
2026年2月28日、国際サッカー評議会(IFAB)は第140回年次総会(ウェールズ・ヘンソル開催)において、サッカー競技規則2026/27の改正を承認しました。
今回の改正は「試合のテンポ向上と時間浪費行為の削減」を主な目的としており、交代手続きへの時間制限の導入や、スローイン・ゴールキックへの5秒カウントダウン拡大などが含まれています。
改正されたルールは2026年7月1日から適用されますが、それ以前に開幕する大会にも前倒しで適用可能とされており、FIFAワールドカップ2026(開幕:2026年6月11日)から先行適用となります。国内ではJリーグ2026/27シーズン(開幕:2026年8月8日)から適用される見込みです。
今回は、2026/27シーズンから適用される主な改正点を解説します。
- 交代の時間制限(10秒ルール)
- スローイン・ゴールキックの5秒カウントダウン
- 負傷による離脱後の1分間ルール
- VARの介入対象拡大
- DOGSOへのアドバンテージ適用後ノーカード
- PKの偶発的なダブルタッチの明確化
- その他の改正
- まとめ
交代の時間制限(10秒ルール)
今回の改正で最も注目される変更です。
これまで「交代手続きが遅い」ことは時間浪費の手段として使われることがありましたが、今回の改正で明確な時間制限が設けられました。
ルールの内容
- 交代ボードが提示された時点(交代ボードがない場合は主審の合図)から、10秒以内にピッチを退く選手はフィールドを出なければなりません。
- 10秒以内に退かなかった場合、その選手はそのままピッチを去りますが、交代で入る選手はリスタート後1分間(ランニングクロック)が経過した後、最初のアウトオブプレーになるまで入場できません。
つまり、交代手続きが遅れた場合、その間チームは一時的に選手が少ない状態でプレーを続けなければなりません。
▼詳細はこちら
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スローイン・ゴールキックの5秒カウントダウン
昨シーズン(2025/26改正)に導入されたGKの8秒ルールに続き、スローインとゴールキックにも時間制限の仕組みが拡大されました。
ルールの内容
主審がスローインまたはゴールキックについて「意図的に遅延している」または「時間がかかりすぎている」と判断した場合、5秒間の視覚的カウントダウンを開始します。
カウントダウン終了までにボールがインプレーにならなかった場合、それぞれ以下のように相手チームにボールが渡ります。
| 元のリスタート | 超過した場合 |
|---|---|
| スローイン | 相手チームのスローイン |
| ゴールキック | 相手チームのコーナーキック |
▼詳細はこちら
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GK8秒ルールと同じ考え方
このカウントダウンは、スローインやゴールキックが行われると自動的に始まるものではありません。あくまでも「主審が遅延・時間のかかりすぎと判断した場合」に開始されます。これはGKの8秒ルール(2025/26改正)と同じ考え方です。
▼GKの8秒ルールについては以下の記事で詳しく解説しています。
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負傷による離脱後の1分間ルール
交代の10秒ルールと同じ「1分間(ランニングクロック)」の待機ルールが、負傷による離脱にも適用されます。
ルールの内容
ピッチ上で治療を受けた選手、または負傷によって試合が止まった選手は、プレー再開後1分間はピッチに戻ることができません。(ランニングクロックで計測)
ただし、以下の場合は例外として1分間の待機は不要です。
- 相手競技者に警告または退場が命じられるようなファウルによって負傷した場合
- PKのキッカーが負傷した場合
- GKが負傷した場合
VARの介入対象拡大
今回の改正で、VARが介入できる場面に新たに3つのケースが追加されました。
新たに追加されたVAR介入対象
① 明らかに誤った2枚目の警告による退場
すでに警告を受けている選手に対して、明らかに誤った判断で2枚目の警告(=退場)が出された場合、VARが介入できるようになりました。
② 誤ったチームへのカード提示
反則をしたチームとは別のチームの選手に、誤ってカードが提示された場合もVARの介入対象となります。
③ 明らかに誤ったコーナーキック判定(大会オプション)
明らかに誤ってコーナーキックが与えられた場合、VARがチェックできるようになります。ただし、これは大会オプション(大会ごとに適用するかどうかを選択できる規定)であり、かつ即座にチェックを完了できる場合に限られます。
▼詳細は以下の記事で詳しく解説しています。
DOGSOへのアドバンテージ適用後ノーカード
DOGSO(Denying an Obvious Goal-Scoring Opportunity:決定的な得点機会の阻止)に関する運用が変更されました。
ルールの内容
これまで、アドバンテージが適用されてゴールが生まれた場合でも、反則を犯した選手への懲戒罰(退場)は維持されていました。
今回の改正(競技規則第12条)により、アドバンテージが適用されてゴールが生まれた場合、「反則によって得点は阻止されていない」とみなし、懲戒罰(カード)は与えられません。
▼DOGSOの詳細については以下の記事で解説しています。
PKの偶発的なダブルタッチの明確化
PKを蹴った選手が、蹴る際に滑るなどして偶発的に両足でボールを蹴ってしまったり、蹴った直後に軸足にボールが当たってしまうケースがあります。こうした「偶発的なダブルタッチ」について、意図的なダブルタッチと明確に区別して扱うことが定められました。
| ダブルタッチの種類 | ゴールが入っていた場合 | ゴールが入らなかった場合 |
|---|---|---|
| 偶発的(滑り等) | PKやり直し | 相手チームの間接FK(PK戦では失敗扱い) |
| 意図的 | 相手チームの間接FK(PK戦では失敗扱い) | 相手チームの間接FK(PK戦では失敗扱い) |
従来は偶発的なダブルタッチにも意図的な場合と同じ罰則(間接FK)が科されていましたが、今回の改正により偶発的でゴールが入っていた場合はPKやり直しとなります。
なお、偶発的であってもゴールがそのまま認められるわけではない点に注意が必要です(GKが軌道変化によって不利になりうるため)。
▼詳細は以下の記事で詳しく解説しています。
その他の改正
国際親善試合の交代枠拡大
シニアA代表の国際親善試合(フレンドリーマッチ)において、使用できる交代枠が最大8人に拡大されます。さらに、両チームが合意した場合は最大11人まで交代が可能となります。
審判員のボディカメラ使用
大会オプションとして、審判員が胸部または頭部にボディカメラを装着することが認められます。カメラは大会主催者が提供し、映像の使用を管理します。
まとめ
2026/27シーズンから適用される主な改正点をまとめます。
| 改正内容 | 概要 |
|---|---|
| 交代の10秒ルール | ボード提示から10秒以内に退く。超過すると入る選手がリスタート後1分間入場不可 |
| スローイン・ゴールキックの5秒カウント | 主審が遅延と判断した場合、5秒カウント開始。超過でスローインは相手ボール、ゴールキックはCKに |
| 負傷後の1分間ルール | ピッチ上で治療を受けた選手はリスタート後1分間ピッチに戻れない(例外あり) |
| VAR介入対象拡大 | 誤った2枚目警告・誤ったチームへのカード・誤ったCK判定を追加 |
| DOGSOのアドバンテージ後ノーカード | アドバンテージでゴールになればカードなし |
|
PKの偶発的なダブルタッチの明確化 |
偶発的なダブルタッチでゴールが入っていた場合はPKやり直し |
| 親善試合の交代枠 | 最大8人(両チーム合意で最大11人) |
これらの改正はFIFAワールドカップ2026(開幕:2026年6月11日)から先行適用され、Jリーグには2026/27シーズン(開幕:2026年8月8日)から適用されます。
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