前回まで、中華統一に至る紀元前の小説を取り上げました。これからは始皇帝(ファーストエンペラー)から溥儀(ラストエンペラー)へと続く小説を取り上げていきます。その中で塚本靑史作品は、始皇帝から古代(隋・唐)までの作品が充実していますので、まずはその「くくり」が中心になります。
但し、塚本作品は私が心残りだった春秋終期から戦国にかけての「忘れ物」を、ツボを抑えて発刊していますので、ちょっと寄り道させていただきます。即ち以下の5作品。
1 「孫子伝」 現代にも読み継がれる、軍事思想を築いた人物の生涯。
2 「田釐子・成子」 太公望から500年続いた斉国皇統を「下剋上」した物語。
3 「裂果 趙襄子伝」 超大国「晋」が三分割され、戦国時代の幕を開けた人物。
4 「白起」 強国・秦の「ターミネーター」。全てを薙ぎ倒す戦闘力MAXの武将。
5 「春申君」 そんな超大国・秦に土をつけた楚の公子で「戦国四君」の1人。
塚本作品に挟んで、中国を二分した「楚漢戦争」と「三国志」は国民作家を挿入しつつ、徐々に他の作家作品の「くくり」に移行していきます。
そこで2つのくくりを合流して、合計40作品を時系列で取り上げます。ここでも(?)私のアタマの整理のために、中国の年表と作品を対比してみました。

ようやく日本の歴史と比較できるようになりました。特に塚本靑史の作品には、時の中国王朝と「倭」との繋がりを感じさせる描写が、カットバックのように挿入されています。
・楽浪海中、百余国に分かつ。初めて「倭」が記録に記された「漢書地理志」
・倭の奴国が生口(奴隷)を献上して、金印を授けた記録がある「後漢書東夷伝」
・古代日本最大の謎。邪馬台国と卑弥呼が描写されている「魏志倭人伝」
・雄略天皇を中心とする倭の五王が記された「宋書倭国伝」(南北朝時代)
・時の皇帝、煬帝に対して聖徳太子が外交使節を送った「遣隋使」
・空海や最澄。帰国が叶わず、官僚として出世した阿倍仲麻呂らの「遣唐使」

その後は平清盛の「日宋貿易」。北条時宗の治世に起きた「元寇」。足利義満による「日明貿易」。そして日清戦争と日中戦争。
途中、アタマの中では暗黒時代とも言える「五胡十六国時代」や「南北朝時代(日本と混乱してしまう💦)」、唐の後の「五代十国時代」などもあります。その中で、できるだけ各時代の特徴を抑えた作品を取り上げます。
ここから中国は儒教や仏教が広まって、人々の生活だけでなく国家経営にも影響を受けてきます。また「中華」の漢民族が長年蔑んできた四夷(夷狄)、つまり「東夷・北狄・西戎・南蛮」が中国王朝を傾ける要因となり、時に中原に進出して王朝を覆す勢力にもなります。
黄河文明から唐の時代まで長らく中国の中心を担った長安(西安)周辺部ですが、唐王朝の落日と共に灰燼に埋もれます。宋王朝は当初中原に位置する開封を首都としますが、「北狄」が中央を侵攻するようになり、宋はやむなく南遷します(南宋)。その後北方民族が進出する拠点、または漢民族の防衛線として北が重視されて、元・明・清そして現在と、北京に首都を置きます。
南部は古代と違って治水により交通網が発達し、宋が南遷したこともあり経済的に独自の繁栄を遂げます。その後「北狄」王朝への革命勢力は南部から発生し、革命を成就した明や中華民国は、当初は上海市の北に面する南京に首都を置き、その後北京に移します(かなり大雑把な説明ですが)。このように北は政治都市、南は経済都市の性格を有して現在に至ります。
*塚本靑史(NHKカルチャーHP)
中国4000年の歴史の「後編」ですが、王朝の盛衰や人々のドラマが数多く詰まっています。そして「温故知新」。この歴史の積み重ねが日本に大きな影響を及ぼし、かつ今の中国の礎を築いています。
現在の、そして今後の中国を知る参考にもなるかもしれません。引き続きご愛顧を。
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