以下の内容はhttps://nmukkun.hatenablog.com/entry/2025/03/08/000000より取得しました。


20-1 香乱記 ①(斉:? ~BC 202)

【あらすじ】

   従弟の田儋(でんたん)田栄田横の2人の兄弟を、世間では「田氏の3兄弟」と呼んでいた。斉の湣王を祖とする田氏だが、楽毅に敗れ殺されてしまい、わずかに生き残った田氏の祖父が、北方の狄の地で名を隠して生き延びていた。そして斉が滅び、秦が天下を統一する。

 

 3兄弟が狄へ帰る途中に助けた許負は、始皇帝の暗殺を企んだ張良の配下だった。許負は人相を観て、田氏3兄弟は3人とも王になると予言するが、3人は笑って相手にしない。許負は重ねて田横に、七星を見つければ心願が成就すると予言する。そして許負も自らの予言に衝撃を受ける。田氏の3兄弟が王になるということは、秦帝国の滅亡を意味するはず。許負は始皇帝の嫡子扶蘇を見ると、皇帝に就くことができない運命だと悟った。

 

 秦の治世は過酷で横暴だった。田横の許嫁だった小伽は、無理矢理県令の妾にされた。田横自身は宮殿の阿房宮への労役で成陽に向う。その途中で襲われた保衣を助けたが、実は男装の蘭は女性で、父は始皇帝の嫡子の扶蘇。2人は宰相の李斯を頼って扶蘇に会おうとしていた。田横は蘭に付き添い、扶蘇がいる遠い上郡へ向かう。田横は扶蘇と対面し蒙括将軍に仕えた後戻ると、許嫁だった小伽が、田横への思慕を抱きながら自害したことを知る。

 

 始皇帝崩御して天下の情勢が動き出す。李斯は扶蘇に使者を出したが、先に宦官の趙高始皇帝の名を使って、扶蘇を自殺に追いやっていた。父の仇を討つために再度咸陽に向かう蘭に、田横は合流する。二世皇帝になった胡亥の信任を得た趙高は、邪魔となる蒙括と蒙毅ら気に入らぬ大臣と公子を次々と抹殺した。しかし民からは反乱の機運が高まっていく。

 

  *田儋(日本通信百科事典)

 

 陳勝呉広が叛乱の火の手を上げると、叛徒はたちまち30万を超えて咸陽に迫る。ようやく危機感をもった秦王宮だが、有能な将軍は全て抹殺されていた。やむなく群臣の章邯が強制労働に従事する70万人を率いて反乱の鎮圧に成功した。一方狄では田儋の家に田栄、田光、許章などが集まり、各地での叛乱に乗じて田儋を斉王に推戴する、運命とも言える企てを決断した。

 

 呉には甥の項羽を擁する項梁将軍が小隊の劉邦ら諸隊を集めて軍を率い、反乱軍の主力になろうとしていた。項梁は以前田栄の客となり、田横に剣術を教えてくれた人物だった。田横たちも合流して斉と魏の連合軍に章邯に迫るが、章邯は裏をかいて斉軍と魏軍を大破し、斉王の田儋を敗死させた。田横は田栄と相談して、田儋の後継を子の田市を斉王に立てる。しかし斉の王朝のある臨済で、斉最後の王の弟に当たる田假や孫の田都らが叛旗を翻した。

 

 章邯は項梁と項羽劉邦の軍に大敗を喫したが、必死に反撃して項梁を倒す。しかし項梁の死は、項羽という軍事の天才を世に押し出した。項羽は3万ほどの軍で秦軍のど真ん中に現れ、20万を超える秦軍を圧倒する。歴史を変える一戦を観戦した諸将は呆然とし、諸将は項羽に平伏した。

 

 

  *人相見として歴史に残る許負



 

 

【感想】

 中華を統一した始皇帝薨去したあとに起った、青年男子の半分が亡くなったと言われる「楚漢戦争」の時代。その中で楚と漢のどちらにも与しなかった田横を中心とする斉の3兄弟の物語は、なぜか春秋戦国時代の「残り香」を感じさせる。そしてこの田横の死によって、漢による中華統一が定まった。

 作者の宮城谷昌光は、劉邦は「欺すだけ」でわかりづらいとし、対して項羽や田横の生き方の方が明快で、かつ勝者が描かれる歴史では、敗者を描く意味があると記している。しかし「師匠」といえる司馬遼太郎が既に著わしていた「項羽と劉邦」では、不思議な魅力を持って皇帝となった劉邦を「虚」と捉えて、そんな「虚」の下で人材が多く集い、自分の能力を発揮するという、司馬遼太郎なりの新たな史観を展開している。

 対して宮城谷昌光は、古代中国を描く時に「王」を描かなかった。「重耳」も主題は晋の文公になる前の、王に迫害される公子としての立ち振る舞い。主人公は様々な王の下で、時に迫害され、時に献言し、そして自己の能力を発揮しようとする「能吏」たちを取り上げている。ところが、劉邦という人物に有能な家臣が集ったことを見て考えを多少改め、劉邦に取り組みズバリ「劉邦」という作品を上梓することになる。

 

  項羽ウィキペディア

 

 そんな中で、田3兄弟は斉の国が滅亡した後に世に出る。引き付ける魅力は有するが、斉の王室に近い田假などと対立しながらも、自らの「斉」を建国しようとする。しかし青年男子の半分が亡くなる激しい時代に、小国が完全な中立を貫いて、国を維持して民を守ることは至難の技。そのために田横を初めとする「田3兄弟」たちとその家臣たち「七星」は、それぞれに過酷な運命が待ち構えることになる。

 

 よろしければ、一押しを m(_ _)m

 




以上の内容はhttps://nmukkun.hatenablog.com/entry/2025/03/08/000000より取得しました。
このページはhttp://font.textar.tv/のウェブフォントを使用してます

不具合報告/要望等はこちらへお願いします。
モバイルやる夫Viewer Ver0.14