前回、「中国でベトナム人が政治煽り動画(高市アゲ、野党腐しetc)を作ってるみたい」という記事を書き、「中国」でベトナム人が政治系動画を作成してるのではないかという記事を書いたが、改めて検証してみたところ状況証拠として「中国」ではなく「ベトナム」で動画を作成していると判断するに至ったのでそれについて記しておく。直接的な理由は後述するが、前回「中国」と判断するに至ったのは何故か、失敗の原因は何かを書いておく。誤謬の大きな要因は取りも直さず前回取り上げた「ゆっくり日本を知る」というチャンネルが挙げていた動画「私の毎日の通勤」に尽きる。

この動画は中国の福建省泉州市の動画である事は確実なのだが、そもそも果たしてこの動画そのものが本当に見出し通りの「私の毎日の通勤」である事はなんら保証されていない。この動画の出処は定かではなく百度などでも簡単に検索した限りは出てこず、そして自ら場所を特定したことによってこちらの判断能力が落ちたことは否めない。そも運営側としてはわざわざほんとに勤めている場所を挙げる必要性は別にないのであるが、筆者は動画の運営者が動画制作裏側をアップしたりする異常さや、そこからの通勤Vlogによって「迂闊」さを見出してしまったのだが、しかしそもそも彼の製作現場動画からはベトナムの痕跡が見いだせる。

ヒントは飲料だ。特徴的なのは「CHIN SU」のロゴがあるチリソースだが、これは日本でも売っている製品であるから場所の特定には向かない。

では他の飲料はどうか。

こちらも見た目の判断はこれだけだと難しいが、右側のオレンジジュースにはミニッツメイドのロゴが見受けられる。ミニッツメイドは国によってパッケージが異なり、中国のミニッツメイドはロゴの位置が異なることがわかるし、日本はペットボトルそのものの形が異なる。その中でベトナムのミニッツメイドはペットボトルの形やロゴの位置が動画と酷似している事がわかる。
なおミニッツメイドの隣においてあるのはミネラルウォーターの「AQUAFINA」だと思われるが、こちらはベトナム、中国ともに商品の見た目は似ているので国の判別には向いていない。

まこのシーンにはテイクアウトで買ったと思われるコーヒーが映っており、コーヒー豆を使用したロゴが見える。

ここが分かれば巨大チェーン店でもない限りは場所はほぼ特定できただろうが、残念ながら中国、ベトナム双方でコーヒーチェーンのロゴを検索したところこの店舗を探し当てられなかった。ただミニッツメイドの形状からは中国よりもベトナムの可能性の方が高い様に思える。前回の検証には甘さが残り、中国と軽率に書いてしまったことをここにお詫びする。
他のチャンネルにおける動画制作語り
しかしこれだけの情報だとベトナムと確定は難しく、いまいち場所は不明だ。ただ以下から述べる情報からベトナムの可能性の方が高い。前回の記事を書いた後に思うところもあって、「ゆっくり日本を知る」を再度調べようと思ったところ前回と同じ方から今回と同様に動画制作について語っているチャンネルを教えてもらった。それが「リアクションタイム」というチャンネルであり、そこには「🏮 Welcome to リアクションタイム🏮」という動画がアップされている。

https://www.youtube.com/@%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%82%AF-b4g/videos

https://www.youtube.com/watch?v=9M5zs3xrFDE
この動画も「ゆっくり日本を知る」の製作過程をベトナム語で説明している。部屋の雰囲気から「ゆっくり日本を知る」を同じ部屋だと思われるし、例えば次の画面に映っている飲料は「nutri boost」というベトナムの飲料だ。


その他にもベトナムのお菓子が映っていたりとベトナムである事を示す材料が見られる。しかしその一方、別の動画である「VLoG」では冒頭にチャンネル主の彼女がパソコンに向かった姿の後に原宿を歩く動画が展開されている。

https://www.youtube.com/watch?v=NEcxVW9MHt4
「ゆっくり日本を知る」と「リアクションタイム」は同じ部屋であろうにも拘らず、片方は「中国」の動画、片方は「日本」の動画をVlogとしてアップしている。女性の方は通勤とは言ってないとはいえ、男性の方の中国の通勤動画は部屋に散らばるベトナム製品の痕跡から本当に「通勤」なのかは甚だ怪しいと考えざるを得ない。これらが所在地をごまかす為にやっているのかまでは不明だが、いずれにしてもVlogで提示される場所は動画制作場を示してはいないことが窺える。そして、このほかにもこの手の動画制作について語っているチャンネルは複数見つけられた。

https://www.youtube.com/@%E6%99%82%E4%BA%8B%E8%A7%A3%E8%AA%AC%E3%83%A9%E3%83%9C-v6o/videos

https://www.youtube.com/watch?v=uQLZ44MojEA

https://www.youtube.com/watch?v=8CHUH1D-rHs

https://www.youtube.com/watch?v=fcSWWxh0UHo
下二つの「心の反応-日本の視点」と「日本視点リアクション」は同一人物と思われ、ナレーションや途中からの構成は全く同じとなっている。またサムネイルでわかる様にこれらは同一の部屋で撮影されているものだ。「時事解説ラボ」の動画には「ゆっくり日本を知る」で出てきた眼鏡の男性と思われる人物も一瞬映っている。やはり「会社」としてこの様なyoutubeなどの日本向けネット動画を作成しているのだろう。ちなみに「心の反応-日本の視点」はVlog形式の動画も投稿しているのだが、そのうちの「A Day in My Life as a Channel Owner — Walking the Streets & Exploring」という街歩きをするとタイトルで語る動画はチャンネル主が映った後は「冥鳴ひまり」というVtuberのゲーム実況動画と思われる映像が流れる。

https://www.youtube.com/watch?v=2-LcZVcJAp0&t=3s
流石にこれはパクリだろう。この「心の反応」は他にもVlogとして場所は不明だがムエタイの動画をアップしているのだが、動画撮影者は明らかに男性であり、チャンネル主とは別人だ。やはりこのVlogは彼らの実生活とは別と判断するしかない。
動画の傾向としては政治以外に「海外の反応」などから見て取れるようにウケそうなネタを選び、視聴回数を稼ぐことによる金銭的利得を優先しているのだと思われる。それと今回は動画制作を語っているチャンネルを挙げたが、全てのチャンネル主が動画制作についてをアップしているわけではないだろう。ただこれらの動画は一部文章の使いまわしをチャンネルをまたいで行うことがあり、例えば「"皆さんの「いいね」と「購読」は映像制作に大きな力になります"」という文言で検索すると、「日本トレンド速報」、「日本の本音リアクション」、「日本ニュース速報」etcがヒットする。さらにこの他の調べ方としてはサムネイルを検索する事だ。

https://www.youtube.com/watch?v=A4TjtDrh9lY
上記は「ゆっくり日本を知る」にアップされているサムネイルとなるが、この形式のサムネイルはよく見る。この形式を利用した動画が全て繋がっているとまではわからないが、しかしそもそも全く同じ動画がアップされている事が検索するとわかる。

「ゆっくり日本を知る」は2月9日に動画をアップしたのだが、「政治の真実速報」というチャンネルが3月6日に同一の動画を挙げている。動画をパクったというよりも共有したという可能性の方が高いだろう。スクショには別のサムネイルも複数出てきているが、これも同サムネの別チャンネルだ。これらのチャンネルではチャンネル主が直接出てくる動画は存在しないが、背後にはこの「会社」の存在があり得る。
動画制作を語る理由についての推測
ではなぜこの「会社」はこの様に自らベトナム人であることをほぼ隠さないチャンネル主の動画を複数上げているのだろうか。一つのチャンネルだけで行われているならば自己主張の強い変なチャンネル主と片付けることも出来たのだろうが、これだけ多いと明らかに組織的な運営方針としてやっていると見た方が良い。考えられるのはこういった動画をアップする事によって動画制作はAIによる粗製乱造などではなく、製作者自らがクリエイティブに動画を製作しているという姿勢を見せ、チャンネル閉鎖を避けるためではないか。昨今、AIによって動画制作コストが激減したことによって動画が氾濫し、その影響の中でチャンネルが閉鎖されているという現象がみられる。そのためにこういった「製作過程」を提示し、閉鎖を避けるという手段を講じてみたと考えられる。というか、これ以外は少々考えにくい。例えば上記のスクショの一番下に「【衝撃】石破茂前首相、高市首相に〝上から目線〟の釘刺しで「お前が言うな」大炎上」というリンクがあるのだが、これは「日本でよかった【政治ゆっくり解説】」というチャンネルの動画だった。しかし現在このチャンネルは閉鎖されている。閉鎖をすれば収益化はあり得ない為に、このリスクを避ける為の試行錯誤の一つなのだろう。その一環として「毎日の通勤」などのVlog形式のものを挙げているのかもしれないが、Vlogの動画は彼らの所在地を明らかにしているわけではなさそうだ。
【追記】教えてもらったが、収益化の審査に落ちたり、停止された場合、異議申し立ての動画を送ることができるとの事。redditでは次のような投稿を見つけた。
最近、YouTubeチャンネルの収益化審査に落ちて、異議申し立てをしたんだ。そしたら今日、返信が来て、異議申し立ての動画がコミュニティガイドラインに違反してるって言われたんだけど、全然意味わかんないんだよね。
その動画は、YouTube Studioの画面を録画して、自分がどんなコンテンツをアップロードしてるかを見せて、収益化に値する理由を(ナレーションで)落ち着いて説明してるだけなんだ。音楽も、著作権侵害も、悪口も、誤解を招くようなことも、ガイドラインに違反するようなことは何一つないんだよ。
今回アップされた動画と状況がよく似てるので、閉鎖の予防ではなく異議申し立ての方が確かにしっくりくる。ただその動画を公開する必要まではなさそうなので、現状の公開設定はおかしいのだと思われる。ただこちらの推測の理由についての調査が足りず、考えが足りなかった。詰めが甘いよ。【追記終わり】。
これを書いてて思い出したが、以前「youtubeで生成AIを使用した偽情報を含む動画群は主にベトナム人(?)が作成しているのでは」というのを書いた。これは動画の各所に見られる情報からベトナム人がこういった動画を作成しているのではという推測だったのだが、今回の動画制作現場を見る限りはベトナム人が組織的に作っている事はほぼ確実だろう。ベトナムの求人を漁るとyoutube動画作成者も見つかるので、そういったネット動画制作産業が現地にあり、そのジャンルの一つとして日本向けの動画があり、その中でウケそうな「海外の反応」、「日本の政治」などが取り扱われているのが現状なのだと考えられる。
【3月15日追記】
記事中でサムネイルの検索について書いたのだが、その最中で次の様な投稿を見つけた。

https://x.com/kimetu2016/status/2031968038971658362
これは「鬼滅のJAPAN」(現在、収益化が定差視され動画は一切チャンネルに置かれていない)というチャンネルのアカウントなのだが、自身のyoutubeチャンネルが今回扱った「日本視点リアクション」を含めたチャンネルにパクられているという訴えだ。「鬼滅のJAPAN」にはこの投稿以外にもそういったパクりを訴える投稿がいくつかある。この訴えが事実とするならばベトナムの会社が作ってると思われるチャンネルはこういった動画のパクりも多くあるのだろうと。ちなみに「鬼滅のJAPAN」の中の人が日本人であるか、それとも今回の様に他の国の人間かは不明である。
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