平成30年から適用された保育指針には「保護者」という名称が300回以上出てきます。
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000202211.pdf
また保育園の法的基準である児童福祉法においても、「保護者」という名称は200回以上出てきます。ですが、定義としてあるのは
“第六条 この法律で、保護者とは、親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現 に監護する者をいう。“
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322AC0000000164
となっています。
であれば、学校教育法上ではどうなっているかと言えば
“第十六条 保護者(子に対して親権を行う者(親権を行う者のないときは、未成年後見人)をいう。以下同じ。)は、~後略~“
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322AC0000000026
とざっくりしたものしかありません。
保護者=親権者
とは明示されていないんです。
実際に祖父母などの親戚と暮らしていて、その家族が保育園にお迎えにくる家庭もありますよね?でも上記の条文には記載されていない「家族」なのに、保育園は預かった園児をその家族に返す行為をしています。
では、保護者とは誰を指すのか深掘りしてみたいと思います。
保護者とは
法律上では、明確なものはないことを紹介しましたが、国側としても一定の定義が必要になったようです。その必要性が出たのもコロナによるものでした。
この支援金制度は、コロナ禍において「子どもの世話を行うために、契約した仕事ができなくなった個人で仕事をする保護者」を対象とした支援金です。
※令和5年3月31日までの分をもって制度を終了
そのQ&Aにある、「保護者」とは
“親権者、未成年後見人、その他の者(里親、祖父母等)であって、子どもを現に監護する者が対象になります。
そのほか、子どもの世話を一時的に補助する親族も対象になります。”
引用元:厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/000889779.pdf
となっています。
なので、
一般的なもの
①父母
②未成年後見人
③里親
④祖父母
⑤叔父・叔母・従兄弟などの親戚
までは範囲という事です。
ですが、こんな問いもあります。
事実婚
Q05-04 事実婚の状態でも、子どもの保護者になりますか?
その解答には
“住民票記載事項証明書の続柄の欄から、例えば「同居人」や「妻(未届)」など事実上の婚姻関係を確認でき、現に子どもの監護を行っている場合は、対象になります。”
となれば、住民票の確認が出来て、実際にこの監護をしている場合は、「保護者」とみなさなければなりませんね?
さらに最近では、
児童デイの送迎や、子どもの送迎を代行してくれるファミリーサポートセンター事業もありますよね?となれば、児童デイの職員や、ファミリーサポートセンターの提供会員も対象になります。
ファミリーサポートセンター事業とは
“子育て援助活動支援事業(ファミリー・サポート・センター事業)は、乳幼児や小学生等の児童を有する子育て中の労働者や主婦等を会員として、児童の預かりの援助を受けたい者と当該援助を行いたい者との相互援助活動に関する連絡、調整等を行う事業。”
https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/outline/pdf/setsumei8-2.pdf
以上から、保育園側としては、園児を「保護者」及び、その代理人であっても返さなければならないということになります。
では離婚・離婚調停中の場合は?
保育園としては、プライベートの話なので、保護者のそういった話に深入りしづらい部分がありますが、どうしても「児童表」「園児台帳」「児童家庭調査票」「児童環境調査書」などの名称の書類を、保育園では年度初めに書いてもらっており、これがお迎え連絡をするときの重要なツールなんです。ましてや、その保護者代表を世帯主の父にしていたりした場合、のちの請求関係などにも支障があるので、離婚の連絡はどうしても欲しいものです。
そのままにしておいても、世帯主=保護者ではない恐れがあるからです。
離婚調停
そんな離婚の調停ですが、親権問題や、子の引き渡し調停などの申し立てをしている時は、保全手続きを行い、仮処分などを受けた状態であることも、保育園には連絡が欲しいです。
参照元1:この差渡し調停:裁判所
https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_07_09/index.html
そして離婚後
私がこの記事で一番書きたかったのが、この内容です。
これまで述べました通り、離婚調停中であれば保全手続きを行ってほしいですし、離婚後は保育園にも連絡をいただき、保護者の人数・代表者などの変更も必ず行ってほしいのです。
あまり話したくはない内容でしょうが、母親が保育士に世間話のついでに「離婚した」程度の連絡で終わらされることが多々あるんです。
昨今、離婚などによる子の連れ去り問題の現場が、保育園になる場合が多くなってきたと感じています。連れ去り問題とは、夫婦の一方が子供を連れ別居することを指しますが、家庭の内情を知らない保育園側としては、今後どちらが親権者になるかを含め、保護者が「誰」かを正確に連絡してくれないと、園児を守ることができません。夫婦は離婚後、他人に戻れますが、たとえ離婚しても子にとって両親であることは変えようのない事実です。その子にとっての最良の保護者は誰かということまで、保育園側は判断ができません。

最後に
保育園は保護者に園児を返しているつもりです。ですが、家庭の諸事情により、朝預けた保護者と迎えの保護者が必ずしも一緒にならないこともあると思います。子どものためにも、保育園との連絡は密にとっていただきたいと思います。