認知症基本法(正式名称:共生社会の実現を推進するための認知症基本法)をご存じでしょうか?
2024年1月1日に施行された新しい法律です。
この法律について調べてみました。
認知症基本法の目的
• 認知症の人が尊厳を保持し、希望を持って暮らせる社会を実現すること。
• 認知症の人を含むすべての国民が、互いに支え合いながら共に生きる「共生社会」の構築を目指す。
第一条
基本理念(7つの柱)
- 基本的人権の尊重:認知症の人も自らの意思で生活できる個人として尊重される。
- 正しい理解の促進:国民が認知症に関する正しい知識を持つ。
- バリアフリー化の推進:社会生活の障壁を取り除き、安心して暮らせる環境を整備。
- 切れ目ない支援体制:保健医療・福祉サービスが継続的に提供される。
- 家族への支援:認知症の人だけでなく、家族も安心して暮らせるよう支援。
- 科学的知見の活用:予防・診断・治療・介護方法などの研究を推進。
- 社会参加の促進:認知症の人が意見を表明し、社会活動に参画できる機会を確保。
第三条
参照先:
https://laws.e-gov.go.jp/law/505AC1000000065
この法律の重点課題は、条文の中にもずいぶん出てきていますが、「共生社会」実現を目標としているようです。

この法律が成立した背景として
・高齢化に伴い、認知症の有病率も上昇。2025年には約700万人(65歳以上の5人に1人)が認知症になると推定されています。
・団塊の世代がすべて後期高齢者(75歳以上)になる2025年を前に、医療・介護・地域社会の対応力が問わ
れるとされています。
関係法律との違いは?
①老人福祉法 1963年成立 目的:高齢者の心身の健康保持と生活の安定を図る 対象:高齢者全般(65歳以上)
②介護保険法 1997年成立 目的:高齢者や要介護者が自立した生活を送れるよう、介護サービスを提供する制度設計 対象者:要介護・要支援認定を受けた人(主に65歳以上)
③認知症基本法 2023年成立 目的:認知症の人が尊厳を持って希望を持って暮らせる「共生社会」の実現 対象者:認知症の人とその家族等
認知症基本法は、本人主体の社会参加と、他の法律より特筆する部分としては、その家族へも視野が広げられたという部分が大きくあります。
ここからはさらに深掘りしてみます
共生と共助の違いとは?この法律の問題点
共生・・・1 共に同じ所で生活すること。2 異種の生物が、相互に作用し合う状態で生活すること。
https://kotobank.jp/word/%E5%85%B1%E7%94%9F-52745
共助・・・周りの人たちと助け合うこと
この法律の中では、共生という言葉は9回ありますが、共助という言葉は一度も使われていません。
となれば、共生は「制度の目的」、共助は「制度の手段」といえます。
共助することにより、共生社会が実現するということなんだと思います。
では、本人主体の社会参加を重視しながら、共生社会を実現するとはどういう事なのかなと考えてしまいます。共生のためには共助が必要なんですから、認知症患者とその家族の意思決定・社会活動、そして社会の役割を担保する必要があります(基本理念より)
これを認知症患者とその家族側の一方通行にならない、共生社会にするためには?と考えなくてはならないと思うんです。
特に認知症患者の「社会参加の促進」ができるようになるためには、制度だけでなく我々の理解も相当必要とします。理解もないまま社会参加=役割などという構図になってしまわないか、懸念してしまうのです。
もし現在が、参加できない人=社会参加から排除される側などと誤解が進まないかと思うんです。
認知機能の低下している認知症患者にとって、強い役割や立場を持つことは、さらなる失敗体験を増やすことになりかねません。つまり社会参加することにより、認知症の進行リスクを増やしかねない結果になるであろうと。
日本の社会システム自体がまだ
・共助
・共生社会
・社会参加
・人の役割
の位置づけがあやふやなまま、この法律が制定されていないかと心配なんです。ひとつボタンの掛け違いをしてしまえば、単なる善意の押しつけの法律になってしまいます。
日本国民に具体的な認知症患者の社会的位置づけと、その社会活動の確保例を明示してほしいと思っています。