以下の内容はhttps://nou-yunyun.hatenablog.com/entry/2025/07/09/200000より取得しました。


日本アニメの影響で麻薬の売り上げ落ちたであるとか、マフィアがキレているという話のおそらくの出典

7月12日 一部追記



https://x.com/syatekiya931/status/1936152143016477149

 ってな感じに日本のアニメのおかげで麻薬売り上げが落ちたであるとか、マフィアがキレてるという「話」がある。定期的に出てくる「日本アニメすごい」話みたいなものなのだが、そもそもソースが示されたことがない様なのでおそらくの経緯を記しておく。まずこの話自体は当然ともいうべきかアニメ好きに刺さる話であって過去に複数回バズっている。例えば今年の4月には類似の話としてtogetterで「海外ニキから「大麻吸えばアニメキャラと話せるぞ」と冗談を言われた日本人が「大麻吸わなきゃ話せないのはまだまだ」と返した話…アニメは麻薬の天敵かもしれない」というまとめが出来るくらいにバズったし、7月には「薬物依存に特攻」という話まで出てきている。


https://x.com/ISAF118thMobius/status/1941292850974687459

この「リボン付き@ISAF118thMobius」がいってる「某カナダカルテルがいうところ封印法案」が何を指すのかよくわからないが、カナダでは児童ポルノ絡みでの規制は日本より厳しいと言われており、それの事を言っているのかもしれない*1。さて「リボン付き」による話は「カナダ」だったが、この「麻薬とアニメ」に関する話は元々はブラジルでの話だった。例えば2014年3月に「深津 貴之 / THE GUILD@fladdict」によって拡散した投稿は次の様なものだった。


https://x.com/fladdict/status/439576698707648513

このブラジルで発表された「論文」において「日本アニメを好きになった青年は麻薬に手を出さなくなる」というのが拡散初期の原型だ。そしてこの「論文」が云々という情報自体は2010年10月12日にmixiで書かれた情報が元となっている(該当のmixiページは削除済み)。今現在生き残っている転載ページとして「流離のメタボ兵しんじ」というブログがあるが、こちらの転載記事は不完全なものとなっている。当時拡散したのはこちらのページではなく、「月夜のぴよこ と 空耳うさぎさんたち」(ブログ削除済み)というブログによる下記の記事となる。

日本のアニメが知らぬうちに麻薬撲滅に活躍したり、中国にダメージを与えている
タイトルが凄いんだけど、狙われてるのは私じゃ無いよw   なにが狙われているか…
日本アニメですw
じつは、国内、国外関係なく、日本アニメは最近「研究」の対象になってるようでして、世界中の学者さん達が、真剣に研究していて、彼方此方で「論文」が発表されてます。
(中略)
で、タイトルの件。
実は最近次のような研究発表がブラジルで発表されました
「日本アニメを見て好きになった青年(男女問わず)は、それらの関連商品を買う為に、麻薬に手を出さなくなる」
いや、そりゃそーだろw
まぁ、日本の親の中には、それが悩みの種って方もいらっしゃるだろうけどね…w
まぁ実際、地球の裏側にある国の、田舎の小さな町の農道でコナちゃんと同じ踊りを踊るのが夢です…とか言われても親は困惑するだろうけど、ヘロイン打ってラリラリになったり、お金払えないでぶっ殺されたり、逆に相手をぶっ殺したり…に比べれば、随分マシだわ。
そんなこんなで、日本アニメが広まると、麻薬組織にはダメージがデカイ訳。小さな講堂で、みんな集まって「ハレハレユカイ」を踊る人間が増えると、麻薬組織が困る。
大抵こう言う場合、その商品とかを扱う地元の商店とかを、マフィアがぶっ潰したりするんだけど、いわゆる「オタ商品」はそこらじゃ売ってない。
でも売ってないから「欲しい」んだよねw、ブラジルの皆さんw
だからお金掛かっても良いから欲しい。
そこで海外から直接お取り寄せするわけ。
とても麻薬なんて買ってる場合じゃありません。
そんなだから、なぜかペルー人が水色のセーラー服持ってたりする訳(動画アリ)
なので、マフィアも対抗しにくい構図があったりするんだな。
by ゆきだるま
あ~、世界が凄い事になってゆくなぁ…まぁいいけどw
と言う記事があったのだけど、つづき、↓
ーーーーー
以前、日本アニメが知らない間に麻薬組織に狙われていた…って日記を書いた
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1509253557&owner_id=38445&org_id=1511015247
内容的には、全然日本と関係無い異国の地で、日本アニメが民族紛争の仲介役にいつの間にかなっていたり、麻薬組織撲滅に一役買ってたり…
冗談のような話だし、話を聞いたときは「そんな眉唾な…」って思ったよ。
でも、シャレでも冗談でもなく、キチンとした学術論文を見て、考えが変わった。確かに効果がでてる。「いや、でも、こじつけだよ…」って言えなくも無いナァ…って思ってたんだけど、そういう研究があの日記の時点以降も続いていて、学会で発表されたりしてるんですよ…
(以下略)

これは「ゆきだるま」という人物が書いた記事であるが、彼が述べるところの「論文」は全くもって示されていない。当時もそのようなツッコミが存在していたりするし、ポルトガル語でそれっぽいワードで検索してもそのような情報および論文はヒットしない。またこのブログにおいて「ゆきだるま」と話した管理人は「日本のアニメが知らぬうちに麻薬撲滅に活躍したり・・・の捕捉「ハレ晴レユカイ」の世界侵略。」という補足記事をのちに書いているのだが、「論文」についての情報は存在しない。結局のところ、この「論文」の実在は怪しいと判断せざるを得ない面が強い。


【7月12日追記】
 上記のmixiのタイトル名、および投稿日時が分かったので追記しておく。「カマヤンの燻る日記」というブログで2011年に書かれた記事だが、ここに該当mixiの転載が存在するのだが、そこにはこうある「なぜか知らない間に麻薬組織から狙われている件 2010年06月09日10:13」。つまり2010年6月9日に書かれたのだろう。これは次に見ていく5chの書き込みを受けた可能性が濃厚な日付だろう。


 上記の2010年10月のブログ記事では「論文」という客観的に見える情報が付加されているのだが、実はこの「論文」という情報がない以外はほぼ類似の内容が書かれた書き込みが2010年6月に「【東京】 悪質な性描写のある漫画などの販売方法を規制する青少年健全育成条例改正案 都議会、否決へ 民主、共産など反対多数★2」で行われている。

18 :Trader@Live! :sage :2010/06/09(水) 00:42:05.87 (p)ID:Yt134OKG(3)
ちょっと別件
(p)http://tsushima.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1275774979/
659 :名無しさん@十周年:2010/06 /06(日) 19:11:59 ID:Zx5jxpPd0
新書「日本はアニメで復興する」において、ブラジルの例として、日本アニメにハマった
青年層(女子含む)は、(漫画・アニメに注ぎ込むために)”麻薬にカネを使わなくなる”
傾向が強く出るそうな・・・
 
即ち、若年層における麻薬依存からの脱却と云う合目的性において、日本漫画・アニメの
”効用”は、カトリック神父の幾百幾千の説教に勝ると云うことらしい・・・
 
今日、イスラムのみならずキリスト教においても一部に”原理主義的傾向”が強まっているが、
そうした傾向を担う連中にとって、日本漫画・アニメによって齎される”快楽”が、民衆の
倫理的生活の礎として機能していることへの『嫉妬心』とでも言うべきものが、殊更な文化摩擦
を焚きつけさせ、そして日本国内でのその走狗とも言えるのが日本ユニセフと云う組織なのだろうな・・・
 
792 :名無しさん@十周年:2010/06 /06(日) 22:53:32 ID:sVp+pAHx0
>>659
>>75に書いてあるが,日本ユニセフの理事をしていた澄田は,元日銀総裁
澄田の親は満州で麻薬利権を持っていたし,澄田家と海外との付き合いは古い.
  日本ユニセフは,自分ではわかっていないかもしれないが,国際的な麻薬組織の
ために仕事をしている可能性はあるな.
 
803 :名無しさん@十周年:2010/06 /06(日) 22:59:57 ID:Zx5jxpPd0
>>792
そうか、”麻薬ビジネス”の障害になるから(>>659参照)漫画・アニメを目の敵に
するようになったんだな、日本ユニセフ・・・
 
ずげーなジャパニメーション

以上の書き込みが「日本アニメにハマった青年層(女子含む)は、(漫画・アニメに注ぎ込むために)”麻薬にカネを使わなくなる” 傾向が強く出るそうな・・・」という見出しと共にまとめられ、若干拡散する。スレッドの見出しを見ればわかる様に当時の表現規制に対するスレッド内の話であり、日本ユニセフと麻薬組織を繋げる様な陰謀論も語られている。ちなみに拡散したブログ記事の方も最後に「日本のアニメのどうでもいい表現の自由、静香ちゃんの入浴シーンとかゆるさんと児童ポルノ法案で徹底的に攻撃をしているのが、アグネスちゃんと日本ユニセフなんだよね。麻薬撲滅のために、やめてほしいもんです。」と書いていたりして、当時の空気が窺い知れる。
 5chでの書き込みにおいて紹介された新書『日本はアニメで復興する』がこの「アニメと麻薬」情報の大元であると考えられる。なおこの新書は2010年4月に刊行された櫻井孝昌『日本はアニメで再興する クルマと家電が外貨を稼ぐ時代は終わった』となり、5chの新書名は単純に誤っている。「復興」ではなく「再興」が正しい。そして実際の書籍では次のような記述が存在する。

「アニメは麻薬問題を減らす」と語るブラジル人女子
(アニメとロリータファッションで自己のトラウマを克服した女性の親友の回答として)
「ブラジルでは若者にはびこる麻薬が大きな問題になっています。私の知人にも、それで入院してる人もいます。でも、アニメやコスプレに夢中な人で麻薬をやっている人は、見たことも聞いたこともないんです」
 夢中なのもを見つけた若者は、まずお金をそのために使おうとする。また、バーバラさんがそうだったように人生に前向きになることにより、麻薬に逃げるといったことをしなくなるというのだ。
p.173-4

元々の櫻井の新書においては彼がインタビューした女性による、アニメ、コスプレ好きの彼女の周りには麻薬をやっているという人間はいない、という主観的な感想にしかすぎず、そこに櫻井その主観的回答をそのままの解釈を繰り返し述べているだけであり、「論文」も「統計」の様なものも、警察、報道などの公的な情報も存在していない。5chの書き込みでは「傾向が強く出るそうな・・・」とあたかも客観的な情報がありそうな書きぶりだが、実際には主観的情報のみである。櫻井の著書は日本のアニメなどのカルチャー、ソフトパワーの強さや「再興」の為の展望を語ってはいるが流石に5chなどの書き込みにおけるユニセフなどの情報は存在しないし、「論文」もない。
 このような流れを見ていくと櫻井による新書(2010年4月)ではブラジル人女性による「主観的情報」が5chの書き込みで「客観性」を帯びたかの様な情報へと変質と麻薬組織などの大きな話が加わり(2010年6月6日)、そしてmixiの書き込みでは真偽不明の「論文」の存在が足されたという流れと言える(2010年6月10日、拡散は10月)。果たして最終段階の「論文」が実在するかどうかは不明ではあるが、正直その存在には疑念を抱かざるを得ない。ただアニメ、コスプレに夢中の人間が麻薬に手を出しにくいという話自体は否定しない。2023年のX上の投稿では昔のコミケカタログでブラジル優勝者兄妹の両親がアニメにはまって麻薬などに手を出さなかった的な話が載っていたという投稿が存在するし、単純にお金も使う夢中になるものがあれば麻薬という選択肢を選ばないという行動そのものは不思議ではない。ただマフィアが敵視しているかは眉唾で2024年までのブラジル連邦道路警察による高速道路上での麻薬押収量を見ると基本的には右肩上がりで、2024年は過去最高を記録している。麻薬は相当に流通してるだろうし、ブラジル国内でマフィアがアニメに怒っているという様な話はネット上では特に見受けられない。ネット受けを狙った大げさな表現だろう。
 昨今この話が良く語られているようだが、おそらく「表現の自由サイバー犯罪条約etc)」の話題などがあるからだろう。そういった意味では2010年の当時も「表現規制」がこの話題の拡散に寄与しているであろう事から共通点があると言える。しかし、この「気持ちの良い話」はかなり誇大に表現されている様に思える。



投げ銭用ページ

note.com

*1:例えば「カナダ 表現」で検索すると児童ポルノ関連の発言があるのでそれの事を指すと思われる。逆に「アニメ 薬物」などで検索しても特にそういった情報はない




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