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19 ソア橋(事件簿)

【あらすじ】

 アメリカの上院議員で世界一の金鉱王、ニール・ギブスンがホームズの元を訪れた。屋敷に住み込みの家庭教師グレイス・ダンバー嬢が、ギブスンの妻マリアを殺害したとされる疑いを晴らして欲しい、という依頼である。

 屋敷付近にあるソア橋の上で、頭を撃ち抜かれて死んでいるマリアが発見された。現場に凶器の銃はなく、屋敷のグレイスの衣装棚から、口径が一致し1発使用されている銃が出てきた。ギブスンは容色に衰えを見せていた妻にはつらく当たり、一方で若く魅力的なグレイスに関心を示していたらしい。マリアが死ねばグレイスが後妻になると考えられ、グレイスにはアリバイもないため逮捕されたのである。

 凶器の銃は屋敷にあった二丁セットのもので、その片方が行方不明になっていることを、ホームズとワトスンは知る。現場のソア橋は池に架かった石造りの構造であり、橋の調査を始めたホームズは、石の欄干に新しい欠けた傷があることに気づく。 

 

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【感想】

 まず依頼人、ニール・ギブソンの性格描写が強烈。全ての敵をやっつけて回して世界一の金鉱王になった、自分の思い通りにならないと気が済まない性格をよく描いている。対してホームズは、依頼人が真実を話さないと依頼を受けない、まるでゴルゴ13のような(笑)対応をしている(「捜査の料金は一定です」と言っているがww)。

 トリックは本作品の題名が使われるほど有名になり、その後数々の応用編がミステリーで使われるようになった。ドイル自身も、実際の事件を参考にしたとの挿話があるが、「物語」としての使い方が秀逸。

 強烈な自我を持つアメリカ人の金鉱王と、情熱的な愛情を終始放ちつづけるブラジル人の妻。そしてその間で翻弄される、美しく献身的な若いイギリス人女性の関係。この人間関係のドラマを、ドイルは1つのアイディアを橋渡しにして結び付ける。どれも「ステレオタイプ」な描き方で、ここでもドイルの他国への思いの一つが感じられるが、それだけに語られる真相は説得力を持つ。

 その真実は、男女の愛情について遠慮のない現実を容赦なく「暴きたてて」いる。そのため、他国人の設定が当時は必要だったのだろう。金鉱王は、若い時は女性も美しく自身も熱情的で結婚したが、何年かするとなんの共通点もないことに気づいて男性は愛情がさめる。

 正妻のマリアが出会った時の情熱を今も変わらずぶつけて来るのを、金鉱王はうとましくなり、その後現れた若いイギリス人女性に心を奪われる。但し金鉱王は、ブラジル人の妻につらく当たるが、「捨てきる」ことまではできない。そして情熱的な妻は、その情熱を抑えることができず、その情熱を放つ先を捜して、惑う。

 

 *ミステリーチャンネル

 

 事件は解決し、強烈な自我を持つアメリカ人の金鉱王と美しく献身的な若いイギリス人女性は残される。最後にホームズは金鉱王に対して、「悲しみ」をいくばくか学びとるように期待しているが、これもホームズ物語でそこかしこに流れる、宗主国イギリスから見るアメリカへの「視線の角度」が現れている気がしてならない。

 




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