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「少し儲けさせていただかなくてはなりません」。

「好きな喫茶店は?」ときかれたら、「あ、それはね」と自慢したくなるお店をきっとみんな持っているんじゃないだろうか。

 

わたしにも、「いくつか」ある。最近は「いくつも」と言ってもいいかもしれないぐらい、「あのあたりなら〇〇さん、このあたりなら□□さん」といった具合に、出かける先と喫茶店はだいたいセットになっている。

 

今日は午前中に月1回の会議に電車で出かけたあと、夕方から職場の会議が入ったので、最寄り駅に停めておいた車に乗って、そのまま職場へ向かうことになった。「…ってことは、あの喫茶店に行こっと!!」とひらめいた瞬間から、ブルーな会議もへっちゃらな気分になった。

 

その喫茶店は、住宅街の一角の、ちっちゃい郵便局のお向かいにあって、前の道を近所のひとが自転車や徒歩で行き交う姿がよく見える、おっきなガラスの引き戸が目印。

 

わたしよりきっと20歳ぐらいお若いんだろうなぁと想像する店主さんは、とても素敵なひとで、わたしにとっては、つまり「おんなが惚れるおんな」なのである。

 

Instagramで彼女のお店を眺めながら、ずっと行きたかったのだけど、「保育園のお迎えがあるので、この時間にはお店を閉めなくてはなりません」という閉店時間にわたしの仕事が間に合わず、しかも土日祝はお休みなため、なかなか、なかなか行けなかった。

 

それが可能になったのは、まぁ、ちょっと笑っちゃうけど、「父の病院受診の送迎」のおかげといえばおかげ。午後の早めの時間に解放されるので、車で移動すれば、なんとか喫茶店に辿り着けると思い立ち、今月の受診日にトライしてみたところ、ばっちり「3時のおやつ」にありつけた。その、うれしすぎる「おまけ」があれば、父のところに出向くのも少しは気持ちが明るくなり、自分を納得させることもでき、一石二鳥どころか三鳥にも四鳥にもなることを実感した。

 

この喫茶店、珈琲もチャイも、マフィンも、クッキーも、どれもこれもおいしい。なかでも一押しはカレー。

スパイスが効いたなすびと挽肉のキーマカレーに生姜と大葉のトッピング。味玉の塩加減も絶妙で、ピクルスの酸味がたまらない。つくるひとの人柄がそのままカレーになったみたいな、まじめであったかくて、ちょっとまるい味がする。

 

今日は、お店に入ったときにはお客さんがいなかったけど、私がカレーを頬張る間に数人ご来店。明らかに店主さんと話したくて来られている感じのちょっと高齢の女性と、窓際の席でアイスコーヒーとガトーショコラを「いつもの、あれ」みたいなかんじで召し上がる女性。そのあとは、近所の保育園の保育士さんが「休憩時間に走ってきました」と来られてチーズトーストとアイスカフェオレでリフレッシュして、また大急ぎで帰っていった。

 

過度に「お構い」することもなく、でも、なんともいえないあったかい空気が漂って、ほんとに心地よい。その空気を味わいながら、カレーのあとのホットチャイをフーフーしながらいただいた。

 

***************

この店主さんにわたしが惚れたのは、彼女がInstagramに書いた文章がおおきなきっかけ。この4月からメニューの一部を値上げせざるをえないことについての説明だった。

 

 

細くても長くお店を続けていくためには少し儲けさせていただかなくてはなりません。

 

そしてまた、私もそのお金を〇〇〇(お店の名前)の材料となるものをマジメに作っている、売っているお店へ届けなければいけないのです。

 

私も喫茶〇〇〇のママちゃんじゃない時は、どこかのお客さん。

 

とにもかくにも、皆さま今後ともよろしくお願いします!

 

 

この「少し儲けさせていただかなくてはなりません」という言葉に、ものすごく心を打たれた。そして、そのお金を、自分にも届けるべき場所がある、という言葉。

 

そう思う、ほんとにそう思う。

 

わたしたちは、お互いを「安く買い叩く」ことをしてはいけない。もちろん、これだけみんな苦しい状況になってきて、それを誰にでもは言えないと思う。店主さんとも今日話したけど、マジメに作っている300円のマヨネーズと激安スーパーの100円のマヨネーズ、どっちを買うか、選ぶ余裕があるひとが、何を選ぶかということが問われていると思う。

 

今日、店主さんとの会話で、彼女はこうも言っていた。「買い物ってさぁ、つまり投票やと思うのよね。何を選ぶかってことやん」。

 

もう、全力でハグしたいぐらい共感した。

 

そうなの、そう思うの。

 

だから、彼女には「少し儲けて」いただきたい。わたしが、ちゃんと選択した結果として、彼女のお店に出向いて、彼女がマジメに作ったものを頂き、そんなに裕福ではない自分のお財布からお金を出してお代を払う。そのお金で彼女がまた、マジメに材料を選んで、次の何かを作ってくれる。

 

この循環が、とても大切だと思う。

 

もちろん、1斤100円の食パンを大事に分け合って食べている人たちがいることも、自分の視野のなかにしっかりと入れながら、でも、というか、だからこそ、わたしみたいに「なんとか選択の余地(余力)がある」人間が、しっかりと選択していかないといけないんだと思ってる。

 

「少しだけ儲けさせていただかなくてはなりません」。

 

このひと言が、心の底から、大好きだ。




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