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11 ノーウッドの建築師(帰還)

 

【あらすじ】

 弁護士の青年ジョン・ヘクター・マクファーレンがホームズの事務所に飛び込んでくる。彼の話によると、見ず知らずの人物である建築業者ジョナス・オールデイカーが彼の事務所に現れて、簡単な書類を正式に遺言書として写してほしいと依頼してきた。だがその遺言書の内容は、自身が亡くなった時には、全遺産をマクファーレンに譲るというものだった。

 後日、オールデイカーの住むノーウッドに呼ばれて手続きを済ませたが、翌朝新聞を広げてみると、オールデイカーがまさに自分と会っていた深夜に殺害された上に、屋敷が放火されて、現場から当人と見られる焼死体が発見されたという記事が載っていた。驚いたマクファーレンは自分の危機を感じて、ホームズの救援を求めるために事務所に駆け込んできたのだった。

 マクファーレンはレストレードに連行されてしまうが、ホームズは彼の依頼を引き受けることにする。しかし状況証拠はマクファーレンに不利なものばかり。そこへレストレードから「決定的な証拠を見つけた」との電報が入った。現場から血のついたマクファーレンの指紋が発見されたというのだ。

 

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 【感想】

 まずは見ず知らずの他人から、全財産を譲る遺言書を依頼される導入が面白い。その謎を引きずったまま事件が起き、当の弁護士が犯人に仕立てられる。明らかな罠だが当人は殺害されており、読者は罠に嵌められた弁護士共々、何が理由でこのような展開になるのかがわからない。

 続いて指紋の問題。当時、指紋鑑定は最先端の技術で、犯罪捜査(及び文学)で採用されるかどうかの時代。指紋の一致は証拠として決定的だが、作者ドイルはこれを逆手に取った使い方をしている。まだまだ一般的に普及していない指紋について、科学の証明に頼らない扱いをするのは、文学者としてのセンスと、医者としての思考法の両方を感じさせる。

 そして「犯人」解明の場面が素晴らしい。これだけシリアスな展開の中で、よくもまあこのような「芝居」を打てるかと感心する。前の物語でも似たようなシチュエーションを用いているが、今回は「探し物」が以前と全く違うので、屈強の警察官3人に大声で叫ばしている (^^)

 そのユーモア溢れた行動は、それまでホームズに自信満々で勝ち誇っていたレストレード警部を見事に「真逆に」引き立てている。レストレード警部は終始このような役回りになり、それからのミステリー史上で、警察が軽んじられる原因になってしまった特筆すべき存在になったと言える(ホームズはレストレード警部を褒めることもあるのにね)。

 

  *ミステリーチャンネル

 

 ホームズ物語では、犯人の動機は「お金」が中心だがそれだけでなく、「色」と「復讐」を混ぜ合わせているケースも多い。事件は単純だが、遠因となる過去の事件で、複雑な動機を組み合わせるケースもある(ホームズ物語で長編作品の第二部はまさにそう)。本作品も動機は1つではなく、「(よこしま)な心」はお金も復讐も全て求めて止まらない。これが人間の機微を描く、シェイクスピアから脈々と流れる「イギリス文学」なのであろうか。

 

 




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