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居酒屋けんざん(51)待つということ

「はりえさん、なぜ人は待てなくなるんでしょうね?」

「んん?いきなり難しい話だね。」
「年を取るとみんなせっかちになるんだよ」

 

「高齢者に多い傾向があるのは分かりますが、どの世代でもみんな待たない、待てないなという印象を持っています」

「仕事柄、医者や弁護士といった社会的地位の高い人と仕事をしますが、この人たちは総じて待てませんね」

 

「会ったことはないけど、そんな印象があるよ」

 

「もう一つ特徴があって、社会的地位の高い人の家族という人も待てないんですよ。伝染するんですかね?」

 

「人がそわそわしていると、なんだかこっちまでそわそわするのと似てるね」

「自分がこうだと思ったら、人がそう動かないと我慢できないんだろうね。その人の性格なんだろうさ」

 

「私の持論では、人が人を信じなくなったからのように思えるんです。信用してないから、人への期待値が低いんだろうなと」


「施設や病院でナースコールをすぐ押す人っているものなんです。この人達ってそわそわと一緒で、不安を抱えているんですよ」

 

「不安ね。そりゃ知らないところに来たらみんな不安だろうね」

 

「ナースコールをすぐ押す人だけでなく、徘徊をする人にも共通するんですけど、この人たちの行動に共通するのは、『家に帰りたい』ということなんです。さらにいうと、徘徊などする人は自分の家にいても『家に帰りたい』といったりします」

 

「自分の家で帰りたいと言われても、もう帰るところはないね?」

 

「そうなんですよ。きっと言葉が隠れているんですね。家に帰りたいではなく、自分の居場所に帰りたい、と本当は言いたいんでしょう」

「自分の役割・価値を認めてくれるところに帰りたい、昔のようにもどりたいという、気持ちが隠れているんだと思います」

 

「?そういうもんなのかい?」

 

認知症になり、記憶があいまいになり、失敗をしたりして家族に怒られると、気持ちが荒み、ここは自分の居場所ではないと感じるんでしょうね」

 

「待つという話は?」

 

「言いたかったのは、認知症になったりすると顕著になるんですよ、待てないんです。その待てない理由は、相手に期待しているからではないということです」

 

「自分の不安を理解してくれないんだから、期待はしてないだろうね」

 

「だから待たせる側を信用していないんだろうと」

「はりえさんもおっしゃるとおり、人は歳をとると待てないというのも正解なんですよね」

 

「なぜ人は歳をとると待てないのか、これの理由は、固定概念が強くなるのだろうと」

「自分の中のルールや規範があって、それにそぐわないとすぐに人を信用できなくなるんじゃないかと」

「柔軟にものをとらえられなくなるんでしょうね」

 

「なんでそんな風に思うんだい?」

 

「この間スーパーでご高齢のご夫婦がいたんですよ。奥様は足が良くないのかあまり歩けなく、数メートル歩けば休むを繰り返すんです」

「それとは逆に旦那様は、足腰がしっかりしていて、あちこち縦横無尽に早歩きでものを奥様のカゴに入れていくんです」

「問題はこれはどちらが待たせているのか?と考えちゃうんですよ」

 

「ああ、旦那さんが待たせる側ということかい?」

 

「正解です。奥様が歩けないから代わりにてきぱきと行動して、奥様に合わせているように見えるかもしれませんが、奥様はよくない足だからこそ、旦那様を待っているんですよね」

「面倒を見ていると思っている旦那様は奥様に決していい顔をされませんが、奥様は旦那様がかごにものを入れたりするとき、終始笑顔なんですよ。奥様は旦那様を信用しているんだろうと」

「相手を待たせていることに気づけない、気づかない、それが固定概念なんだろうと」

 

「わかったようなわからないような」

 

「人を信頼するようになるには、自分の中の不安と戦わないといけないんでしょうね」

「人って生育暦上でいえば、待つから始まるんですよね。
・赤ちゃんは自分でできないから、母親が世話をしてくれるのを待ちます
・それが自分でできるようになり、大人になれば、提供する側になるから待たせる側になる
・でもその期間は人生の半分くらいしかなく、いつかは赤ちゃんと同じ待つようになるのが高齢者なんだろうなと」

「人生の半分は待つ側になることを大人は忘れてしまうんですよ」

 

「なんで忘れるんだい?」

 

「しっかりしなければならない、強くなくてはならない、という強い自分が必要だったんじゃないですかね?」

「そのスーパーのご夫婦にも言えることなんですけど、旦那さんは働き者で、きっと家計を支えてきていらしたんでしょう。自分ががんばらないと生活が立ち行かなくなると、それは必死に働かれたのではないでしょうか?」

「だから、高齢の男性は待つ側の経験が少ないんだろうなと」

「自分のペースで物事を進め、しっかり成果を出してきたから、余計に歳を取っても強くなくてはならないと。それが自分の固定概念だと気づけないんでしょう」

 

「人を信用してないから、人をふりまわしてしまうってことね?」

 

「それが団塊世代までの話なんですよ」

「今の30~40代が高齢になった時には、社会に出たしっかり者の女性が高齢者になるんですから、待てない女性が増えるということなんですよね」

 

「そういやおらも待てないね」

 

「私も待てない、せっかちです。もっと人を信用しないといけないなと自戒します」

 

 




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