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【登壇レポート】20年続くシステムに挑む! 生成AIを用いた6G標準化業務の効率化【NTT Tech Conference 2026】

こんにちは、ドコモ 6Gテック部の野﨑です。

2026年2月18日(水)に開催された「NTT Tech Conference 2026」において、ドコモ 6Gテック部とNTTドコモビジネス(株) イノベーションセンター(以下、ドコモビジネス)から「20年続くレガシーシステムを乗り越えながら、 生成AIを活用して6G国際標準化業務を効率化した話」というテーマで登壇しました。

この記事では、当日のセッションでお話しした内容の要点をピックアップしてお伝えします。当日ご参加いただけなかった方や、生成AI・ローカルLLMの業務活用に興味がある方の参考になれば幸いです。

発表の様子

はじめに

NTT Tech Conference とは

「NTT Tech Conference」は、NTTグループのエンジニア有志が開催している、エンジニア同士の技術交流を目的としたカンファレンスです。今年は「docomo R&D OPEN LAB ODAIBA」を会場に、現地約50名、オンラインも20名程と多くのエンジニアが集まり、日々のノウハウや技術的な挑戦について活発に議論が交わされました。

ntt-developers.github.io

3GPPと標準化業務とは

私たちが普段から利用しているスマートフォンの通信仕様は、「3GPP」という国際的な標準化プロジェクトで作られています。 (※3GPPとは何かを詳細に知りたい方は以下のドコモ開発者ブログの記事で詳しく解説されていますので、本記事と合わせてぜひご覧ください!)

nttdocomo-developers.jp

3GPPには、RAN・CT・SAといった複数のワーキンググループが存在し、年6回の会合のたびに世界中から各WG合計で1万件近い膨大な寄書(技術仕様や機能改善などについて各社が提出する提案書類)が提出されます。私たち担当部署では、他社提案の分析のためにこれらの文書をダウンロードし、1件ずつ目を通して内容を確認する必要があり、非常に時間がかかっているという課題を抱えていました。

本発表は、この時間のかかるプロセスを、生成AI(ローカルLLM)を活用していかに効率化したのか、その試行錯誤の軌跡をまとめたものです。結果として、一晩で数千件の寄書要約が完了し、分析業務の効率を大幅に向上させることに成功しました。

発表内容

1. API課金と開発環境の「壁」

標準化業務を効率化するため、文書処理に長けた生成AIの活用に着目しました。しかし、1万件近い文書を商用の生成AI APIサービスで処理しようとすると、コスト(年間数十万円規模、機能追加に伴い増大)がかかってしまいます。

さらに我々の部署は標準化業務がメインであるため、LLMを潤沢に動かせるようなGPUサーバー群を持っていませんでした。「開発環境」と「コスト」という2つの課題をクリアすべく、個人のPC環境でも動作可能な「ローカルLLM」によるアプローチが始動しました。

2. 3GPP文書特有の処理の難しさ

初期段階では「Ollama」を利用してローカル環境で要約スクリプトの作成を試みました。OllamaはローカルPC上でLLMを簡単に実行できるオープンソースツールで、コマンドラインから手軽にモデルを動かせる点が特徴です。

具体的には、個人のPCでOllamaとスクリプトを実行し、寄書からテキスト抽出を行い、抽出した内容をLLMに自動入力し要約出力する手法を検討しました。

しかし、3GPPの文書には数十年にわたって蓄積された独自のお作法が存在し、ワーキンググループごとに記載フォーマットがバラバラでした。Wordの機能が駆使された複雑な文書や、何万字にも及ぶ文書も多く、単純にテキストを抽出してAIに投げても処理が進まなくなる事案が多発したのです。

また、GPUを搭載しない個人のPCでLLMを実行することも、処理時間や実行ハードルの観点で課題がありました。

3GPP寄書を入力に用いる際の壁

3. LM-StudioとUnified Memory Access搭載マシンによるブレイクスルー

これらの課題を克服するためには、GPUなどを用いた推論環境の整備・運用とシステム実装の両面が必要でした。6Gテック部は要件整理・評価を主導しつつ、ドコモビジネスと連携して開発面の支援および推論環境の提供を受けることで、推論環境・実装の試行錯誤を迅速に進められるようになりました。

最終的に「Ubuntu + LM-Studio」の環境を採用することで、ローカルのミニPC上に「OpenAI互換のAPI使い放題サーバー」を構築しました。LM-StudioはGUIベースでローカルLLMを管理・実行でき、OpenAI互換のAPIサーバーを手軽に立ち上げられるデスクトップアプリケーションです。GUI上でモデルのパラメータチューニングを容易に行うことも可能です。

さらに、ミニPCには、Unified Memory Accessと呼ばれる、RAMをGPUメモリに転用可能な機能を搭載した機種(MacやAMD Ryzen の一部)を採用し、gpt-oss-120bという比較的規模の大きいLLMモデルの実行が可能となりました。

処理フローとしては、まず寄書(Word/PowerPoint/PDF)からテキストを抽出し、LM-Studioで立てたAPIサーバーに文書を入力、要約結果をHTML形式で出力する仕組みとしました。これにより、API課金やマシンのリソースを気にすることなく、プロンプトの試行錯誤が容易になり、一晩まわせば数千件の寄書要約が完了するという実用的な仕組みが完成しました。

作成した要約結果

今後の展望

セッションのまとめとして、単なる要約にとどまらず、今後は人手を介さず自動で文書を分析してデータベース化するシステムの構築や、RAG(検索拡張生成)を用いたベクトル検索など、さらなる高度化をめざしていくことを共有しました。

また、複雑すぎる3GPPのレガシーフォーマットに対しては、「すべてをLLMに任せるのではなく、正規表現でマッチさせたほうが正確かつ高速かもしれない」というように、現在もコーディングAIエージェントを活用しながら、適材適所で技術を使い分ける工夫を続けています。

おわりに

膨大かつ独特なフォーマットを読み込むような特殊な業務であっても、ローカルLLMや開発ツール群をうまく活用すれば、コストを抑えながら大きな業務効率化を達成することが可能です。

実際に本ツールを活用している標準化担当者からは、「これまで1週間かけていた寄書分析が格段に楽になった」「重要な提案を見落とすリスクが減り、戦略立案に集中できるようになった」という声が寄せられています。LLMによる支援が、日々の業務負担を確実に軽減してくれることを私たちも実感しています。

6Gの実現に向けた国際標準化はこれからますます本格化します。本ツールをさらに進化させながら、ドコモは6G標準化を一層推進し、次世代の通信を世界とともに創り上げていきます。




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