
今回は、長崎vsC大阪の22:19、FC東京vs柏戦の48:39の事象について取り上げます。
どちらも足裏が入る危険なスライディングで、退場になってもおかしくないと話題になった場面です。
今回は、中継で流れたリプレイ映像を基に、退場としなくてよかったのかどうかについて考えていきます。
今回はリプレイ映像が閲覧できないので……
現時点でJリーグ公式のリプレイ映像がYouTubeにありません。動画で確認したい方はDAZNなどで中継映像の長崎vsC大阪の22:19、FC東京vs柏戦の48:39のシーンをご覧になってください。
長崎vsC大阪 22:19のシーン
まず 第4節、長崎vsC大阪の22:19のシーンです。

C大阪のゴールライン付近で、クールズ選手が長谷川選手に対してスライディングタックルを行いました。長谷川選手は接触してフィールド外で倒れましたが、主審は笛を吹きませんでした。
その後VARが介入して主審がオンフィールドレビュー(OFR)を行い、クールズ選手にイエローカードを提示しました。
FC東京vs柏戦 48:39のシーン
次にFC東京vs柏戦の48:39のシーンです。

橋本選手がパスを受けそこなってこぼれたボールを垣田選手が奪ったところで、橋本選手がスライディングタックルを行いました。足裏が垣田選手の右足首の上に入り、垣田選手は足首付近を抑えて転倒しました。
主審はファウルの笛を吹きましたが、垣田選手に注意を与えたのみで、カードは出ませんでした。また、VARはチェックを行ったようですが、介入には至りませんでした。
著しく不正なプレーとは?
どちらも退場の可能性のあるシーンですが、退場とする場合、その理由は、相手競技者の安全を脅かすタックルとして、「著しく不正なプレー」(Serious Foul Play)に該当するかどうかになります。
身体的接触を伴う反則が起きたときは、そのファウルの質について、
- スピード
- 勢い
- 強度
- コントロールの程度
- 接触した部位や範囲
- チャレンジの方向
といったことを総合的に考えます。
そして、最終的に次の3段階で懲戒罰を判断していきます。(サッカー競技規則第12条)
| 用語 | 意味の説明 | 懲戒罰 |
|---|---|---|
| 不用意 | 競技者が相手にチャレンジするときに注意もしくは配慮が欠けていると判断される、または慎重さを欠いて行動すること。 | なし |
| 無謀 | 競技者が相手競技者にとって危険になる、または結果的にそうなることを無視して行動すること。 | 警告(イエローカード) |
| 過剰な力 | 競技者が必要以上の力を用いる、または相手競技者の安全を脅かすこと。 | 退場(レッドカード) |
とはいえ、スパッと3段階に分けられるものでもなく、審判員によってその判断に差異が出ることも当然あります。
長崎vsC大阪の場合は…
足裏は確かに入っており、スピードや勢いもそれなりにあります。しかし、中継の解説でも触れられていましたが、クールズ選手は接触するときに膝を曲げており、長谷川選手に強く当たらないように配慮していました。

私の判断は、レッドカードの可能性もあるとは思いますが、どちらかと言えばイエローカード。いえぽんボード風に言うと、このくらいです。
| 警告 | 0% | 20% |
40% |
60% | 80% | 100% | 退場 |
VARは退場の可能性として介入したのに?
笛が鳴らなかったということから、主審が退場の可能性のあるファウルがあったと気づかなかったのだと思われます。そのためVARは、退場の可能性がある、「見逃された重大な事象」として介入し、OFRとなったのでしょう。
また、私はイエローカードと見ましたが、レッドカードが出る可能性も考えられます。主審によってはレッドカードとすることも不思議ではないです。
FC東京vs柏の場合は…
主審はファウルがあったと判定し、笛を吹いていますが、カードを出していません。
しかし、リプレイ映像を見る限り、足裏が確実に足首付近に入っており、勢いは強いです。また、接触時にひざが伸びていて、接触後も伸び切っています。そのため足裏全体に体重がかかっていて、かなりの強度で接触したと想像できます。さらに、タイミング的にも遅れており、ボールにプレーできていません。

私の判断は、文句なしのレッドカード。いえぽんボード風にすると、こうです。
| 警告 | 0% | 20% | 40% | 60% | 80% |
100% |
退場 |
なぜVARは介入しなかった?
分かりません。
VARプロトコルにおいて、VARは主審の判定に「はっきりとした、明白な間違い」または「見逃された重大な事象」の可能性がある場合にのみ介入することになっています。
「はっきりとした、明確な間違い」について、Jリーグの説明では、「10人のうち10人全員または9人か、8人まで含むかといったところが、判定は誤り(この場合は一発退場)だと考える程度」ということになっています。
私は一発退場だと思うので、VARが当然介入すべきと考えますが、当該VARは一発退場とするほどではない、つまり「接触が過剰な力と断定できるほどではない」と評価したのでしょう。
ちなみに、DAZNの中継内で実況の方が、「VARが介入するとしたら(一発)レッドカードの可能性があるかどうかというところでは提起できるが、2枚目のイエローカードということでは提起できない」という趣旨の説明をしていますが、これはその通りです。
現時点でのVARの介入要件は、一発退場かどうかになっており、2枚目のイエローカードにより退場になる可能性があるとしても、イエローカードかどうかでは介入要件を満たしません。
仮にVARがいえぽんボード風でいうところのこの程度の捉えだったとしたら、OFRを進言するところには至りません。
| 警告 | 0% | 20% | 40% | 60% | 80% | 100% | 退場 |
まとめ
どちらもレッドカードが出て一発退場となる可能性のある事象でしたが、実際の判定は次のように分かれました。
- 長崎vsC大阪戦 22:19:VARが「見逃された重大な事象」として介入。主審は「強く当たらないように配慮があった」と判断してイエローカード。
- FC東京vs柏戦 48:39:主審は「ファウルはあるが無謀とまでは言えない」と判断してノーカード。VARは「一発退場としない判断は、はっきりとした明白な誤りとは言えない」と評価して介入せず。
ということだったのだろうと推測します。
また、それぞれの事象について私の見解は、
- 長崎vsC大阪戦 22:19 …警告(主審と同じ見解)
- FC東京vs柏戦 48:39 …退場(主審と異なる見解)
です。