以下の内容はhttps://nmukkun.hatenablog.com/より取得しました。


ブログを始めて、5周年を迎えました!

 

 どうにかこうにか、3月27日をもちまして、本ブログを開設して5周年を迎えることができました。

 これもひとえに、このブログを読んでいただき、またスターやコメントをしていただいた皆様のおかげです。本当にありがとうございました。しかも本日は偶然ですが、5年目において初めての、記念すべき出来事が待っています。詳細は後日お伝えします。

 そうは言っても、ブログ5周年を迎えたことに対して、実は意外と冷めています。喜びや達成感はまるで感じず、淡々とこの日を迎えたのが正直なところ。そんな気持ちから5周年にまつわる投稿もどうか、と思いましたが、ここでスルーしますと次は10周年となり、そこまで続ける自信はないので、やはり一区切りさせていただくことにしました。

 

*ブログ開設3ヶ月目に投稿したもの。暗中模索の時代でした。

 

 もとはといえば、本ブログを開設した目的の1つに、アフィリエイトによる「小遣い稼ぎ」がありました。最初のくくり「シャーロックホームズ20選」での画像は、自身が持つ文庫本の表紙を取り込むのみ。投稿の実績を積んで、10回くらいでAmazonアフィリに申請しようかと思っていました。

 ところがどっこい、当初の私のブログのアクセスは、2進法でも変わらない日々(=ゼロかイチ)が続いていました。当時Amazonアフィリの申請は厳しいと言われ、かりに通ったとしても半年間は仮登録の状態と言われてました。その間に「サクラではなく」最低3つの購入実績がないと取り消されると聞いて、これはとてもじゃないけどムリだろうと「はてなPRO」へとアップグレードも断念し、小銭稼ぎはギブアップしました。

 あにはからんや、書評のブログは、その後も厳しい環境に見舞われています。電子書籍の急速な普及によってアフィリでの収入は更に期待できません。開設当時は、書評のブログは「読書メーター」があるから不要とまで言われていましたが、今では生成AIによってその座を奪われる時代になってしまいました、が、

 さにあらず、50年に亘り私のアタマの中に渦巻いていた様々な妄想が出口を求め、このブログを活用させていただきました。それがおよそ2年で、600編を越える書評の下書きを書き散らしたおかげてアタマがすっきりし、今は勉強に集中できることになりました。そのため長く続いた会社員人生に幕を下ろす前に、一区切りできそうな気持ちが持てそうです。結局は「自分のため」のブログを続け、自分勝手な考えに共感していただくことに、喜びを感じる日々になっています。

 仕切り直すと、本年早々、私のブログで最初のくくり、「シャーロックホームズ20選」を全面改稿しました。久しぶりに読み直した文章は文体が不安定で(今でもですが)、全体的に手直しが必要でしたが、その中にも5年前に書いた記憶、そして50年前の記憶を呼び起こすノスタルジーを宿していました。この時間はまさに「自分のため」。今後もブログを細く長く続けながら、時おり読み直したいと思います。

 そんなこんなで、今後もブログは続けていきます。当面は月3~4回と投稿ペースは少ないですが、くくりは現在5つ(×20選)を想定しています。また途中で別件に一区切りをつけて、改めて読書に没頭できる時間を設けたいとも思っています。

 

*ブログ開設3年目に投稿したもの。この頃は大半の下書きが終わり、その後の展開に悩んでいました。

 

 

 それはさておき、私の読書遍歴は当初、知識を得ることが目的でした。ミステリーのトリックや、経済小説を通して社会を知ること、そして歴史小説では歴史を学ぶこと。一方で恋愛とか純文学のジャンルは、敬遠していました。

 そんな私が40歳過ぎから読書のジャンルを広げるきっかけになったのが、恩田陸作品です。ミステリーのテイストを残しながらも、その独特の世界観と不思議な文体によって、作品に「沈む」感覚を味わうことになりました。それは伊坂幸太郎辻村深月作品へとつながり、更には村上春樹に回帰する道しるべにもなりました。

 次回からは「恩田陸 ふみの海に沈む20選」と題した「くくり」をスタートします!

 

*「今まで5年間、ありがとうございました」 「これからもよろしくお願いします」

 

 

 

【番外】日本扇の謎 有栖川 有栖(2024)

【あらすじ】

 舞鶴の海辺で1人の青年が発見される。青年は自らの名前も出身地も、何故ここにいるのかも、一切の記憶を失っていた。そんな彼が唯一所持していた一本の扇から、周囲の人は彼を『オウギさん』と呼ぶ。そして所持品の扇から、『オウギさん』は武光颯一(26才)、京都では有名な武光家の次男と判った。

 6年半後。武光颯一は自宅に戻っていたが、そこで不可解な密室殺人事件が発生する。事件発生に合わせたかのようなタイミングで、またも扇と一緒に姿を消してしまった『オウギさん』に疑いのまなざしが向けられる。この密室殺人事件の謎、更には『オウギさん』と呼ばれた1人の青年に何があり、何が起ったのか。

 その謎を大学准教授の火村英生とミステリー作家の有栖川有栖が、フィールドワークとして警察と共に捜査を行ない、謎を解明する。

 

 

【感想】

 私が(勝手に)「本格ミステリーの殉教者」と思っている有栖川有栖。エラリー・クイーンへのオマージュが横溢したデビュー作「月光ゲーム Yの悲劇'88」から始まって、本格ミステリーにこだわった息の長い活躍を続けている。偉大な「クイーン師匠」への憧憬と挑戦を胸に秘め、1994年に開始した独自の国名シリーズ、第1作「ロシア紅茶の謎」から30年経過した記念に、本作品を国名シリーズの11作目として刊行した。

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*「本家」エラリー・クイーンの作品は、最近になって新訳版が刊行されました。「ニッポンカシドリ」は創元推理文庫で、当初国名シリーズの1つとして題されたタイトルです。


 

 本作品はタイトルも説明が必要になる。作品内でも言及しているが、クイーンの国名シリーズに「日本」を題する作品はない。しかし1937年に発表された「境界の扉:The Door Between」が「日本愛好家(Fan)」を題材にしているとの情報から、Fanとなり「ニッポン扇の謎」として、戦前の日本で翻訳されたエピソードがある(別に手書きの「扉」を「扇」と見間違えた説もある)。

 ついでに周辺的な感想を続けると、本作品の中で作者が現実に戻ってあれこれ述べるのは、「本家」エラリー・クイーンがホームズ物に挑戦した「恐怖の研究」を連想して、個人的なツボに入った。またデビュー作から始まる探偵江神の「学生アリス」シリーズはホームズとワトソンの役割に近いが、探偵火村の「作家アリス」シリーズは、アリスのミステリー作家としての実績から独自の推理を披露して、時に火村を感心させることもあるため、敢えていうならば「天才火村と秀才アリス」の関係と思える。それは探偵ホーソーンと作家アンソニー・ホロヴィッツと同じ関係か。

 

 ようやく本作品について触れると、満を持して上梓した「日本」も「扇」もつながりが弱いが、これば本家クイーンの国名シリーズも似たり寄ったり。そして動機もちょっと首をかしげるが、改めて考えると、とても日本的とも思える。

 国名シリーズを名乗るには「論理の美しさ」が必須となるが、密室殺人と失踪事件の「論理」はさすがに有栖川有栖。記憶喪失をテーマにするためか、得意の演繹法推理が頓挫する火村だが、解きようがない仮説を保留していくうちに、ある疑問に関していわゆる辻褄が合う仮説が浮かんだ。「それが正しいと仮定すると、別の謎について辻褄が合う仮説が立つ」(本書344頁)は、ホームズの名言「全ての不可能を除外して、最後に残ったものが如何に奇妙なことであっても、それが真実となる」に通じるものがある。

 

*こちらの作品は、「学生アリス」シリーズの代表作です。

 

 有栖川有栖がデビューして40年近く経過するが、その間「下宿」はもちろん、「名探偵」も絶滅危惧種となっている。この期間にコンプライアンスや個人情報管理が進み、捜査もDXを駆使した科学捜査が進められた結果、名探偵が生息する余地は失われようとしている。そして有栖川有栖も、ホームズが「名犯人」の登場を祈り、クイーンが警察の科学捜査を嘆いた状況と同じ立場に陥っている。そんな中ミステリー作家たちは、「特殊設定物」で活路を見いだそうとしている。

 それでも「本格ミステリー教の殉教者」は自らの立ち位置を変えない。エラリー・クイーンから、そして師匠の鮎川哲也から受け継いだ本格ミステリーの松明は、自らが主宰する創作塾から生れた「方舟」の夕木春央を始め、数多くの崇拝者に受け継がれている。

 そんな功績に敬意を込めて、本作品を「番外」として取り上げました。

 

20 少女には向かない完全犯罪 方丈 貴恵(2024)

【あらすじ】

  完全犯罪請負人と呼ばれる黒羽烏由宇(くろばうゆう)。ホワイトデーの日に依頼人と会う予定の前に、何者かにビルから突き落とされて、オブジェに串刺しとなって瀕死の重傷を負った。4か月に亘り意識不明の状態が続き、ついにその心拍も途絶えそうになった時、黒羽は幽霊に変貌していた。

 事件が起きた当日にあった約束が気になって調べると、その依頼主の夫婦は殺害されていた。娘の三井音葉は両親への復讐を誓うと、面会予定だった黒羽を懸命に捜し、ついに幽霊の黒羽を探り当てた。音葉は幽霊の言葉を聞く特殊能力を持ち、黒羽の明晰な推理を聞くことで黒羽への疑いを解いた上で、両親の犯人を捜して復讐することを依頼する。それは黒羽に瀕死の重傷を負わせた犯人を捜すことにもつながった。

 幽霊としてこの世に存在できるのは7日。その間に、姿形が素通りするために犯人を捕まえることができない条件下で、小学校6年生の少女に知識や推理方法を伝授しながらの捜査が始まった。

 

【感想】

 作者の方丈貴恵は2019年に「時空旅行者の砂時計」で鮎川哲也賞を受賞したデビュー作を皮切りに、特殊設定を舞台として華麗なロジックを駆使してきたが、本作品もその流れを汲む。

 

  *こちらも「多重推理」をテーマにした傑作です。

 

 幽霊が探偵役を務めるのは、山口雅也の傑作「生ける屍の死」を思い出すが、本作品はそれだけでない。まずタイトルからしてジェイムスの傑作「女には向かない職業」へのオマージュが感じられるが、物語の途中で言及される「逆さまの事件」はエラリー・クイーンの「チャイナ橙(オレンジ)の謎」、そしてチョコレートを利用した毒殺はアントニイ・バークリーの「毒入りチョコレート事件」につながっている。ちなみに「毒入りチョコレート事件」は、初めて多重推理をテーマとした古典ミステリーとしても有名。登場人物がそれぞれの推理を披露していくが、この形式で日本でも数多くの名作が発刊されている。

 

 但し本作品では「全てを素通りできるが、移動スピードはママチャリが限界 (^^)」の、幽霊になった黒羽烏由宇と、小学6年生の三井音葉による「バディ」が繰り広げるによる多重推理なのが特殊。お互いが足りないところを補い合って推理を繰り広げて実証を重ねていく過程は1つ1つが論理的だが、余りにも伏線が繊細で緻密なため、正直ついていけない場面もチラホラ。そんな中、黒羽から推理の教えを受けた音葉が成長することで、「多重推理」を披露し合うことになるのは見事。

 しかしそんな多重推理も、もう少し絞った方が読むほうには親切かと思った(笑)。これでもか、これでもかと推理を行い、その推理がひっくり返る繰り返し。いくら伏線がたくさんあると言っても、たいていの読者はそこまで拾いきれません。

 

 ネタバレすれすれなので深く説明できないが、音葉の叔母(殺害された母の妹)の登場シーンは余りにも鮮やか。また黒羽の師匠の設定も考え抜かれたもので、黒羽がこのような「職業」を選ぶことになったきっかけを説明しただけでなく、物語全体に厚みを与えてくれた。

 そして全体的な雰囲気として、幽霊が登場する割に全体が軽やかなため、かなり緻密な伏線を仕込んだにも関わらず、読みやすかった。最後は黒羽と音葉の将来(?)に幸あれ、と思わずにはいられない。

 

*作者・方丈貴恵のデビュー作です。

 

 蛇足だが、各章の最後に挿入される「インタールード」の挿話は効果的。私は読みながら貫井徳郎の「慟哭」を思い出していたが、これもネタバレになるかな?

 

 




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