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19 家電の神様 江上 剛 (2016)

【あらすじ】

 大手家電メーカーで働く轟雷太(とどろき らいた)は、経営不振の影響で入社3年目にリストラされてしまう。長引く不況で転職活動を諦め、母が経営する店を継ぐ決意をする。そこは昔ながらの「街の電気屋さん」。

 こちらも大手家電量販店に客を奪われ、店の将来は暗い。限られた中で店員たちが頭を絞り、どうすればお客さまを満足してもらうか、を考えて商売に取り組んでいく。

 

【感想】

 以前松下電器を始め、大手家電が通った道。昔は「街の電気屋さん」のネットワークを広げて販路拡大して共存共栄をしていたが、大手スーパーの発展により、大きなロッドを仕入れるスーパーと、昔ながらの電気屋さんが競合が激しくなる。1964年、代理店との「共存共栄」を図る松下電器は「価格破壊」ダイエーに対して出荷停止措置を取るも、ダイエーは公正取引法違反を楯にして一歩も引かない。会社の理念がぶつかる「30年戦争」は巨大企業同士の消耗戦となり、無益な戦いの後、新たに大手家電量販店が時代に登場する。

 

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中内功の生き様を、見事に描いた作品でした(「功」は「工+刀」)

 

 本作品の舞台は「でんかのトドロキ」。「父ちゃん」が30年程前に店を創業した後、交通事故で亡くなって、現在社長は「母ちゃん」。そして勤続30年で笑顔がとびきり印象的な角さん。23歳くらいで地元愛の強い「マイルドヤンキー」シマ君。地元の友達を大切にしている20歳のチエちゃん。そして中学校の同級生で、雷太と一緒に入社する沙織がメンバー。

 対して家電量販店「オオジマデンキ」の社員竜三は、雷太や沙織と同級生。安い商品こそ顧客サービス、と「でんかのトドロキ」に攻勢をしかけ、そして沙織もゲットしようとする思惑。雷太や沙織たちは大手の攻勢にも負けず、知恵と工夫でお店を守っていく「ライトノベルな青春もの」の構成になっている。

 安売り競争ではスケールメリット資本力から量販店には勝てない。ではどうするか。「安売り」ではなく「高売り」をしていく決断をする。小規模商店では1つ1つの商品を適正な粗利(もうけ)を確保した価格で売らないと、お店の存続ができない。では「高売り」するためにはどうするか。少々高くてもお客様が満足してもらえるサービス(付加価値)を提供する。

 そのためにお客様を減らして、目の行き届くサービスを実践する。「ロボット犬」を無料で直したり、電池1本を届けに行ったりと、ともすればブラック企業に足を踏み入れそうなサービスを実践して、適正なもうけを確保する商売を続ける。ここでは「ライトノベル」でもあり、やる気のない店員がいないのは救い。皆で知恵を出して汗をかいて、店を守ろうとする。

 

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*「家電の神様」と言うと、やっぱりこの人になります。本作品でも見え隠れします (^^)

 

 沙織は扇風機を買いに来たお客さまの様子と会話から、徐々に扇風機と電子レンジでどちらを買うか迷っていた本心を探り、扇風機を修理して、浮いたお金で電子レンジを購入する提案をする。

 ここで全く畑違いの本を思い出した。堀栄三著「大本営参謀の情報戦記」。主人公が当時情報機関のトップでもあった土肥原賢二中将(のち大将。A級戦犯で処刑)に戦術について尋ねると野球の監督だって、碁打ちだって、八百屋の商売だってみんな戦術をやっている・・・・この場面で相手に勝つには、何をするのが一番大事かを考えるのが戦術だ(同書21ページ)と、全く予想外の平凡な答え。また陸軍で飛行機の重要性を主張する見識を持つも「守旧派」によって不遇のまま軍隊務めを終えた父からは、「・・・お前の表情という仕草だ。その仕草を通して、お前の心の中を見ているのだ。これが人と人との情報戦争だ」(同書23ページ)と教えられる。

 こんなうまくはいかないよ、と思ってしまうが、それでも「宝の山」は目の前にある。その機会を逃さないためにも、日々の工夫と「気づき」を感じる心が必要になる。

 

 




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