Spotifyやyoutubeの自動再生機能を使っていると、全然知らないけどすごく良い曲が流れてきて、調べてみるとゲームのBGMや、他コンテンツとのタイアップだったということが時々あります。
それで、普通に「そうなんだ、良い曲だな」と思って聞き続けるケースももちろんあるのですが、中にはその曲に本来付随している物語性やテーマを抜きにして、単品で聞いてしまうのが勿体ないように思われる場合もあります。
もちろん楽曲単体で素敵だからこそ、わざわざ曲について調べようと思ったわけで、音楽だけでは不完全などということは一切ないです。しかし何度も繰り返して聴いていると自然に歌詞も耳に入ってきて、そこに引っかかるようなフレーズがあったりすると、特に気になって仕方がない。作品のことをすべて知らない状態で曲を聴いていることに対し、謎の後ろめたさすら感じる時もあります。音楽と世界観が強く結びついているからこその感覚ですよね。
私にとってそういうケースは割と限られていて、(例によって)Revo曲から辿っていった進撃の巨人やガンスリンガーガールはその例に該当しているのですが、比較的最近だとMiliの曲がとても良かった。具体的に言うとエンダーリリィズのHarmoniousとLibrary of Ruina(以下、LoR)のString Theocracyです。
Harmoniousについては歌詞とかなくてハミングだけなのですが、とても奇麗で、実際プレイしてみてもゲームの寂しげな雰囲気にぴったりでした。続編も買って少しずつ遊んでいるので、そのうちブログに書くかもしれません。たぶん時系列としては、初めにランダム再生で流れてきたHarmoniousを何度も聞いていたおかげで、Spotifyが他のMili曲を勧めてきたのだと思います。優秀ですね。同じ音楽ばっかり聴きがちな私にとってSpotifyの選曲はとてもありがたく、実際それを通して知ったアーティストも結構います。
やや話が逸れましたが、次がString Theocracyです。
タイトルからして謎めいていますよね。私は最初、string theory(弦理論)の派生形かな?とか見当違いなことを考えていたのですが、調べてみるとtheocracy(神権政治)という単語がちゃんとありました。しかしstringの神権政治とは?って感じで、まずここで興味を惹かれます。
曲としては単純にお洒落かつ格好いいです。私は音楽に関するボキャブラリーが貧弱なので、とにかく好きだということしか言えない。ピアノの裏に聞こえるサックス(ですかね?)の自由な感じがいかにもジャズって雰囲気で良いです。気に入って何回も聞いていたのですが、どうも歌詞が意味深で、「あなたが私を操るつもりなら、せめて面白くしてね」みたいなこと言ってます。
ついでにアルバム名を確認してみると、"To Kill a Living Book"と書いてありました。うまく言えないのですが、このタイトルと、薄暗い本棚に囲まれて座っているアリスっぽい少女のジャケット絵の組み合わせが私の嗜好に突き刺さってしまい、PS4でLoRを購入。結果から言うと、ジャケットの絵はゲーム内容と直接関係があるわけではなかったのですが、シナリオと音楽の相互作用が素晴らしく、知ることができて本当に良かったです。
というか数年前、私の好きな「END ROLL」というフリーゲームの作者の方がブログでLoRに触れていて、一時期気になっていたのをプレイしてから思い出しました。今回は音楽のおかげで、忘れていた関心を呼び起こせたわけですね。以下、ゲーム自体の内容に触れつつ喋るので、一応ネタバレ回避のために空白を入れておきます。
ゲーム本編の内容を一言でいうと、「都市」と呼ばれる碌でもないディストピア的世界観の中で足掻く人々のお話です。
ちゃんと説明すると長くなるため、適当に概略だけ述べますが、登場人物たちはその精神状態によって、ねじれ or E.G.Oとよばれる、それぞれ暴走 or 強化形態みたいなものに変化します。絶望や諦観に吞まれればねじれ、それを乗り越える決意を見出せばE.G.Oに目覚める、みたいな感じ(厳密には違うでしょうけどここでは突っ込まないでください……)。
私は創作物における戦いは、思想と思想、エゴとエゴのぶつかり合いであって欲しいと思っているので、まずこの設定からしてとても好みでした。そのうえ、感情をダイレクトに表現してくる音楽との親和性が非常に高い。
私が好きなのはフィリップというキャラクターとの戦闘で流れる「And Then is Heard No More」です。たぶんマクベスの有名な"Tomorrow, and tomorrow, and tomorrow, ……"からの引用ですよね。あのくだりも好きなので二重に思い入れがあります。
フィリップは別に悪人というわけでもないのに、確固たる決意を持ち続けられなかったせいで酷いことになる可哀そうなやつなのですが、追い詰められてねじれになった結果、とんでもない事態を起こしてしまうので余計に救えません。曲を聴いてても、とっくに燃え尽きてしまったようで、もう何も見たくないし聞きたくないという感じです。こういう曲をバックに、背景に表示される敵の心情をチラ見しつつ、ギリギリの戦いを強いられるのがとても楽しいんです……(割と難易度高めのカードゲームなので)。
ゲーム中では、彼をはじめとする大ボスのそれぞれにMiliによるボーカル付き曲があって、こんな贅沢でいいのかと思ってしまいます。ゲームで歌付きの曲が流れる作品をあまり知らなかったのでなおさらです。この特徴は続編のLimbus Companyにも引き継がれており、このゲームが各国の古典文学を題材にした作品だというのも相まって、現在進行形でかなり重度のハマり方をしています。「ドン・キホーテ」が元ネタの七章なんてHeroのイントロ(というかインスト版?)が流れた時点でボロボロ泣いてしまいました。次回更新予定の八章は、私が未読の「紅楼夢」が元になっているようなのですが、原作があの長さなのでさすがに尻込みしています。でも読んで内容知ってたほうがきっと面白いですよね……
ちなみにLoR本編のシナリオだと、「苦痛を愛するための祈り」という詩が効果的に引用されていて、この会社は詩や文学を調理するのが本当に上手だなと思います。関連曲である、MiliのGone Angelsと合わせて非常に印象的です。
なお、この詩は前作のLobotomy Corporationでも引用されています。座右の銘にしたいくらいだな。
苦しみよ。お前は決して私から離れぬが故に、私はお前を尊敬するに至った……