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2026年 Global Net Workshop(GNW)にドコモが参加してきました! 〜ドコモからの発表と得られた学び〜

はじめに

本記事は「電子情報通信学会(以下IEICE)総合大会参加レポート」シリーズの記事です。

ドコモでは研究・開発活動の一環として、IEICE総合大会に参加しております。研究発表やパネルディスカッション、講演などを通して、研究成果の共有や技術議論を行っています。

本記事では、その中でも「2026年3月9日に開催された、電子情報通信学会 総合大会のGlobal Net Workshop (GNW)」に関する取組みをご紹介します。 筆者はNTTドコモ 6Gテック部の黒岩 史登、林 悠眞です。

今回は、日頃取り組んでいる3GPPの標準化活動の中で得られた知見の整理・発信に加え、英語でのプレゼンテーション力の向上を目的として、GNWに参加しました。 本ワークショップでは、合計108名の世界各国から集まった学生や若手研究者を中心に、発表と活発な議論が行われました。

本記事では、その中でもドコモが発表した内容の一部と、実際に参加してみて得られた気づきを中心にご紹介します。 本記事はモバイルネットワークの標準化に関心のある方や、英語での国際ポスター発表に興味がある学生・若手エンジニアの方にもおすすめです。以下の点を記載しております。

  • GNWの概要と特徴
  • ドコモが行った発表の内容と背景
  • 実際に参加して感じた会場の雰囲気や他展示の印象

※ GNWの公式情報は こちら(IEICE公式ページ) をご参照ください。

https://www.ieice.org/jpn_r/activities/taikai/general/2026/en/gnw.html

会場の九州産業大学

Global Net Workshopの概要

GNWは、電子情報通信学会(IEICE)が主催する国際的なワークショップで、主に学生や若手研究者を対象に、英語によるポスター発表と議論の場を提供することを目的としています。日本国内の参加者だけでなく、多くの海外学生・研究者が参加している点が特徴です。 当日は以下のようなプログラム構成となっていました。

  • Flash Presentation:各発表者が1人あたり約30秒で、自身の研究内容を簡潔に紹介
  • ポスターセッション:ポスター前での双方向ディスカッション(ローテーション制)

最初にFlash Presentationを行うことで、参加者が興味を持った発表のブースを選びやすくなっており、その後のポスターセッションでより深い議論につながる構成になっていました。

ドコモのポスターセッション

今回ドコモからは合計3件のテーマについてポスター発表を行いました。それらの一部についてご紹介いたします。

①新規NAS (Non-Access Stratum)方式におけるコアネットワーク機能部の優先度に応じたアクセス規制

背景

5Gシステムでは、NASと呼ばれるモバイル通信の制御レイヤを通じて、端末と特定のコアネットワーク機能間で制御信号を交換しています。一方、6Gでは、特定の機能部に集約せず、複数の機能部と端末が直接通信する新規NAS方式が議論されています。

この方式は、特定の機能部への処理負荷集中や単一障害点の軽減に寄与する一方で、定常的な信号量の増加が懸念されております。

5Gまでは、信号量の増加により輻輳した場合、特定の通信を許可・制限する仕組みによって、輻輳状態を段階的に緩和してきました。しかし、新規NAS方式においては、通信規制を段階的に緩和する仕組みがまだ整理されていません。

提案内容の概要

本発表では、下記の内容について提案しました。

  • 6Gで議論されている新規NAS方式の紹介
  • 従来のNAS方式と新規NAS方式の定性的な評価
  • 新規NAS方式の特性を活かした通信規制を段階的に緩和する仕組み

本提案手法により、従来のNAS方式における通信規制に比べて、モバイル通信における優先度に応じた規制制御が可能となります。例えば、位置情報管理に関わるLMF(Location Management Function)の信号のみを端末側で規制するような制御が可能となります。

また、モバイル通信分野以外の専門家もポスターセッションに参加することを想定し、5Gシステム通信の仕組みを、できるだけわかりやすい表現で説明することを意識しました。

新規NAS方式の特性を活かした通信規制を段階的に緩和する仕組み

②大規模障害時におけるIMS (IP Multimedia Subsystem)ネットワークの安定性向上に向けた検討

背景

IMSは、音声通話などのマルチメディアサービスを制御・提供するためのコアネットワークの機能です。3GPP標準仕様の一部では、端末がネットワークに接続して通話などのサービスを利用可能にするための登録処理(Registration)についての挙動が定義されています。

しかし、この標準化上の挙動では、特に同時に複数のサーバがダウンしている等の大規模障害時においてもRegistrationの要求が繰り返されてしまい、結果としてネットワークやサーバの回復処理そのものを妨げてしまう可能性がある点が課題であると考えました。

コアネットワークの大規模障害時挙動は、世界中の通信事業者が共通して抱える課題であり、各国のオペレータやベンダと議論しながら解決策を模索しているテーマです。

※本記事の内容は一般的な標準仕様上の課題を題材にしたものであり、実際のネットワーク障害を示すものではありません。

提案内容の概要

本発表では、下記の内容について提案しました。

  • 従来は、ネットワーク障害時でも端末は障害状態を把握できず、同一のRegistrationを繰り返し送信し続けてしまう

  • 本方式では、ネットワーク側で障害状態を検知し、Registration抑制に関する情報を端末へ通知することで、端末自身がRegistration挙動を制御可能となる

  • これにより、不要なRegistrationの集中を抑制し、ネットワーク全体の安定性向上が期待できる

技術の詳細よりも、標準仕様に基づく挙動がどのように回復を妨げているのか、またそれをどのような考え方で抑制すべきかという点を重視して説明しました。

音声システムサーバへ繰り返しRegistrationを発信する課題

印象的だった質問

ポスターセッション会場の様子

①新規NAS (Non-Access Stratum)方式におけるコアネットワーク機能部の優先度に応じたアクセス規制

  • 6Gにおける議論状況に関する質問

今回の提案は6Gに関連する内容であることから、6Gではどのような通信方式が検討・議論されているのか、また、どのような新しい価値の提供が想定されているのかについて質問いただきました。

これに対しては、現在6Gにおいて議論されている主な検討項目や想定スケジュールを紹介するとともに、どの地域や企業が積極的に提案を行っているかといった動向について説明しました。

②大規模障害時におけるIMS (IP Multimedia Subsystem)ネットワークの安定性向上に向けた検討

  • 大規模障害時に、リトライ総数は削減できる一方で、処理時間が増加するというトレードオフ関係についての指摘

これに対しては、ネットワークの回復を妨げないことを最優先に考えた結果であると説明しました。その上で、今後は回復を阻害しない前提を維持しつつ、より効率的な制御を目指して検討を進めていきたいと回答しました。 また余談として、学生主体のワークショップであったことから、就職活動に関する質問を受ける場面も多く、技術以外の面でも交流の機会がありました。

実際に参加してみての感想

ポスターセッションの雰囲気

会場全体として、海外からの参加者を含め、学生の発表者が非常に多い印象を受けました。英語での議論が自然に行われており、研究分野やバックグラウンドも多様であったため、普段我々が触れることの少ないテーマの発表を聞く良い機会となりました。

Flash Presentationの難しさ

最初に行われたFlash Presentationでは、1人30秒という非常に短い時間で自身の発表内容を簡潔に紹介する必要がありました。この短時間のプレゼンで、研究の要点を伝えるだけでなく、自分のブースに引き付けるための工夫や面白さが重要だと強く感じました。 限られた時間の中で、内容を削ぎ落としつつ印象に残すことの難しさを実感し、今後の発表に向けた良い学びとなりました。

印象に残った他のポスター

他の展示では、以下のように非常に幅広い分野の発表が行われており、強い刺激を受けました。

  • 監視カメラ自身にAI機能を導入し、店舗の状況を解析・監視する技術
  • 単一波長の光レーザを狙った周波数に分散させ、センサ用途に活用する技術
  • 5Gネットワークにおけるハンドオーバを自動的かつ効率的に制御する技術

ネットワーク分野に限らず、AIや光技術など多岐にわたる発表があり、GNWが分野横断的な議論の場であることを実感しました。また、英語での質疑応答を通じて、自身の英語力についても課題と成長の両面を強く意識する機会となりました。

得られた気づきと今後の検討

今回のワークショップへの参加を通じて、改めていくつかの重要な気づきを得ることができました。 特に印象的だったのは、自身が取り組んでいる技術分野について、必ずしも前提知識を持っていない方々に向けて、いかに簡潔かつ分かりやすく説明できるかという点の重要性です。専門的な内容であっても、背景や目的を丁寧に整理し、要点を絞って伝えることで、より建設的な議論につながることを実感しました。 今回得られた知見を、標準化会合等での提案や議論に活かすことで、より実効性のある技術検討を進めていく予定です。

まとめ

GNWは、標準化や研究内容を発表する場であると同時に、国際的な環境の中で自身の考えを英語で発信し、議論する貴重な機会でした。 今回の参加を通じて得られた技術的な知見や気づきを、今後の標準化活動や技術検討に活かしていきたいと考えています。 また、ドコモでは今回のGNWのように、若手が国際的な場で英語による発表や議論に挑戦できる機会が多数用意されています。今後も、標準化や研究開発に関心のある学生・若手研究者の皆さんと、一緒に新しいネットワークの姿を議論できれば嬉しく思います。




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