福祉職はいつも聞き役として、傾聴・共感の教育を受けます。
ですが、話す技術の勉強はしないものです。適切な声がけと、言葉遣いなどの一般常識は求められても、しゃべる能力は求められていません。
実際の介護福祉士の試験にも、それに類した設問はありません。ケアマネもそうですし、保育士にもないです。日本のどこかの学校では授業としてあるのかもしれませんが、それだけメジャーではありません。
内容は硬めですが、私は相談技術の権威でもなんでもないので、軽い気持ちでお読みください。
ケースワークの真髄
相談技術として求められる、バイスティックの7原則。
個別化 (individualization)
受容 (acceptance)
意図的な感情表出 (purposeful expression of feeling)
統制された情緒的関与 (controlled emotional involvement)
非審判的態度 (nonjudgmental attitude)
利用者の自己決定 (client self-determination)
秘密保持 (confidentiality)
参照元:ケースワーク
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B1%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%82%AF
上記の内容をみても、主体性は相談者(相談を受ける者ではなく)であり、それをどうやって聴き、相手の問題点を聞き出すかを求められるわけです。
特に傾聴はただ「聞く」ではなく、相手に「共感をしろ」と習います。共感は女性が得意とされています。相手の気持ちに寄り添い、適度な相槌とその話への興味関心を持っていることをうまく表現することが、女性の方が向いているとされています。
でもね
ここまでは教科書通りの話だと思います。でも実際やってみるとこれがうまくいかないんです。
なんとか相手の話を聞き出そうとするまではいいんですが、相談者さんがノリノリになって、止まらないなんてことはよくあることでして(汗)
ある相談者さんを抱えていた時は、その方だけで毎回4時間は話を聞かなければなりませんでした。相談機関に来た時には、不満や不安が大爆発することはありますからね。でもそういう事情の方ではありませんでした。相談員側は人の話を聞くのが仕事だということを理解していて、あえて長めに話をすれば、私が助かるだろうと、私へのいびつな配慮でした。
なので話の中身は相談業務に関係のない、日本政府の一般会計と特別会計の在り方や、パイナップルの正しい切り方まで話は及びました。私はその方の相談を受けるのがいつも憂鬱でした。ただこうやって月日が経ってから思い返すと、その方はかなり精神状態が悪い方だったなと今は思えます。それだけ共感するために、感受性の感覚を開放するということは、相談者の精神状態に近い状態になってしまうんです。相手にはカタルシス効果はあったでしょうが。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%82%B9
今の職場の相談員たちはみんな女性で、話を聞くのがうまい人ばかりですが、彼女たちの精神状態はあまりよろしくない様子だと思っています。必要な技術だからと言って、自分の限界まで「受容する」のは正しい技術だとは思えません。
こんな記事も書いているので一緒に読んでいただければ

主導権を握るために
相談業務とは、ストレス発散のため、カタルシス効果のためにあるのではないと思います。その効果はあっていいでしょうが、それがメインではなく、あくまでも適切な福祉支援へ結びつけるのが本懐なはずです。
話すことはストレス発散になるからと言って、私の様に相談員を利用されては精神がもたなくなるからです。そのためにも、こちらも「話す」「しゃべる」という技術習得が必要だと思うんです。
もちろんバイステックの原則から離れない程度の上で、相談者の相談内容が取り散らかることのないようにするためです。
私に相談業務を教えてくれた方には、その技術を磨くためにも、明石家さんまさんの番組を観ろと教わりました。彼は人の話を聞き出すために、適度に上手な合いの手を入れつつも、会話の主導権を握っていますよね。
当たり前のことですが、この技術、そう簡単には会得できないんですよ。ましてや相談技術の基本から外れないようにしつつ、さんまさんのようにはしゃべれません。
それでいて、口が重いタイプの相談者さんが相手の時は、こちらがしゃべりすぎる原因になってしまうんです。相手に合わせて、口数の増減も必要になります。
そもそも主導権は握ってはだめですよね。
などと考えると、まだまだ私は修行不足だと感じています。