連日続く、介護保険報酬引き下げによる訪問介護事業所の倒産問題。
もう一度単価のおさらいをしてみるとこれだけ下がりました。
訪問介護の減収をおさらい
生活支援
20分以上45分未満の生活援助
- 改定前(2021年度):基本報酬 190単位
- 改定後(2024年度):基本報酬 179単位
- ➤ 差引き:▲11単位の減少
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身体介護(身体2)
- 改定前:基本報酬 396単位
- 改定後:基本報酬 387単位
- ➤ 差引き:▲9単位の減少
全国の訪問介護事業所の従業員規模は30人以下が4割と言われていますので、
月間サービス提供時間は、2,500時間~2,900時間として、月額報酬は250,000~406,000円の減収となります。
かなり大雑把な計算をすれば、全国の事業所36,000ケ所が30万の減収になったとして、月108億円の介護保険の圧縮ができたことになります。
でも介護保険の安定的な運用につながったと賛美の声は聞こえてきませんね。
それより、訪問介護事業所が潰れて行く中で、どうやって在宅介護、在宅福祉を継続して行けるのか考えなくてはならなくなりました。
一つの道筋には福祉用具の活用が考えられると思います。
福祉用具の活用の重要性
老人ホームの施設数には限りがあります。老人ホームとなれば建設費用が掛かりますから、どんなに急いでも今起きている在宅介護の穴を埋めることは難しいです。
同じように既存のデイサービスや訪問看護で、在宅生活を支えることは難しいです。
となれば、高齢者が住む住宅自体のアップグレードをしていくしかありません。
そこには住宅改修はあるにせよ、生活自体を維持させ、自立支援を促すためには福祉用具の存在が欠かせません。
そんな福祉用具ですが、介護保険導入当時から福祉用具の進化を感じられないんです。それどころか在宅介護支援センター時代によく並んでいた商品と様変わりしていないように思えます。もちろん製品自体は進化しているものと思いますが、その取り扱う商品・ラインナップが変わり映えしないんです。
在宅介護支援センター
:介護保険制度以前の老人福祉制度のもと、在宅の要援護高齢者やその家族などを対象に、身近なところで必要な情報を提供して支援する一方、その家族の負担を軽くするため、在宅介護や生活上の悩みなどに関する総合的な相談に応じるためにできたセンターです。
引用元:WAMNET
施設サービスと在宅サービスの関係
介護保険のあるべき姿として、私は今回の介護報酬改定には相互作用を感じないんです。これまで施設サービス費を下げれば在宅サービス費を上げる、などの動きがありました。今回も、在宅サービス費は減少したため、施設サービスが上がり、施設建設も増加しているとのことです。2030年までにサ高住を60万戸まで拡大する目標を掲げ、補助金制度を拡充中ですが、今回の訪問介護の負荷を補う動きはまだないように思えます。
施設の場合、一つの箱ものを維持させるために必要数の職員ありきで運営しますが、訪問介護の場合、働く職員数の変動に合わせて供給できるサービスを変動させることができます。つまりは担い手不足である介護職員の全国平均給与所得を増やすためには、施設サービス>在宅サービス だったというわけです。
この部分だけでいえば、報酬改定の意義はあったにせよ、肝心の高齢者の生活自体が立ち行かなくなっています。人材不足のこの日本において、施設サービスに比重を置いた以上、在宅サービスのこの結果は当然なんです。在宅サービス側が人材不足ならばこそ、AI、IoT、ロボット技術の発展を促すような相互作業を推し量るべきです。その一手が足りない。でも、先に上げたように、福祉用具はこの分野への参入をあまり強く推し進めていません。

どうして福祉用具が発展しないか
この問題を箇条書きしてみます
・安全性・耐久性重視になりがちで、製造コストが高い
・介護保険という市場規模の限定により、大量生産ができない
・介護保険があるために、市場競争が起きない
・介護保険によるアフターサービスありきのために、販売コストが下がらない
という問題が内在しています。
この問題を抱えて、人手不足の問題を補えるでしょうか?
本来、訪問介護の生活支援を引き締めてきた段階から、食洗器やルンバなどのロボット掃除機などの導入を進めるべきでした。
ですが、この介護報酬改定直前に介護給付費分科会で以下の様な資料が提出されています。
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001228073.pdf
”
利用者の身体的な動作を支援する
介護者の身体的負担を軽減する”
のを目的とし、生活の利便性を上げるものは対象にしないとなっています。
制度の原理原則ばかりに目を奪われ、「施設サービスの単価を上げたから、在宅サービスの単価は下げよう」でも「福祉用具は生活の利便性を上げるものは対象外にしよう」とじゃあどうやって生活をしていくの?がないと思わないでしょうか?
机上の空論に日本国民が振り回されていると感じずにはいられません。