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サーキット・スカルプチャーについて
恒例の動画解説エントリ、今回はあんまり技術的なところで書くことがないので、サーキット・スカルプチャーの説明をしていきます。
動画だとスカルプチャー・サーキットと言ってしまったのですが、英語だと「Circuit Sculpture」の語順になっていることが多いみたいなので、このエントリでもサーキット・スカルプチャーと呼びます。
基板を使わずに針金細工みたいに電子回路を作る手法です。

↑箱型に作られたLEDライト。引用:RGB Circuit Sculpture Lamp : 7 Steps (with Pictures) - Instructables

↑惑星探査機型の天気予報ディスプレイ。引用:Landing Soon: This Beautiful Weather Display | Hackaday

↑こちらもLEDライト。LED(一番上にある白いところ)が交互に点滅する。引用:Make Your Own Flashing Lights Freeform Sculpture With a 555 Timer : 6 Steps (with Pictures) - Instructables

↑風車のLEDライト。光るし、回る。電子工作で回転する部分を光らせるのは難しいのですが(普通に線で繋ぐと回転でねじれるから)、引用元の動画を見るとおもしろいやり方をしていることがわかります。引用:[https://www.youtube.com/watch?v=NdYTs1NasPw:title=

↑7セグLEDの配線が美しい。引用:2020 Circuit Sculpture Challenge | Details | Hackaday.io

↑音量メーター。引用:https://blog.adafruit.com/2021/03/25/gorgeous-freeform-vu-meter-sculpture/

↑板状に展開されているのはシンセサイザーの回路らしい。引用:
Wonderful Sculptural Circuits Hide Interactive Synthesizers | Hackaday

↑このくらいシンプルなのもいい。温度計。引用:Reddit : Made my first ever circuit sculpture

↑ここまでに紹介したようなミニマリスティックなものだけではなく、こういうゴチャッとした作風のものも。巣が光センサになっていて、反応すると鳥がさえずるらしい。引用:
Twelve Circuit Sculptures We Can’t Stop Looking At | Hackaday
そういえば、ハンダ付け練習の定番であるLEDキューブもサーキット・スカルプチャーの仲間と言えそうですね。

引用:AuraCube 8x8x8 Led Cube Full Color RGB by wingho - Thingiverse
サーキット・スカルプチャーがどのように生まれたかはよくわからないのですが、現状のように「Circuit Sculpture」という名前でジャンル化したのはMohit Bhoiteというアーティストなのではないかと思います。上の作例でいうと惑星探査機型の天気予報ディスプレイや、音量メーターは彼の作品です。
あと最近よく作品を見かけるのがHuy Vectorというアーティストで、上に載せたものでいうと風車が彼の作品。YouTubeにメイキング動画をたくさんアップしています。
サーキット・スカルプチャーの特徴としては、その工芸的な美しさのほかに、骨組みを構成するワイヤーの一つ一つが配線も兼ねている点にあります。
なので構造を支えるためだけに自由に針金を繋ぎまくるわけにはいかず(ショートするので…)、迂回したり骨組みをいくつかのパーツで分担する必要があるので、作ってみるとパズル的な面白さがあります。
また、それによってワイヤーが入り組んだ独特の複雑なビジュアルが生まれます。
HackadayのカンファレンスでMohit Bhoiteが講演した映像がYouTubeにあるので、少し引用したいと思います。

サーキット・スカルプチャーの鉄の掟
- すべての部品は機能のためのあること。(飾りや構造を支えるためだけに使用してはいけない)
- はんだづけだけで組むこと。接着剤はNG
- 銅線(柔らかい線)は電源共有と、可動部分のパーツに対してのみ使用すること。

こうやって3Dの図面を書く

使う道具。50W以上の温調付きハンダゴテ、真っすぐのペンチとニッパー、直角を出す治具とマスキングテープ

作っている様子

左に部品の説明がある

回路としてはこんな感じ

それを3D化するとこうなる
作り方
回路を3Dで組み立てるのはめちゃくちゃ難しそうに思えますが、実際やってみた感想としては、簡単な回路であれば意外に簡単です。
まず全体の構造をGNDのワイヤーで作ってしまって、そのあとにそこに接触しないように他の配線をチョコチョコと追加していくだけです。
基板と違って3次元なので、いくらでも配線を立体交差で迂回させることができて、行き止まりに詰まることがないんですよね。図面を書かずにアドリブでも結構いけます。
ただそれだと配線がごちゃつきがちなので、美しいビジュアルを作るとなると別問題です。上のスライドにあったように図面を書いて全体を計画的に作っていく必要がありそうですが、相応の空間認識力と慣れが必要になってくるでしょう。
あと表面実装部品でやるのは絶対やめた方がいいですね……。
材料、道具
材料としては、ワイヤーは0.8mmの銅ワイヤーを今回使いまして、ちょうどいい感じでした。
真鍮も見た目はいいものの、たぶん銅の方がハンダ付けがしやすいと思います。
あと、動画だとハンダ付けの際にクッション付きのクリップを使っていますが、短いワイヤーを付けるときに両端のはんだが一緒に溶けてしまうのでやりにくいかもしれません。
以上、サーキット・スカルプチャーについてでした!
その他のちょっとしたメモ
それ以外で、動画に関する細かい情報をいくつか…
100均キャンドルライトのLEDはなぜ電池に繋ぐだけで明るくなったり暗くなったりするの?
あれはただのLEDではなくてキャンドルライト専用のLEDで、中に小さいマイコンが内蔵されていて明るさを調整しているからです。
ちなみにLEDを電池に繋ぐときはふつう抵抗が要るのですが、キャンドルライトには入っていませんでした。それはなぜかというと電源がボタン電池(CR2032)だからです。
LEDに電池から流れる電流が大きすぎるとLEDが壊れるので、それを防ぐために抵抗を入れるのですが、ボタン電池はそもそもそんなに大きな電流を流せないからです。
加湿器の回路ってどういう仕組み?
今回は基板の回路をそのまま3D化しただけなのでちゃんと調べていません!
すごくざっくり言うと、高周波を発生したうえで昇圧、それを圧電素子に送って振動で水をミストに変える、ということをやっているはずです。
気になる人は参考になりそうなサイトがあったので見てみてください。(今回のが全く同じ原理かは不明)
100円ショップで買った超音波式加湿器の高電圧パルス発生回路(基板から推測しました) - 理系CAFE
100円ショップで買った超音波式加湿器の全体回路(基板から推測しました_2) - 理系CAFE