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5 管仲(斉:BC 700頃~BC 645)(2003)

【あらすじ】

 地方で富裕だった管仲の実家は、父が亡くなると長兄が放蕩三昧となり、すぐに没落の危機に瀕する。管仲は自ら身を立てるために、わずかな資金で洛陽へと渡った。

 

 その頃洛陽には鮑叔がいた。斉国の政治家の子に生れ、その俊英振りは周囲からも認められていた。しかし鮑叔は、管仲の簡潔な言葉の裏に潜む知識に圧倒される。長兄が急死して借金が残り、許嫁とも別れる不運も重なり、人生に絶望する管仲の姿を見て、鮑叔は次第に管仲に肩入れしていく。

 

 鮑叔は周囲から好かれる人柄を持ち、の国では太子から寵愛を受けた。そこで鮑叔は管仲を推薦するも、かつて王に叛乱した管叔鮮の子孫ではないかと疑われてしまう。また戦争に巻き込まれると類い希な戦術眼を見せるも、間諜と疑われて拷問を受けるなど誤解され、やがて仕官を諦めて商人への道を模索する。

 

 しかし管仲は商人に向かず、鮑叔の伝手で太公望が建国した隣国のを目指す。最後に鮑叔への恩義から鄭における農業政策の問題点をまとめると、その突出した内容が太子の目に留まる。慌てて管仲を手元に置こうとするが、時機は既に逸していた。斉へ赴くと、鮑叔は君主僖公(きこう)に自らを差し置いて管仲を推薦し、ようやく管仲の仕官が叶った。

 

 僖公には長男の諸兒がいたが、次男の公子糾が次期国王と目され、管仲はその側を仕えることになる。斉国の安定を考えて、鮑叔は召忽管仲の3人で公子糾を支えようと提案するが、管仲は3男の小白も人望があると考え、結局鮑叔か小白に仕えることとする。老齢の僖公が亡くなると、国外にいた公子糾を尻目に長男の諸兒襄公として即位した。その性格は狭隘で気に入らない人間を次々と誅殺したため、人心は離反していく。

 

  管仲ウィキペディア

 

 悪政をほこった襄公を従兄弟の公孫無知が暗殺し、更に継承権のある弟の公子糾と小白の暗殺を企む。2人は命からがら亡命するが、公孫無知もすぐに暗殺される。その報を聞いた公子糾は斉に戻ろうとするが、鮑叔が側にいる弟の小白が、準備も整えて圧倒的な兵力も擁していた。管仲は鮑叔を敵に回してでも小白を殺害しようと決意する

 

 管仲が心眼で放った矢は奇跡的に小白を捉えたが、その矢は逸れて腹の帯に当たり、身体に傷をつけることは無かった。圧倒的な戦力を有する小白の軍は、立て直して公子糾を駆逐する。矢で捉えたとした管仲の確信は油断を招き、敵将の死を確認することを怠ることで敗戦を招いてしまう。

 

 公子糾は鮑叔の判断により、命を絶った。かつて仲間の召忽と管仲は鮑叔の前に連れ出される。召忽は糾を追って自死したが、管仲は鮑叔の強い要請により、桓公となった小白に登用される。宰相になった管仲は「倉廩満ちて礼節を知り、衣食足りて栄辱を知る」。内治を優先して国を富ませ、その名声は周辺諸国に伝わった。桓公周王朝に替わって周辺諸国を治めることになり、春秋時代における最初の覇者と呼ばれた。

 

   *鮑叔(ウィキペディア



 

 

【感想】

 周王朝の権威が衰退して、春秋時代となった初期の頃の話。「管鮑の交わり」として有名な管仲と鮑叔のコンビが、中原の諸国を制する「覇王」となった斉の桓公を支えた物語。ちなみに名前で管仲は次男、鮑叔は三男と推測できる。

 しかし作者があとがきで書いているとおり、管仲は40歳になるまでの記録はなく、多分に想像力を駆使して描いた。そこで管仲を、能力は抜きん出ているが運に恵まれない人物として、不遇をかこっている若者と設定した。対して鮑叔は人望も能力も周囲から認められていくが、その度に敬服する管仲を推薦する役割を担った。

 管仲と鮑叔が対峙する糾と小白の戦いでは、鮑叔が万全の準備をして、一事が万事管仲よりも優れた人物に見えてしまう。「強兵」の前に「富国」があることは鮑叔も承知していて、管仲がいなくても桓公を支え、覇王とすることができたろうに。とは言え管仲は宰相として「富国強兵」を成し遂げて、春秋時代では随一ともいえる宰相の名声を得ることができた。この「富国強兵」の斉の国から、後に戦術だけでなく内治や外交にも踏み込んだ「孫子の兵法」の孫武が生まれた。

 端的に言えば、管仲は類い希な知性を有しているが、時に思索の迷路に入り込む内向的な性格を内包している。例えば後の孔子らのように、学者としての道が相応しかったかもしれない。対して鮑叔は現実社会に生きて、渾身これ政治家の性格を有していた。その鮑叔が管仲に捧げる無償の愛情は余りに一方的であり、(本作品を読む限りでは)単に「管鮑の交わり」という言葉では片付けられない。

 

dantandho.hatenadiary.com

*こちらは暖淡堂さんによる、管仲を題したブログです。

 

 青年の管仲は、許婚の季燕に「3年待ってくれ」と頼むが、結局は季燕に見捨てられて絶望する。管仲は悶々とするが、季燕にも年齢的な、そして家の事情もある。管仲の兄から婚約破棄を通告される中で、3年経てば適齢期も過ぎてしまう不安もある。そのことを考慮できない管仲だが、これも青春小説の1つ。他にも管仲だけでなく、鮑叔や太子、君主などにも様々な女性が現れて男性たちの色を添えている。

 本作品は、管仲を通して数々の絶望に遭遇しながらも、友人の支えによって再生する物語でもある。そのおかげで管仲は80歳を超えてまで、君主を支え続けることができた。

 まだ「乱世」が世に広まっていない、素朴な人間が多数存在した時代の物語。

 

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