これは「モダン・ソフトウェアエンジニアリング」の第1章のタイトルで「ソフトウェアエンジニアリングはプログラミングをはるかに超えた存在である」という言葉から始まっています。
そして、いま明確にその変化があらわれていると思います。
その続きに書かれているとおり「小さなプログラムを開発することと、商用のプロダクトを開発することは、別物だったのである」ということはAIがコードを書くようになった昨今で大事な視点ですね。
「モダン・ソフトウェアエンジニアリング」の著者ヤコブソンは、オブジェクト指向全盛期にランボーやブーチと共にスリーアミーゴズと呼ばれた中心人物で、UMLの策定にも深くかかわっています。
ヤコブソンはOOSE(オブジェクト指向ソフトウェアエンジニアリング)を手法として作っていましたが、名前にあるように、ソフトウェアエンジニアリングにオブジェクト指向を持ち込んだ形です。
開発プロセスを分析-構築-テストと大まかに3分していましたが、テストが含まれる点が他のオブジェクト指向手法と違う点です。
また、副題が「use-caseによるアプローチ」とあるように、ユースケース分析を生んだ手法でもあり、要件定義に強い手法であるともいえます。
そして、オブジェクト指向をはずして現代化したのが「モダン・ソフトウェアエンジニアリング」です。
面白いのは、ヤコブソン自身が関わっているOOSEやその後のラショナル統一プロセスなど含め、だれかが作った手法は創始者によってコントロールされて「監獄の中にいる気分になる」そしてこうしたことが「価値のない「世界で最もクレイジー」な状況」としているところ。
そして「すべてのチームや組織が独自の手法を構築すべき」として、その手法に取り込むための部品をプラクティスとして提供する、というのがこの本の、そしてベースになってるSEMATの趣旨です。
SEMATについてはInfoQに設立時の記事がありますね。
SEMAT - ソフトウェア工学の方法論と理論 - InfoQ
ヤコブソンの他にも、ウォーターフォールを批判する形でとりあげたら発祥者のように扱われたバリー・ベーム、デザインパターンのエリック・ガンマ、プロセス成熟度の提唱者ワッツ・ハンフリー、ソフトウェア開発定量化のケイパーズ・ジョーンズ、アンクルボブのロバート・マーチン、オブジェクト指向入門という鈍器の著者バートランド・メイヤー、構造化手法を発展させ、ソフトウェア管理の落とし穴をまとめてデスマーチという言葉を広めたエドワード・ヨードンなど、ソフトウェア工学を作ってきた人たちが並んでます。
「オブジェクト指向禁止」のネタがバズり中だけど、そうすると「オブジェクト指向がダメなら次はなんだ?」のような話が出てくるわけですが、そういった誰かがつくった「監獄」に入るのではなく、各自がそれぞれ手法を作りましょうということ活動を、そういった面々がやっているわけですね。