1.立ち飲み屋ってしってます?
私は、30歳くらいの頃から立ち飲み屋に行くのが好きです。
ホストさん・ホステスさん・気の利いたママさんなどがいるお店には興味がないんです。理由は福祉職だからだと思います。仕事で積極的に利用者さんと関わり、コミュニケーションをとる仕事をしているのに、オフタイムまで誰かとコミュニケーションを取りたいという気持ちにならないというか・・・、というより薄給で行けないというのが一番の理由です(笑)
でも、同じ飲むなら居酒屋というのもあると思うんです。こちらは私でも通おうと思えば通えるんですが、「しっかり酔いに行く場所」というイメージの場所だと思っています。
2.なぜ行くようになったのか
30歳くらいで立ち飲み屋に行くことになったのは、ケアマネ時代、現役時代居酒屋を経営されていた方の訪問をした時に、
「ヌーソさんは真面目そうね。でも真面目過ぎるかな。『過ぎてる』といわれるのは褒められてはいないのよ。」
「仕事で嫌なことがあったら、そのことを引きずったまま家に帰ってしまうでしょ?それではお家で待っている人にもヌーソさんにもよくないのよ。家に帰る時におうちの人に戻る儀式があるといいと思うわ。立ち飲み屋とか(笑)」
と言われたことが大きなきっかけだったと思います。
ケアマネ時代、いつも苦情が入り、仕事は日祭日出勤しても終わらないという毎日の最中、特に私の身の上話をしたわけでもないのに、その方にはなにか感づかれてしまったんでしょうね。
その方は間もなく小さな老人ホームに入られ、お別れしてしまいましたが、なんとなくその言葉が忘れられず、立ち飲み屋に行ってみようと思いました。
3.勉強
行ったことがある方ならお分かりになると思いますが、渋めの立ち飲み屋というところでは30歳そこそこは「若造」の分類にすら入りません。そんな大先輩方と肩を並べて飲むわけですが、一番怖いのはお店の店主さんです。立ち飲み屋には数件行ったことがありますが、まずもって怖ーい人が店主で、ちっとも愛想なんてよくないです。声をかけるタイミングが悪かったら注文も受け付けてくれないなんていうのはざらです。
そんな立ち飲み屋は何がいいかというと、お酒、食べ物がおいしく安いということです。お世辞にも接客がいいとは言えないお店が多いですが、味は確かで、出てくるスピードも速いです。当時1000円を握りしめて飲みに行けば、ものの30分でしっかり酔えるというわけです。
こうやって仕事終わりに、家路に帰る儀式をする場所なんだなと勉強(?)しましたが、あいにく私の帰路上には立ち飲み屋がなく、外勤からの直帰の時など限られた時にしか寄れてはいません。
4.お客様
さて、やっと本題なんですが、福祉も「サービス」と呼ばれるようになり早20年以上が経ちましたね。
サービスということは、ホテルや高級レストランなど、接客のプロフェッショナルな人達も同じ「サービス」をする人達なわけです。そして、上記のような私が行く立ち飲み屋の店主さんも「サービス」をする人達なわけです。
では、福祉サービスの接客サービスをする、保育士・介護職員・支援員・障がい者施設職員たちは、どのレベルを求められているのかと考えてみました。
施設の種類によりますが、老人ホームなどは、より上質なサービスを求められるようになりました。利用者のことは「お客様」とお呼びする施設もちらほらありますよね。
私が当時介護保険導入前に実習に行った特養も「お客様」とお呼びする施設で、椅子なども高級なクッションのためか、特養利用者には二度と立ち上がれないのではないのかと思うほどの、柔らかいクッションの椅子でした(笑)
その上質さは特養や老健に必要なサービスなのか問いたくなるんです。
例えるなら、高級レストランであれば、磨き上げられた透明度の高いワイングラスに、ピッカピカの銀のナイフとフォーク、染みひとつないナプキンと厳選された食事。そしてなによりその食事を運び、いついかなる時にもお客様に喜んでいただけるように対応できるウエーターさんがいるわけです。ついでに私の実習先の椅子も付けますか(笑)
高級レストランにならこのような質の高いサービスを求めることはごく自然なことでしょうね。でも特養や老健は高級レストランではありません。利用料金は決して安いとは言いませんが、高級有料老人ホームほど高い利用料金体系にはなっていません。建物は天上の低い簡素なものが多く、介護職員はどこも人手不足で、ワンオペよろしくの状況ばかりです。

5.学ぶべき先は?
状況は高級レストランではなく、立ち飲み屋に近いとはいえないでしょうか?いえ立ち飲み屋以下なのかもしれません。そもそも立ち飲み屋に、背の高いワイングラスや高級な食器なんてありません。ナプキンどころか、忙しそうな店主に悪いと思い、台の上にある布巾で自分が食べた後テーブルを拭かないと、と思えるところです。そんなところで「お客様」と呼ばれたり、高級な椅子が出てきたら、なにかのドッキリなのではないかと心配になってしまいます(笑) ただそれでも、お客はその店を必要とし、店主は店を続けられるように利益を上げているわけです。
コロナにより赤字が多い中、昨年からの光熱費高騰により、どこも青色吐息の社福ばかりなのに、高級レストランのような上質なサービスを求める社福経営者層。
まず、高級レストランをみるより立ち飲み屋の経営を学ぶべきだと思います。