

「はりえさんは入院経験ありますよね?」

「もう何回も入院したことあるね、うちの父ちゃん、入院してもなかなか見舞いに来ない人で~~」

「初めから話を脱線しないでください・・・(汗)」

「入院して、ナースコールって押しやすいものでしたか?」

「押しにくいよー」

「かかった病気によっても押す回数なんか違うんじゃないの?、トイレに連れて行って~とか頼まないとならない時もあるし」

「あと来てもらう看護師さんなりに、嫌な顔したりされるとその看護師さんの時は呼びたくなくなるよね。」

「実は、病院はナースコールがなくてもいいんですが、介護施設は設置義務があるんですよ。今回は病院の話というより、介護施設の話だと思ってほしいんです。」

「その介護施設では、職員がナースコールを押しづらくするために、ナースコールのボタンを隠したり、利用者から離したりしてはいけないんですよ。虐待行為に当たるんです」
引用元:厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/1.pdf
’ナースコール使えない’高齢者虐待増加 県内介護施設などで
https://www3.nhk.or.jp/hiroshima-news/20240123/4000024828.html
すみません、新しいものが見つからなくて、古いニュースです。

「こんなことするのかい?信じられないね」

「だめですか?」

「こんなのありえないよー(怒)」

「私の体験談なんですけどね、
とある特養利用者で、病院から退院してきたところから話は始まるんですが、もともと認知症のない方で(昔の特養は居たんです)、やっと自分の施設に戻ってこれた、うれしいと喜んでたんです。」

「退院時も、認知症状はなかったんですが、私の夜勤の夜は5分に一度ナースコールで呼ぶ人でした。」

「それは多いんじゃないの?なんだって呼ぶのさ?」

「内容は様々ですよ。
・背中が痛いからさすってほしい
・廊下の非常灯がまぶしいから消してくれ
・施設の食事のネギは風味がない、病院のほうがまだ風味があった
・まだ死にたくない、どこどこはいいところだからもう一度行きたい etc」

「それが5分毎にあるの?」

「ええ、きっと不安に駆られているんでしょうね。しかも日中帯寝ているので、夜になるとナースコールを鳴らすんです。」

「今思い出すと、私の夜に合わせて便が出るように、看護師が下剤を飲ませていたと思うんです。だから、おなかが落ち着かなく余計に眠れないし。という状態だったんだろうなと。」

「先輩たちには怒られましたよ。こんなに利用者を不穏にさせて、この利用者は夜中ナースコールなんて鳴らす人じゃない・・・と。それはそうです、偉いベテラン介護士の夜に下剤は服用させないようになっていたし、そもそもその利用者さんは私のことが好きだったようです。」

「手を握っててくれ、とよく頼まれましたもん。でも夜は夜で介護士は衛生品の消毒やら、備品の補充がありますからね。ゆっくり手を握ってなどしてあげられませんでしたよ。」

「そこら辺の仕事が滞れば余計に先輩たちに怒られるから、必死に夜の作業もこなさなきゃならないのに、ナースコールは鳴りやまない。地獄でしたよ。」

「どうにかできないのかい?」

「できないですよ、眠剤など飲ませ、活動時間が減れば認知症になる恐れがありますし、精神安定剤などを処方しようにも退院してきたばかりの利用者が、すぐには精神科を受診できないですし。」

「だから元介護員の端くれとして、ナースコールを隠したり、押しづらくする気持ちは分かりますよ。」

「そりゃ、施設の印象は悪くなるし、介護士になりたいと思う人も増えないわ。」

「それに人って朝型の人と、夜型の人がいるんですよ。だから高齢になっても夜活発な人もいるんです。それを一律でみんな寝せて、夜は職員の数を減らすというのも、まあそもそも無理やりな話なんですよ。」

「おら朝型だからよくわかる。」

「居酒屋経営してるのに・・・(汗)」

「それと、保育園の話に通ずるところがあるんですが、福祉って、慈善事業 慈しむ 施し なんで、介護する側が自然と上位・優位な立場になってしまうのは確かなんです。」

「だから弱い立場側がナースコールを頻繁に押すというのは、利用者さん側としてはよほどの状態だと認識しなければなりません。」

「ナースコールを押す理由を考えて、それこそ不穏状態を和らげるような支援が必要な状態だといえます。」

「という建前をよくよくよく、介護員全員は理解しているんです。その上でナースコールを押すときはちょっと考えてくれると、利用者さんと介護者の関係が良くなるんじゃないかと。」

「親子なら『お父さん早く寝てよ』といえても、介護者はそんなこと言えませんし。」
「最近言われるようになりましたが、救急車を呼ぶのと一緒だと思っていただければ・・・と。」

「必ず駆けつけますから(涙)」