて17歳と若いけど戦闘機パイロットになっている。(14歳の女子を命の危険がある山岳訓練に参加させる国連士官学校ってなんだよ…)
 娘が国連軍の関係者なので、あの、ミスターXって名乗って軍隊から距離を置く意味、ないんじゃないですか?普通に連携するか組織に組み込まれるべきなんじゃないか?なんで独立愚連隊になりたがってるの?あくまで、合身戦隊は防衛軍に対して協力しているだけというスタンス。


 いや、まあ、謎の博士が唐突に作ったスーパーロボットってのはキッズが好きなアレだからそうなんだろうけど、色々と変な部分があるぞ。


 コア・ファイター的なメカンダー・マックスもメカンダー戦闘機の1号機から3号機が合体するけど、ほぼ、機能的な意味はない。まあ、メカンダーロボの番組スポンサーのブルマァク(放送途中に経営破綻)はウルトラシリーズの怪獣玩具などでヒットを飛ばしたので、ウルトラセブンのウルトラホークとかゲッターロボみたいな感じなんだと思うけど。


 合体する意味がないし、主にメカンダーロボの操縦をするメカンダー1パイロットのジミー・オリオン以外の矢島小次郎(声はガベさん。ニヒル担当)と敷島竜介(声は野島昭生さん。真面目担当)の二人はジミーの後ろの座席に座ってるだけで、あんまり操作しない。
 文句を言ったり、たまに計器を見たりしている。合体する意味…。


 あと、そもそもメカンダー戦闘機も三機、デザインが違うけど、ゲッターマシンに比べるとそんなに機能的な差はない。


 そして、メカンダー・マックスがメカンダーロボの背中に挿入されることで、メカンダーロボの核分裂型原子力エンジンが起動してパワーを発揮する。(じゃあ、合体前に飛んでくるメカンダーロボは何で動いてるんだよ…。単純な化学燃料ロケットなのか?)
 (ちなみに、メカンダーマックスがメカンダーロボに合身しても、とくに機能的な意味はない。武装はほぼデッドウェイト。メインエンジンを積んでるガンダムのコア・ファイターよりひどい。)


 でも、敵のコンギスター軍団は核分裂反応を検知して、それを狙撃する核爆弾くらいの威力のオメガミサイルというのを衛星軌道上に多数配備していて、それで地球上の原子力設備や原子力兵器を粉砕して地球の9割を占領したというガンダムSEEDのニュートロン・ジャマーをひどくしたみたいな武器を持っている。


 なので、メカンダーロボは戦闘を開始してから、オメガミサイルが到着するまでの数分間で決着して、原子力エンジンをシャットダウンしないといけないというリアルな時間制限があるんだ!多分ウルトラマンからの引用だと思うけど。


 でも、核分裂反応ってそんな1秒未満で臨界に達したり、逆に反応を止めたりできるんですかね?そもそも核分裂型エンジンってお湯を沸かしてタービンを…。発生した中性子を直接エネルギーに変えられるのか?
 リアルなんだろうか…?まあメカンダーロボ放送の77年はまだ79年のスリーマイル島原発事故とかチェルノブイリ原発事故が起こる前だったから、原子力には夢があった時代なんだなー。禁断の惑星とかね…。


 そして、割とメカンダーロボの戦闘の大半はギリギリでパワーアウトして、原子力エンジンをオフにした結果、核分裂反応という目標を見失ったオメガミサイルがメカンダーロボを喪失してそこら辺で爆発してピンチを回避するという決着が多い。(ちょっとジョジョの奇妙な冒険のシアーハートアタックっぽいけど)(メカンダーロボの作中にミノフスキー粒子のような電子ジャミングはないけど、ミサイルにロックオン機能はないんだ)
 メカンダーロボ本体にオメガミサイルが当たらないのはいいんだけど、そこら辺の陸上とか海上に核爆弾くらいの威力のオメガミサイルが適当に落ちて爆発するのは……地球を守るスーパーロボットの態度として……いいのか?オメガミサイルがメカンダーロボ以外のどこに落ちるのかは運任せだが……。


 あと、メカンダー戦闘機のアメリカへの航続距離と燃料の問題をリアルっぽく描写したあとで、唐突にメカンダーロボが出現するのは、リアル……?


 一個一個の設定はスリリングだし子供受けも兼ねているけど、全体的なまとまりが…。


 そして、敵のコンギスター軍団(征服って言う意味が子供に分かるかはともかく)は、宇宙のかなたのガニメデ星(木星の衛星ではない)の公害のヘドロから産まれたへドロン皇帝が指揮していて、宇宙の文明をもつ星(つまり公害のある星)を自動的に侵略しようとする組織なので、ゴジラ対ヘドラじゃん…。当時の流行り…。まあ、機動戦士ガンダムの「増えすぎた人口」とか「エコテロリスト」とかも当時の流行りなんだけど。


 と、めっちゃ文句を言ったけど…。その……。令和になってメカンダーロボの配信を見てコメントをする人って基本的にメカンダーロボ好きな人ばっかりだと思うので。
 僕みたいな「メカンダーロボは主題歌しか知らないけど、とみの回があるらしいので適当に見た」という雑な視点からの文句を言う人もあってもいいかな、と。


  • でも面白い

 設定はガバガバなんだけど、面白いかどうかで言うと面白いというか、謎のドライブ感がある。
 主にナレーションの中田浩二さん、主人公ジミー・オリオン役の神谷明さん曽我部和行さん野島昭生さん滝雅也さん津嘉山正種さんなど、名優たちが割と早いテンポでナレーションや説明セリフを断定的に繰り出すので、設定はガバガバだけど不思議と納得させられてしまう!
 「こんないい声で言いきられたら、そうなんだろう・・・」って。


 もちろん、水木一郎兄貴の主題歌も熱いし、渡辺宙明サウンドだし、冒頭のサブタイトルのコールに合わせたブリッジ音楽も強引でカッコいい。

 
 メカンダーロボもデザインはダサいんだけど、全身が子供受けしそうな武器の塊なので、基本的に暴力の象徴というか、棘が生えた盾で殴りつぶしたり、剣で切ったり、サメや猛牛のような形の大型ミサイルとか、原子炉の熱源をそのまま解放して放射するとか、敵をボロクソにするので、爽快感はある。


 オメガミサイルのタイムアタックは割と途中から慣れたので、そんなに緊迫感はないのだが、最後に派手な爆発をして終わるのは、戦術的には疑問だけど、キッズアニメとしては面白い。お約束と言えばお約束だけど、やっぱり最後に大爆発する方が面白い…。


  • 第9話の感想

 というわけで、本筋である、とみの演出回の感想を書きます。でも、だいたいの要点はYouTubeのコメント欄の@senrigusukuさんの説明でいいと思う。YouTubeは唐突に非公開になることもあるので、無断引用失礼。

うお、さすが富野演出と湖川作画…!
脚本は今までと同じ海堂清彦先生だったけど、かなり台詞に富野節が見られ、素晴らしいのです…。どう素晴らしいのか、とにかく言葉にせねば…!


01:48 「どうしたの」「ご覧の通り」絵のあるアニメならではの無駄のない台詞。
02:50 「こんなところで会えるなんて夢みたい」繊細で少しメルヘンな台詞が育ちの良い女性を描写していて実に富野さんらしくていいのです。リリーの声の演技も良い。
08:11 「南無三!」 ダンバイン感!
08:51 「間に合うか!?」 まじ富野節!
10:41 「5機目はまぐれですから、数には入らないんじゃなくて?」 じゃなくって? がいかにも富野女性キャラ!
12:14 ミカと会った時の優し気な表情から一転、瞳のハイライトを消している辺りがライアン大佐が心を鬼にしている事が見て取れます。ちなみに、湖川氏は瞳のハイライトや黒目は日本人の目ではあまり見えないから描写をやめていた時期があるとインタビューに答えています。イデオンのバッフ・クランの描写もそうですね。ちなみにララァの黒目に瞳孔がないのは、富野さんがパクったからだと湖川さんはインタビューで仰せでしたw
12:44 「ミカさん! あなたが帰ったらリリーに伝えてください。お前も軍人の娘なのだと」 テム・レイの「お前も軍人になったのだろう」とアムロを突き放し『こんな物』を渡した場面に通じる。
14:00、14:12 オズメルの煽りが湖川さん!
15:38、16:07 ミカをメッセンジャーボーイ(byブレンパワードのジョナサン)にするのではなく、敢えてジープを停めさせ大事な事をリリーに話す。しかも、オズメルの予期した敗残兵の撤退ではなく反撃作戦の指揮を執ることを表明しているんですから、マジ死地に赴く感じです。
「私、あんな立派な父でない方が良かった」
16:32 「ーそうさ」これも富野節っぽい!
17:34 煽りが湖川さん! そして不利な状態なのでジミーを下手(左側)に配置するのが富野演出!
18:00 対してここではオオニューダー有利なので、ケイン少佐含め右向きの上手配置。
18:08 オオニューダーが左配置だけど、触手の先のビーム砲を上手で強調したかったことが見て取れます。
18:13、18:17 奥歯の裏まで見せるほど煽る湖川さん!
18:50 メカンダーの額の原子力マークがイデオンマークに見えてきたけど、気のせいです、多分💦
19:11 メカンダーロボを上手において、合体して反撃の始まりを予感づけていますね👀
19:15 「デストポイントまであと1分30秒だ。いいな?」 穏やかな優等生タイプの竜介が念押しして調子が強い。この辺り富野さんの脚色っぽいな…。
19:22 「何やっているんだジミー、こんなミサイルで」 ブライトさんが対空砲火薄いぞ、何やってんの! と叱るように叱責する小次郎w
19:29 「トライアタック!」 湖川さんの煽り、しかも上手から!
19:39 F91のビームサーベル高速回転の原型がここに!
19:51 8:03のミカや20:14と同じく、顔中の汗で緊迫感と絵を急に濃くせずに情報量を増やすナイス作画! しかも下手なのがこの後もピンチが続く事を印象付ける富野・湖川のナイスコンビネーション!


私がメカンダーロボに関心を持ったのは1997年のLD-BOX発売の告知でした。その時は大河原邦男氏と富野監督が関わり、リアルロボットアニメの隠された原点だと記載されていたのですが、当時学生でLDなんぞ買える立場になかった私としてはこの回だけ見れれば良かったのですが…あれから28年経ち、富野監督が関わらないお話でも楽しめ、また当時気付かなかった湖川友謙さんの画力を楽しむこともできています☺️
こんなに嬉しい事はない😭
オタクとして過ごした歳月が、富野監督が関わらないメカンダーロボの他の回の良さを発見させてくれました👀🔎
本当にこの配信があって良かった。改めて公式様には感謝申し上げます🙇‍♂️


 上手下手の映像の原則にも言及なさっていて、感想文として非常に高度。


 他の人もメカンダーロボっていうドマイナーなアニメの配信をわざわざ見に来るオタクなので、かなり濃いコメントが並んでいる。


 なので、僕はその隙間の、潜狸ぐすく氏たちが書いてないことを書きます。

  • 手塚ベースのオリジナリティ

 まず冒頭。本作のヒロインであり、今回のボトルショー的エピソードのキーキャラクターである敷島ミカが地平線の向こうからバイクに乗って登場します。


 はい、冒頭、手塚治虫の新宝島ですね。



 機動戦士ガンダムと伝説巨神イデオンの大ヒットで”成る”前の、とみの演出は基本的に手塚が元なので。


 基本的にロボットアニメの冒頭って敵の悪だくみとか主人公たちの特訓とか日常シーンとかだと思うけど、今回はヒロインの敷島ミカの回だから、って言うことを「バイクに乗ってる」ってだけで告知する。


 そして、なんやかんやあってミカがリリーの父のライアン大佐を助けるためにティルトローター的な小型偵察機で27戦区(ぶっちゃけ台湾)に向かって無断発進して騒ぎになってから、主人公のメカンダー三人組が登場する。オープニングテーマこみで4分14秒の時点で。主人公が冒頭からしばらく登場しないって、結構ロボットアニメの文法から意図的に逸脱しているよね。
 「今回はいつもと違うから」っていうのを印象付けたい。まだザンボット3の評価も決まっておらず、さすらいのコンテマン時期だった、とみの喜幸氏としては「単発の演出でも爪痕を残す」というのが業界で生き延びるための手法でもある。(テレビシリーズのゲスト演出だったころの新房昭之監督や細田守監督も割とそういう事をしていた)


 あと、ミカの無断出撃をサポートして飛行マシンを用意するのが、すくなくとも第9話までは、キング・ダイヤモンドにいるけど、ほとんどなにもしていないというか何のためにいるキャラクターなのかすらわからなかった団五郎兵衛とユータというデブとガキ(ガッチャマンからのテンプレのキャラ配置ではある)のサブキャラクターであるというのが「今回は主人公たちの話じゃないから」という感覚を強めている。


 しかも、サブキャラクターのくせに出崎統のあしたのジョーの杉野昭夫キャラみたいに目を伏せて軽妙なセリフ回しで無断出撃の手助けをする。まあ、杉野昭夫にかかれば、マンモス西ですらイケメンのように目を伏せてまつ毛が長かったりするんだが。
 富野さんもあしたのジョー第一期のドサ周り編まではローテ演出に入っていたので。


 しかし、サブキャラクターのくせに無断出撃を手助けして、事実上のトップである敷島博士に平気で嘘をつくのはターンエーガンダムのテーマが「平気で嘘をつく人たち」であることに通じる。最高指揮官にさらっと嘘つくんだ。倫理…。


 と、倫理観が欠如しているように見えるけど、発進した理由や目的地を、問い質されたミカ本人が父の敷島博士に通信で直接言うことで、「筋を通している」。団五郎兵衛とユータは嘘つくんだけど、それは本人が本当のことを言うための段取りになっているので、結果的に筋を通している。


 そして、ミカとリリーの過去の話を聞かされたジミー・オリオンと矢島小次郎が勝手に「実戦訓練といくか!」「そりゃいいや27戦区でな」と無断出撃を提案して、ミカの兄である竜介と父の敷島博士がそれについて礼を言う。


 無断出撃を助けるための無断出撃を自発的に主人公たちが提案して、それを指揮官も命令ではなく感謝で承認することで、主人公たちの存在感も保っている。
 無断出撃なんだけど、自主性を重んじるという態度。


 後半のライアン大佐と娘のライアン中尉(看護兵)との会話やすれ違いとかも各人の自主性で、決して軍人だから任務だから、というだけではない、人間の戦いって感じ。俺たち人間だッ!


  • 空中戦の距離感

 メカンダーロボとかメカンダー戦闘機のカッコよさをアピールしておもちゃを売りたい番組だけど、27戦区にいち早く到達したミカのあんまり強そうじゃないティルトローター小型機(まあ、台湾まで数時間?で到着ってクッソ速いんだけど)がコンギスター軍団の雑魚戦闘機と空中戦を繰り広げる。
 バルカン砲だと50発の残弾は数秒で撃ち尽くすってのがミリオタっぽい。


 あんまり目立たないし多分オモチャになってないメカだけどヒロインピンチを盛り上げるために結構がんばる。


 あんまり強くない小型偵察機に過ぎないので、コンギスター軍団の戦闘機を5機撃墜したくらいで弾ギレして撃墜されるけど、ミカはパラシュートで脱出。しかし、パラシュートは光って見つかるので残り一機に見つからないようにギリギリまで開かないというスリル。


 これはこれでリアルなんだけど。その前の冒頭のシーンを思い出して欲しい。旧友リリー・ライアンと日本の道端で再開した敷島ミカは、会話の途中でコンギスター軍団の哨戒機から身を隠して森に入る。冒頭からそういう空中からの視線と陸上からの視線の違いとか索敵警戒の伏線を張っている。


 そして、27戦区に遅れて到着したメカンダー戦闘機の三人組はミカの小型偵察機がレーダーから喪失して、敵機が1機レーダーに映っていることで慌てる。ジミーはミカが死んだと誤認して小次郎に叱責される。
 レーダーと視覚情報は違う、という。


 後半でメカンダー戦闘機が敵の魚雷発射源を曳航型ソナーで探知するとかも。


 そして、何とかパラシュートで降下したミカはジャングルの樹木に引っ掛かってパラシュートのベルトを外そうとしていた所を、歩哨に見つかり、身を隠す。
 その歩哨はコンギスター軍団のサイボーグ兵士ではなく地球人でライアン大佐が指揮するタイガー師団の兵士だった。
 誰何は基本。


 そして、その歩哨たちは地上からミカがコンギスター軍団の戦闘機を5機撃墜していたのを観測していた。
 空中戦をして小型偵察機からパラシュートで脱出したミカと、レーダーの情報で焦るメカンダー戦闘機の三人組と、地上に隠れながら空中戦を観測していて残存物がないか偵察に来たタイガー師団の兵士のオッサンの視点の違いが立体的で面白い。主人公メカだけど、メカンダー戦闘機のレーダーが万能ではないというのが、今回のタイガー師団の正規の兵士たちの奮戦に繋がっている。
 また、タイガー師団の歩哨のオッサンたちがミカの空中戦の見事さを見ていたことで、いきなり出てきたドピンクミニスカの服装のミカという少女(不審者)とすぐに打ち解ける段取りのスムーズさになっている。
 ミカがちゃんと目的とかをきちんと説明して軽妙な会話をしたというのもある。
 

  • パンチラ

 しかし、コン・バトラーVとかボルテスVでも富野回はヒロインがパンチラしがちなんだけど。
 今回はすごいパンモロだな。っていうか、普通のモスグリーンの兵士と並んでいるとコン・バトラー風の70年代ロボットアニメのピンク色ミニスカヒロイン服の異常さが際立つな…。
 ジャングルなのに素足。パンツも白。えー。


 もう、真面目に戦闘している正規兵の服装に比べたら設定段階でミカのスーパーロボット戦隊ユニフォームはミニスカ過ぎるのでパンツ見えても仕方ねーだろ!乳袋もある。そんなにボディ・コンシャスでいいのか?戦闘服…。いや、ジミー達、男性パイロットの戦闘服も割とぴっちりスーツだな…。宇宙戦艦ヤマトや機動戦士ガンダムもそうだし…。


 富野監督が宮崎駿監督作品のパンチラについて割とグダグダと文句をつけたのは有名だけど、そしてブレンパワードのカナンがバイクに乗ってるときのパンモロも有名だけど。もう、見える時は見えるのが自然だし見せる。っていうのが富野パンチラ理論なんだろうな。


 鬼弟子の永野護のファイブスター物語も割と無節操にパンチラとか乳丸出しするし。ファティマスーツは設定が細かいけど、パンツはパンツなんだ…。剣聖カイエンもパンツのために戦うし。


 戦闘服ならパンツももうちょっと…。Gのレコンギスタのインナースーツはトイレと連動してて考えられていたね。


 というわけで、パンツめっちゃ見えてるけど、お色気というより「ガチの戦闘員の服装との違和感」を皮肉的に描写したのかもしれない。
 そのガチの軍人とスーパーロボットに憧れるキッズの価値観の差がドラマにもなっている。


 あと、ミカはアクションシーンでは、めっちゃパンチラしたけど、ライアン大佐やタイガー師団の大人の男性たちと交渉や会話をする時はパンツ見せないからな。そこは礼儀なので。

  • 台湾

 そんで、27戦区は通信機が破壊されたために、唯一占領を免れた日本に本部を置いた地球防衛軍から全滅と見られていたが、ミカが乗ってきた偵察機の通信装置が転用されて通信が回復。ここら辺の通信の重要性もガンダムっぽいな。部品転用とかも。
 そして2万5,000人の民間人が取り残されている。マラリアが蔓延している。沖縄や甲信越から医療船団が云々って、通信が回復しただけで地球防衛軍の幕僚たちがテキパキとシン・ゴジラくらいの速度で作戦を実行していくスピード感。その中で、メカンダー戦闘機もミカを見失ってから何してたか分からなかったけど陽動作戦に参加していた、という自然な流れ!自然な流れです!(結局、後半もミカはリリーについているので、メカンダー三人組とは合流しないんだが)


 しかし、タイガー師団って地下壕に基地を置いていたり、台湾って言うか沖縄戦っぽいけど、さすがに1977年の時点でも沖縄戦を描写するのはダメだったのかもしれない。(じゃあ、逆になんでメカンダーロボ世界の沖縄は占領されてないんだよ)


 そして、地球防衛軍に要請されたメカンダー1,2,3が台北、台中、台南のコンギスター基地に同時陽動爆撃攻撃をかけた!
 別に台湾じゃなくてもいいと思うんだが、1,2,3が北、中、南のコンギスター基地に同時攻撃をかけた!というナレーションのゴロの良さとわかりやすさはある。沖縄県も結構広いんだけど、そこら辺を言い出すとね…。石垣島など地名は北、中、南よりは難しいし。


 しかし、コンギスター軍団はサイボーグの集団だけど基地を作る必要はあるのだろうか…。そもそも占領とは…?


  • 地球防衛軍の奮戦

 コンギスター軍団の指揮官のオズメル大将軍は人間たちは逃げるために戦力を集めたと考えていたけど、人間には異星人のサイボーグやロボットにはわからん意地があるので、反撃する。
 しかし、地球防衛軍も陽動作戦も花蓮港侵攻作戦も滅茶苦茶爆撃機とか戦艦とか輸送機とか戦車とか、盛大に突っ込んでて、「メカンダーロボ以外にこんなに余力があったのか…」ってビビる。
 そして、メデューサ将軍はサイボーグに改造されたけど、実はジミー・オリオンの実の母としての人間性が残っているので、ちょっとは地球人の反撃作戦の可能性をオズメル大将軍に進言する。でもオズメル大将軍はロボットなのでそういう機微が分からない。
 そういう風に単発回だけど、割と雑に処理されているメデューサの人間性の掘り下げをチラッと描いている。


  • ノルマ戦闘

 しかし、とみの演出は富野っぽいんだけど、富野さんは作家性が強いように見えて、かなり営業とか商業も重視している人なので。
 出撃バンクとか合体バンクはきっちりやる。まあ、バンクシーンを使った方が作画枚数を抑えて時間を稼げるという面もあるんだが。


 ライディーンの頃から縁があるのか、神谷明さんがいちいち武器の名前をエコー付きで叫びながらメカンダーロボの武装をガンガン使っていく。
 ゲスト演出の割に、いつものメカンダーロボよりたくさん武器を使ってる気がする…。そこらへんのおもちゃ販売番組の演出としての義理は果たすって言う真面目さがあるなあ。
 耳のアンテナを外して振り回す曲芸じみた武器のメカンダー・ライチャックとか、以前の回では使ってなかったような…。とみのさんが外様のゲスト演出だったから、逆にメカ設定を渡されて「じゃあ、とりあえず使えるだけ武装を紹介してみます」ってなったのかもしれない。


 リアルな小型機の空中戦とか爆撃砲撃魚雷とか、前半はミリタリー重視だったけど、メカンダーロボが来たら、ロボットアニメを期待していたキッズのフラストレーションを解消するように、たくさん武器を使う。触手ピンチをミサイルの使い方で切り抜けたり。
 剣で切り裂いて装甲が弱ったところにまたミサイルをぶち込むとか。ライディーンでも割とそういう戦法をやってた気がする。


「トライアタック!」って主題歌の歌詞にもあるけど、いまいちどういう技かわからんが、律義に叫んで攻撃する。
 ちょっとメカンダーロボの粗い部分があったけど、多分それは剣(メカンダーフェンサー)の構え方の、とみの絵コンテ指定のポーズとかが、設定画にないポーズだったからアニメーターがよくわからなかったのか、単に湖川友謙作画監督(小国一和 名義)が人物が得意でメカはそこまで得意じゃないって言うか、そもそも単発で描いたことないロボットを描くのが難しかったからなのか…。
「トライサー」とか「ヘドラー」とかの作中造語の挨拶言葉も律義に言う。


 んで、メカンダーロボは勝つけど、ライアン大佐たちタイガー師団の地上戦闘は続く…。でもメカンダーロボは救出艦隊の援護はちゃんとする(?オメガミサイルは?船の近くを飛んでるだけなら原子力エンジンは使わないのか?)。


 そういうわけで、とみの演出でリアリティが強いって感じの第9話でしたが、ロボットアニメのお約束戦闘はちゃんとするし、ミリタリーとスーパーロボットと人間ドラマのバランスを取っていたんじゃないかなって思いました。


 というわけで、割と作中の時系列に沿って依頼原稿を延期して書いたわけですが…。


 今後はもうちょっと気楽にメカンダーロボを雑に見ていきたいし、新作アニメの録画と溜まっている旧作の録画も16年前に買ったレコーダーがぶっ壊れる前に何とかしたいと思います。Blu-rayに焼く機能は2年前に壊れました。


 お金が貯まるまでは壊れないで欲しい…。リボ払いは今年中に何とかなる予定…。なんとか…。まあ、他にも人から金借りてるけどな…。借りないと病院に行けなかった貧困層なので。病院代をもらってから受診したら突発性難聴だったって言われて片耳の高音域の聴覚を喪失しました。精神だけじゃなくて聴覚も障害じゃないか!うーん。悪化しないで欲しい―――。(片耳の高音域喪失って普段生活してたらあんまり気付かないけど、微妙にバランスが悪い気がする時もある)

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