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9 曲がった男(思い出)

【あらすじ】

 インドで活躍したジェームス・バークリ大佐が「怪死」した。

 事件のあった晩、お茶を持ってきた女中が、鍵がかけられた部屋の中で大佐と夫人が激しく口論しているのを聞く。すると突然、恐ろしい男の叫び声と女の悲鳴が聞こえる。部屋の中では大佐が頭から血を流して亡くなり、その横では夫人が気を失って倒れている姿が発見される。

 警察は夫人を第一容疑者として捜査を開始するが、ホームズが調査したところ、夫人が事件の起こった夜、ある背の曲がった男と会っていたという事実を聞き出す。その男に会ったことで、夫人が急に夫を憎むようになったらしい。ホームズはその男、ヘンリー・ウッドを探し出し、事件の真相を聞き出す。

 

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 【感想】

 この作品も初読の印象は悪かった。テーマは重々しく、ホームズもあまり活躍していない。最後の「オチ」も聖書の知識がないため、余り共感できなかった。よって題名を含めて、子供の心をワクワクさせる作品ではなかった。

 但し再読するにつれて、ヘンリー・ウッドの話と、その歩んできた人生に対して思いをはせるようになる。世界史でも有名な「セポイの反乱」を背景に起きた事件と、それにより運命が翻弄された、美丈夫「だった」兵士の一生が語られる様子は、ドイルの長編作品の後半部分を取り出したかのよう。ウッドがインド兵に追い詰められ、拷問されるシーンは、黒田官兵衛(如水)が有岡城で幽閉され、半身不随同然の姿になってしまった故事を思い出す。

 バークリ夫人も運命に翻弄された1人。ウッドと相思相愛であったバークリ夫人は、ウッドが「死んだ」ことで、バークリ大佐と結婚することとなった。そのためバークリ大佐に対して不満はないが、全ての愛情を注ぐことはできない気持ちが心底にある。そんな心の隙間を埋めるために、貧しい人への支援活動を熱心に取り組んでいる。そんな心情を抱えた中で30年ぶりにウッドと「生きて」再会した衝撃。その衝撃を、今は夫である大佐にぶつけることになる。

 30年前に「罠をかけた」大佐も自業自得ではあるが、運命に翻弄された1人。ホームズ物語では犯人が別人に罠をかけるケースは多いが、その目的は復讐のため、真犯人に仕立てるため、嫉妬のため、そして自分の目的を遂げるためと様々。大佐はウッドに罠をかけることで、望みとおりバークレー夫人を射止めた。

 ところが結婚してから30年間、大佐はバークリ夫人を見る度に、罠にかけたウッドを思い出すことになり、良心の呵責を感じ続けたことだろう。ウッドを見ただけで身体に衝撃が走り、脳出血を起こして死に至ってしまうのは、そのような呵責が長年苛まされてきたから、と私は考える。初読の時は、姿を見ただけで死に至るなんてと思ったが、改めて読むと「ありうること」と思うようになった。

 

  *ミステリーチャンネル

 

 もともと教養があり将来が嘱望されたバークリは、本来そんな「罠」をかける人物ではなく、普通でもそこそこの出世はしただろう。ところがバークリ夫人に対する愛情によって、一時的に感情を狂わせてしまった。そのため後悔と呵責に責められた気持ちから「勇敢な活躍」をすることで、結果的に望外の出世を遂げた。だがこの出世は、バークリ大佐が求めていたものだろうか。

 1つの「ミステイク」によって、三者の運命が軌道を大きく外れて翻弄された。そしてその運命が30年振りに交わるとき、1つの「悲劇」で決着を見ることになる。

 




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