「床にひざまずいて対応」を強要するのは人権侵害ではないか――。Twitterに広告配信を停止され、Twitter Japanのオフィスビルまで直接抗議に行った作家、如月真弘(@mahirokisaragi)さんのツイートが発端となり、Twitter Japanの対応が議論を呼んでいます。ネット上ではハラスメントや人権侵害にあたるのではと疑問視する声も。編集部では如月さんおよびTwitter Japanに詳細を聞きました。
発端となったのは如月さんが2月13日に投稿したツイート。如月さんは自身の著書「山本五十子の決断2」(ファンタジア文庫)の発売にあたり、Twitterのプロモツイート機能を使ってこれを宣伝。しかしカバーイラストが「成人向け」であると判断され、広告出稿を中断されてしまいます。如月さんはこれを不服とし、広告停止の解除を求めてTwitter Japan本社へ直接赴きましたが、そこでの対応に“はらわたが煮えくり返る思い”をしたといいます。
自身の作品を一方的にポルノ認定され、広告を禁止されたことにも腹を立てていた如月さんでしたが、それ以上につらかったのが、対応にあたったTwitter Japanの社員が「ご高齢なのに私に対し終始、床に直接跪(ひざまず)いて応対された」こと。あくまで如月さんの主観ですが、対応にあたった社員は「大変なご高齢」で「明らかに定年後にクレーム係として再雇用され」たように見えたそうです。そしてソファに座る如月さんに対し、Twitter Japan社員は何十分もの間、冷たいロビーの床にひざまずいた姿勢のままで対応。如月さんが座ってほしいと頼んでも「こうすることになっています」と答えたといいます。
「姑息な作戦にお年寄りを使うTwitter社の魂胆に、私は正直、何よりも腸(はらわた)が煮えくり返りました」と如月さんはツイート。如月さんの怒りは、矢面に立たされているTwitter Japanよりもむしろ、現地スタッフに凍結解除などの権限を与えず、このような対応をさせている、米国のTwitter本社に向けられていたようでした。
この「床にひざまずいて対応」というルールは本当に存在するのか。存在するとしたら誰の指示によるものなのか。如月さんのツイートが話題になると、ネット上では「社員に対する人権侵害」「誰の指示なのか本社に問い合わせるべき」と問題視する声も多くあがりました。
如月さんに詳細を聞いたところ、面談が行われたのはTwitter Japanのオフィスではなく、オフィスビルの共用ロビー部分だったとのこと。面談の時間はおよそ40分ほどで、その間、如月さんは「足が痛いでしょうからどうか座ってください」など再三促しましたが、対応にあたった社員は「こうすることになっています」と、ずっと片膝をついた姿勢で時折両膝をつく程度だったそうです。また、名前や役職を聞いても「お答えできません」とのことで、名刺などももらえなかったといいます。
対応したのはどのような立場の人で、「床にひざまずいて対応」は誰の指示だったのか。編集部ではTwitter Japanにも直接問い合わせてみましたが、残念ながら個人の書き込みに対しTwitterとして公式にコメントを出すのは差し控えたいとのことでした。
ただ、利用者が直接オフィスまで訪れる必要があったという点については「サポートチームとのコミュニケーションが満足いくものではなかったためだと思います。一般的なご利用の場合も広告の場合も、コミュニケーション部分の改善が必要であると反省し、社内の相談を進めております。大変申し訳ございません」と回答。なお如月さんは「直接オフィスに足を運んで抗議を行った方が米国本社に伝わりやすくなる」とも書いていましたが、Twitterへの連絡は通常オンラインでのみ受け付けており(※)、オフィスに足を運んだ人を優先的に対応するということはないそうです。
また、他にもネット上では、如月さんの「山本五十子の決断2」のカバーイラストが“性的に見えるかどうか”を巡って議論にも発展していましたが、Twitterによると、一般的にプロモツイートの場合、テキストや画像それぞれに専門の担当チームがおり、通常のTwitterルールよりも厳しい基準になるとのことでした。
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