
今回は、2025年8月14日、高校野球第9日第2試合 2回戦 沖縄尚学vs鳴門戦の6回裏の事象を取り上げます。
三塁線を破る痛烈な打球でしたが、三塁塁審の脚に当たってしまいました。こういうとき、ルール上はどのようになるのでしょう。
どんなプレイ?
バーチャル高校野球で当該事象を見ることができます。大体1:12:45ごろから見ると分かりやすいでしょう。
レフト線を抜ける痛烈な打球で、三塁線ぎりぎりに入りました。
その直後、三塁塁審の脚に当たってしまい……
三塁塁審はフェアの判定。
三塁手が打球を拾って一塁に送球、
一塁はセーフとなりました。
今回は「成り行き通り」ですが……
実際のプレイでの流れのとおり、今回はボールインプレイ、つまり「成り行き通り」になりました。
俗に「審判は石ころ」という表現がありますが、今回の事象なら、確かに石ころに当たったのと同じ扱いです。
審判員に打球が触れたときのルールは3パターン
今回の事象なら、と前置きするのには理由があります。実は、審判員に打球が触れた場合の処置は、単純なようで単純ではないからです。
審判員に打球が触れた場合、ルール適用は次の3パターンがあります。
1. 「ファウルボール」になる場合
もし、打球が三塁塁審に直接当たった場合はどうでしょうか。

公認野球規則 定義32 FOUL BALL「ファウルボール」
──打者が正確に打ったボールで、次に該当するものをいう。
(d) ファウル地域内またはその上方空間で、審判員またはプレーヤーの身体、あるいは、地面以外のものに触れたもの。
三塁塁審は身体の全部がファウルグラウンドにあります。よって、フェアかファウルかが決まっていない打球が三塁塁審に直接当たった場合は、「ファウルボール」です。石ころ扱いにはなりません。
2. 「ボールデッドになり、打者に一塁を与える」場合
厄介なルールがこれです。
公認野球規則 5.06(c) ボールデッド
次の場合にはボールデッドとなり、走者は1個の進塁が許されるか、または帰塁する。その間に走者はアウトにされることはない。
(6) 内野手(投手を含む)に触れていないフェアボールが、フェア地域で走者または審判員に触れた場合、あるいは内野手(投手を除く)を通過していないフェアボールが、審判員に触れた場合──打者が走者となったために、塁を明け渡す義務が生じた各走者は進む。
審判員が、
- 野手に触れていない打球に触れたとき
- 投手を除く内野手を通過※していない打球に触れたとき
※「打球が野手を通過」とは、打球が野手の股間を抜けたり、野手が打球に飛びついたが、打球がその横を抜けたりしたことを言います
には、ボールデッドになり、打者に一塁を与えます。また、打者が一塁に進むことで押し出される走者に限り、進塁します。二塁塁審に直接打球が当たった場合は、この措置になることが多いです。
今回のようなライン際の打球で、フェアかファウルか決まっていない打球がフェア地域で審判員に触れた場合は、ボールデッドにしなければならなくなる場合と、ボールインプレイ(成り行き通り)でよい場合の2種類に分かれることになります。
そのため、実は一塁塁審や三塁塁審は、ファウルラインからボール一個分だけ外側に立って、フェア地域で打球に触れないようにポジショニングするのを基本にしています。そうすれば、球足の速い打球が自分の身体に向かって飛んできて直接当たった場合、迷わず「ファウル」と判定できるからです。
3. 「ボールインプレイ(成り行き通り)」とする場合
1. 2. 以外の場合は、ボールインプレイになります。
例えば、
- フェアと確定した打球が、ファウル地域で審判員に触れた場合
- 野手が触れた打球(はじいた打球)に触れた場合
- 投手を除く内野手を通過した打球に触れた場合
- 送球に触れた場合(打球ではなく)
は、すべて成り行き通りになります。
まとめ
今回は、「フェアと確定した打球が、ファウル地域で審判員に触れた場合」なので、三塁塁審はフェアのシグナルを出し続けました。

本当ならレフトフェンス際に抜ける打球で長打コースとなるはずなのは審判員も分かっていることなので、避けるのは難しかったものの打球に触れてしまったことは悔んでいると思います。
しかし、このようなとき審判員は次のプレイをできるようにするためにルール上の措置を速やかに示す必要があるので、脚が痛くてもとにかく「フェア」のシグナルを出すことが最優先です。任務を全うした三塁塁審には「ナイスジャッジ」の声を送ってほしいと思います。