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【あらすじ】
教え子の美人シングルマザーを狙ったわいせつ教師、というショッキングな事件で有名になり、世間の好奇心の標的にされた被害者「香織」の手記。
香織は幼い時から美人と言われたが、そのために誘拐されることを経験した。また教師がブルマを盗難する事件にも会うが、クビになった先生の代わりに担当になったのがヒステリックな女教師のため、周りの生徒からは、自分のせいだと非難され嫌がらせを受ける。
友達が好きな男子に告白したら、その子は香織が好きだからと振られてしまい、そのため友達からいじめを受けるようになった。不登校になった香織に対して、その子は家にプリントを届けにきてくれるようになったが、その子は香織の入浴中にのぞき見したことが見つかり父からひどく叱られて、結局その子も私を無視するようになってしまった。
6年生になると完全に不登校になり、三学期には学区外へ引っ越すことに。中学で新たなスタートできる。そう思っていたがそこでも新たな不幸が待っていた。
これでも美人は得だと思いますか?
【感想】
『ミステリー史上初の伝説級トリックを見破れますか?』が謳い文句の作品。何度か似た宣伝文句につられていろいろな作品を読んだものだが、本作品を読了しての感想は、「よくもまあこんなことを思いつき、そして見事に作り上げたものか」。
前半は「佐藤香織(仮名)」の書いた手記の体裁。その内容は、美人であるがゆえに何度も犯罪やいじめの被害にあって不幸ばかりだったというもの。小学校・中学校のいじめ、高校での初恋と失恋。コンビニやエ場でアルバイトもうまくいかず、仕事も昼から夜へと転換して一時はNo.1になるも、詐欺に会って辞めざる負えなくなる。その後何とか結婚して娘も生まれー時的な幸せを得るも、夫は寝たばこによる火災で亡くなってしまった。
―時的に父親のもとに身を寄せるも交通事故によって父は死亡、娘も交通事故に遭って下半身不随となり車椅子生活を余儀なくされる。その上香織はその娘の学校に教師に襲われるが、その教師が行方不明となったために世間から疑われたために、この手記で対抗しようとしたのが出筆の理由だという。
私には美人の気持ちがわからない。そのために味わう不幸も想像ができず、美人というよりも、己に性格に起因するものと思えてしまう。それでも何とか物語をつないで読み進めるが、幼少のころからの不幸を「これでもか」と見せられると、真梨幸子著「殺人鬼フジコの衝動」を思い出した。不幸が重なる人生がたどる結末は「やはり」当たらずとも遠からず……
最後に解明される「伝説級のトリック」だが、感想は「こんなトリック、見破れるわけないだろ!」
読了後に最初から読み直してトリックを確認したのは「星降り山荘の殺人」以来で、その労力には頭が下がるが、正直「う~ん」という感じ。
それよりも、後半になってガラリと転換した構成が見事。「手記」を読みながら感じていた違和感が少しずつ解明されていく展開に舌を巻いた。トリックを謳い文句としているが、ノワール(暗黒小説)としての完成度が高く感じた。まさに「殺人鬼フジコの衝動」。そんなところで十分満足できました。