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橋をテーマにした連作短篇集。そして愛蔵版の本には巻末に、藤沢周平が愛用した江戸古地図が挿入されています。とてもステキな地図なので、こちらの地図から作品の舞台となった「橋」を探して、紹介していきます。
そのため前後2回に分けますが、掲載の順番は地図に合わせて変更していますので、ご了承ください。
1 小ぬか雨(親爺橋)
両親を早く亡くして履物屋で独り住まいをしていたおすみ。自分の預かり知らないところで、がさつで愛情を持てない勝蔵という職人と所帯を持つことになり、将来に希望を持てないでいた。ある目裏口を閉めに行くと、若い男がうずくまっていた。男は追われているといい、おすみは男を匿うことにした。
匿っているときに勝蔵がやってきて来るが、おすみは若い男を隠して勝蔵を体よく追い返す。すると数日後、奉行所の者がやってきて殺しの下手人を捜している、と聞き込みが入る。人相書きの顔は、間違いなく若い男だった。

気のない男と所帯を持つ前に現われた、若い男。江戸時代における「マリッジ・ブルー」のお話。映像では北乃きいが演技の幅を広げましたが、相手役が(あの)永山絢斗とはついていない・・・・(時代劇専門チャンネル)
2 思い違い(両国橋)
源助は両国橋にかかると、いつもこの時間にすれ違う女を探そうとする。きっと川向こうに家があって、両国広小路界隈か神田のあたりに通い、勤めをしている娘だろうと思っていた。するとこの娘が男に絡まれているところを助けたことから、源助はおゆうと名乗る女と言葉をかわすようになった。
そんな時、親方から娘のおきくとの縁談を切り出される。親方の願いはなかなか断れない。しかし源助の心の中には、橋ですれ違うおゆうという娘への思いがあった。するとおきくから、話があると呼びかけられた。
*読み終えたあと、もう一度タイトルを見返す。男はいつでも、女ごころを「思い違い」するもの。

3 氷雨降る(大川橋)
吉兵衛は若い時から仕事に励み、商売は繁盛してお金に不自由もしなくなった。しかし小間物屋を隠居すると、いつの間にか妻や息子の間の溝は深まっていて、今までの人生で何か大きな忘れ物をしたのではないかと思うようになる。そんなときは昔からの馴染みのおくらのところへ飲みに行く。
飲んだ帰り、古兵衛は橋の上で川を見下ろしている女に出会う。この女はおくらの店に行く時にも見ている。古兵衛はおひさと言うその女を放っておけなかった。おひさはおくらの店で働くことになるが、その店に人相の悪い男がおひさを探しに来た。
*真面目に働いた男がちょっと夢見る、もう一つの人生。結局は、今までの生き方しかできない。
4 まぼろしの橋(弄橋、鳥越橋)
おこうは深川の美濃屋に貰われてから美しく成長し、その家の信次郎と祝言を交わすことになった。しかしおこうは、5歳の時に橋のそばで姿を消した父親のことが気がかりだった。ある日、父親を知っているという弥之助に声をかけられた。父は松蔵といい、賭場で知り合った仲間との仕事にしくじって、逃げる時におこうを笄(こうがい)橋で捨て、2年前に亡くなったという。
おこうは弥之助の家を訪ねると、後ろにやくざがいた。おこうは何とかして助かると、新次郎から、捨てられた橋の場所を思い違いしていることを教えられる。
*含みを感じる、包容力のある旦那様の対応で、おこうはようやく親離れができた。


5 小さな橋で(名もない橋:音羽界隈)
父親は博打に手を出して家出をする。母親は飲み屋に勤め、酔っぱらって家に男を連れてくる。16歳の姉は女房持ちの男と駆け落ちする。そんな家族に囲まれて、真面目に家の仕事を手伝う広次は一、番割を食っていた。
ある日広次は、追手から逃げていた父親を見つける。父は母親に渡してくれとお金を持たきれ、広次の願いも虚しくそのまま消えていった。家に帰ると母親は男と騒いでいて、この人が新しい父親だと言った。そんな父親は認められない。広次は家を飛び出すと、四年前に父親を見送った小さな橋に来ていた。そこに近所のおよしが迎えに来た。

*様々な大人の不条理な世界を覗くことで、少年は大人に成長していく。主演は子供たちですが、松雪泰子と江口洋介が脇で支えました(時代劇専門チャンネル)
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