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マドンナ

明日は餅つきだから早く寝よう。8時前には明日の支度を済ませて子どもたちも早めに寝付いてくれた。僕も10時には布団に入って万全の態勢で朝を待つ。

ところがドッコイ、午前2時 娘が突然泣き出した。39.9度、ひと肌と呼ぶには火傷しそうな熱さだぜ。

とりあえず息子にうつしちゃならないと、別室に娘を連れていき妻と交替で添い寝した。

次に気が付いたのは朝7時。なんとなく事態に気付いた息子が「餅つき行けない?」と聞いてきた。僕が答える前から目に涙を浮かべていた。本当に餅つきを楽しみにしていたから息子の気持ちはよく分かる。だって息子は元気なんだもんなぁ。

電話で妻のお父さんに事情を話す。息子のことを思って、餅がつき終わったら届けようか?と言ってくれた。お父さんは「でも、食いてぇだけじゃないんだよな。餅つきがしてぇんだもんな」と続けた。みんな分かってる。みんなでやる餅つきは最高に楽しい。そこから生まれるモチはとんでもなく美味い。

結果じゃなくてその過程がメインなんだ。

モチが食べたきゃスーパーやコンビニでだって買えるし、いいモチだったらお取り寄せだって出来る。だけど、わざわざもち米を蒸かして、杵と臼を引っ張り出して汗かきなながら つくモチが食べたいんだ。息子は「わざわざ」という省略できる部分を、あえて自分たちの手で行うことに楽しさを見出せているんだから大したもんだ。

 

しばらくして娘が起きてきた。熱も微熱くらいには下がり、お腹が空いちゃったと笑っていた。なんとか様子見で大丈夫そうだった。あとは心がへし折れた息子だ。

とりあえず、ポケモンをさせて心を落ち着かせる。ありがとう任天堂

 

そして今日は特別なミカンがある。

「おやつにレアなミカンをみんなで食べよう」

小1男子はレアって言葉に弱いのを知ってる。レアと聞けばときめく。レアメタルとか語感だけで卒倒してしまいそうだ。僕の予想通り息子は目を輝かせて

「うわーマジでー」と寄ってきた。

妻が職場でもらってきたビニール袋に 紅まどんな が入っていた。クラスのマドンナを特別扱いしない感じがいいし、それでもきっと、マドンナと呼ばれる所以を僕らに見せてくれるんだろうという僕の勝手な思い込み。

ビニール袋からたまたま一つ取り出したら紅まどんなだった。妻も紅まどんなが入っていることは知らなかった。

果肉がきれい。僕の手の乾燥っぷりがよくわかる。味は瑞々しさと濃厚さがとても美味しい。家族みんな「おいしい」と言って顔を見合わせた。マドンナにはかなわないね。

 

息子が機嫌を取り戻したし、娘もなんか大丈夫そうなので僕は野良仕事をしに庭へ出た。1時間くらいして戻ると「なんちゃって餅つき」をやろうと言って妻がもち米を蒸かしていた。

 

子どもちが大喜びで「ママが作ってんだよ」「すごいでしょー」と僕を見上げながら二人がクルクルついてくる。手を洗っている間もクルクルと衛星のように周りながらママの凄さを教えてくれた。

妻にはにかなわないなぁ、良妻賢母(マドンナ)である。

 

僕の手の乾燥っぷりはさておき、妻がおすすめのノリ+チーズ+ダシ糀+ラー油という組み合わせでいただいた。

マドンナにはかなわないね。




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