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【あらすじ】
現在の中国河北省で生を受けた趙雲の家は貧しく、父は太平道という新興宗教に入信していた。母はそんな父を見限り公孫瓚に仕え、趙雲を呼び寄せる。趙雲は大人しいが、体格たくましく武術に秀でていた。趙雲が仕えた公孫瓚は有力豪族の子ながら、生母の身分が低く当初は注目を受けなかった。しかし秀麗な容貌を持ち聡明で弁舌もさわやか。次第に周囲の勢力を収斂していく。
公孫瓚は北方の遊牧民族を従えると、白馬の騎兵軍団を率いて戦場で華やかな活躍を見せ、北東部で確固たる地位を築く。しかし叛乱の首謀者を鎮圧できず、朝廷は光武帝の流れを汲む人望の厚い劉虞を派遣した。立場を失うことを恐れた公孫瓚は劉虞を敵視して、共闘を持ちかけられても無視をした。後に劉虞は公孫瓚と対峙するが、公孫瓚は逆に劉虞を捉えて一族もろとも処刑してしまい、公孫瓚への人望は一気に冷め、その後凋落していった。
趙雲はそんな公孫瓚に見出されて、いずれの戦場でも目立った活躍を見せる。そんな中、若い頃塾で一緒に学んだ劉備が公孫瓚を頼って、関羽や張飛などの家臣を引き連れてやってくる。趙雲はなぜか酒乱の張飛に気に入られて、関羽しか言うことの聞かない張飛の「なだめ役」を引き受け、劉備の集団で一目置かれることになった。
黄巾の乱で漢王朝が乱れ、乱世に突入した。有力な軍閥の立場にあった公孫瓚は、旗頭である衰術の求めに応じて、劉備を派遣して家臣の趙雲を随付させた。しかし衰術と対立する同族の衰紹は、曹操に命じて劉備の軍を散々打ち破り、劉備は妻子を捨てて逃走した。この長坂の戦いで趙雲は劉備の子の阿斗(後の劉禅)を身に抱え、甘夫人を保護して、2人を危機から脱出させる活躍を見せる。
赤壁の戦いを経て趙雲は本格的に劉備の家臣に加わり、その後に劉備が独立するための様々な戦いで常に成果を上げた。蜀の建国にも立ち会うことになり、劉備の元で旗揚げ時から付き従った関羽や張飛などと並び称され、黄忠や馬超らと共に「五虎大将軍」に列せられた。
その後関羽が、張飛が、そして劉備が亡くなり、蜀が劉備の子劉禅の時代へと移ると、趙雲は諸葛孔明とともに皇帝劉禅を支えていく。諸葛孔明が描いた「天下三分の計」を遂行するために、異民族を征服する南伐、そして北伐に従い、苦しい国力の中、強国の魏に対抗していく。
しかし結果を出し続けた趙雲も、ついに寿命が尽きる。前半生は公孫瓚に、後半生は劉備に尽くした人生が終わり、死後「順平候」の誼が追贈された。

【感想】
作者塚本青史が三国志の中で、「第二列目で輝く男」と、言い得て妙な表現をした趙雲。私も若い頃はそんなキャラを「第一列目」の大駒よりもヒイキして、ツウぶっていたもの。そうしたら三国志の登場人物のアンケートで、人気No.1になっていた! 日本人はこのようなキャラが好きなんですね。
その安定した活躍は、「大駒」と言える関羽や張飛とも引けを取らず、戦えば必ず結果を出す男。しかも184㎝の長身で、容貌も際立って立派だったという。しかしその活躍振りに対して史書の記述では文献によって濃淡が激しく、架空の人物ではないかと疑われるほど。そのためか塚本青史も、趙雲を描くには欠かせない「長坂の戦い」で、劉備が放り捨てた妻甘夫人と子の阿斗を助け出すシーンも、サラリと流している。
本作品は趙雲を主人公とするが、前半は「白馬騎士団」率いる公孫瓚を中心に描いている。軍閥の1つである公孫瓚から見た漢王朝滅亡から乱世に至る「三国志前史」。それは前に取り上げた「呂布」で描かれた童卓とは別の視線から漢王朝滅亡を描いている。そして幼少時から体躯に恵まれた武人の趙雲が、母の引きで地元の軍閥に仕えていく様子も、呂布と重なる。しかし仕える主人によって、その後大きく変わった運命を、鮮やかに対比させた。
丁原そして董卓と、2人の「義父」に仕えた呂布は、憑かれたように2人を殺害してしまい、周囲から畏怖されて悲惨な最期を遂げる。対して趙雲が仕えた公孫瓚と劉備は人格的に破綻しているわけでもなく、共に上り調子の時期に仕えたことが幸運だった。北東部では有力な軍閥となった公孫瓚に仕えて世に出る端緒をつかみ、その後公孫瓚が凋落していく前に劉備と邂逅する。
劉備の家臣としてその独立時から、長坂の戦いや赤壁の戦いなどの危機を乗り越えながらも、蜀を建国する過程に携わっていく。呂布と趙雲の人生を、塚本靑史は敢えて双曲線のように捉えた。始めは同じ軌跡を描き、途中から軌跡が離れていく様子を描く。その対比の手法は、この後で取り上げる作品にも現われる。
作品の後半は蜀の建国を「五虎大将軍」として最後まで生き残り、皇帝劉禅を支え続けることになった趙雲の立場から描いた。死後追贈された順平候の名を上奏する際に「柔順・賢明・慈愛・恩恵を有する者を順と称し、仕事をするのに秩序があるのを平と称し、災禍・動乱を平定するのを平と称します。趙雲殿に順平侯の誼号を賜るのが至当と存じます」との言葉が添えられた。
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