アクセルゲームエンターテインメントが発表した、スマホ用新作タイトル「終幕彼女(エンドロール)」が一部ゲームクラスタの間で話題になっています。「サービスが終了したスマホゲームのヒロインたちを呼び出して戦う」という設定もユニークですが、さらにメインシナリオライターを、ライトノベル作家の石原宙氏が務めると発表され、「アイコネ(アイドルコネクト)の人じゃん!」とますます注目を集める形に。な、なんだってーーー!!
――と、大げさに驚いてはみましたが、なぜシナリオライターが“アイコネの人”だと注目されるのか、このへんの背景事情は多分、普通以上にスマホゲームに精通している人でないと分からないかもしれません。
ということで例によって、モバクソゲーサークル「それいゆ」発起人であり、短命に終わったゲームのサービス期間リストを趣味で作っているという、「怪しい隣人」(@BlackHandMaiden)さんに解説してもらいました。
出来の良くないソーシャルゲームを勝手に「モバクソゲー」と名付けて収集、記録、紹介しています。モバクソ死亡リストは500件を超えました。年々ソーシャルゲームが複雑になり、ダメさを判定するのに時間がかかるのが最近の悩みです。本業はインフラエンジニア。そのためソーシャルゲームの臨時メンテは祭り半分胃痛半分な気分です。
ここ数日、1日1回はソーシャルゲームやアプリのサービス終了を聞いているような気がする怪しい隣人です(※編注:原稿をもらったのは10月6日)。
ニュースサイトやTwitterなどで告知を見るだけでそんな数なのですが、中にはそういうサイトに触れられもせず終了するゲームもあるのでしょう。われわれは死んでいくゲームのうち、一体どれだけの死をみとることができるのでしょうか。一体どれだけの死をみとればよいのでしょうか。
そんなことを考えたゲーム開発者がいたのかもしれません。
2017年10月5日に公式サイトが公開されたゲーム「終幕彼女(エンドロール)」は、なんと「終了したゲームアプリのヒロインを現世に呼び出し、ともに戦う」というゲーム。あらすじの始まりが「相次ぐスマホゲームのサービス終了」なんてゲーム、はじめて見た気がします。
主人公は「アイドルリフレイン」という(架空の)ゲームのプレイヤー。サービス終了の瞬間に「――消え行く彼女たちを救いたくはないか?」と居う声を聞くところから話が始まるのですが、どう考えても悪魔の囁きにしか聞こえません。個人的にはその声は耳を貸してはいけないような気がします。
しかもゲームのサービス終了は競争の激化やゲームのクオリティーが原因ではなく、「虚霊(オーネ)」という怪物が、ゲームが存在するための力「霊在子(ザイン)」を食い尽くしてきたからだ、というのです。モルダーあなた疲れてるのよと思わずつぶやいてしまいました。
そんな知ってはいけない世界の真実を知ってしまった主人公。過去、他にもいろいろなゲームの終了に立ち会ってきたらしく、そのせいかこのゲームにも、さまざまな終了したゲームが登場します。
この中で先頭に記載されており、あらすじにも記載されている「アイドルリフレイン」ですが、実はこのゲームの開発事情や経緯があるゲームにそっくりなのです。そのゲームは「アイドルコネクト-AsteriskLive-」といいます。
このゲーム、サービス自体は2016年8月16日から2016年11月30日までの約100日間、3カ月ちょっとというごく短い期間で終了してしまいました。その間にかなり大規模な障害を起こし、ネットでも話題になっています(関連記事)。ですがその後も別サイトでストーリーが更新されたり、CDが発売されてリリースイベントが行われたり、ノベルアプリになったりと、ゲームとしては終了してもコンテンツとしては継続しているのがすごいところです。
そんな「アイドルコネクト」でキャラクターの個別ストーリーを書いていたのが石原宙さんという方。なんとこの方が「終幕彼女」のメインシナリオを担当されるということで、Twitter上ではファンの方が大いに盛り上がっています。この「似て非なる終わってしまったゲーム」を題材に、どのようなシナリオを書かれるのか、私自身もとても気になるところです。
ちなみに個人的に一番「似て非なる」と思っているところは「アイドルリフレイン」の運営期間です。設定では2020年3月〜2020年7月と、約5カ月ほどの運営期間となっています。先にも書きましたが、アイドルコネクトの運営期間は約3カ月。何なんでしょう、この2カ月の延長は。身長167センチの男性が女性に身長を聞かれて「170センチぐらい」と答えてしまうような、ささやかで悲しい見栄を感じてしまうのは私だけでしょうか。
そんなどこかで聞いたようなアイドルゲーム以外にも、主人公の周りをさまざまな死亡ゲームとそのヒロインたちが彩ってくれます。
「操作性がイマイチで人気が出なかった格ゲ―」「寿命だけは妙に長く同じ声優が複数キャラの声を担当するファンタジーRPG」「女体化した戦国武将だけでなく世界の英雄や現在の人間まで出し始めたRPG」「ハードなストーリーが売りだったがその続編が発表される前に終了してしまったFPS」――とよりどりみどり。アイドルリフレインの例もあり、これらも「これが元ネタでは?」という話題が盛り上がっています。例えば、格ゲーの元ネタはちょうど3年ほど運営されていた「ガンガン!!バトルRUSH!」というゲームではないか、など。
私も約500件は死亡ゲームが掲載されているモバクソ死亡リストとにらめっこしていたのですが、なかなかこれだというゲームは見つからず。修行が足りないな、と反省した次第です。長期間運営していたゲームや、戦国モノで既に終了しているものはリストから見つかるのですが、なかなかぴったり来るものがありません。運営期間だけで判断できないよう、いくつかの終了したゲームの特徴を組み合わせているのかな、とも思います。
これらのゲームの元ネタを調べるところから、みなさんも終わっていくソーシャルゲームの記録を集めることに目覚めてくれるとうれしいと思う筆者でした。1人で集めているとどうしても限界があり、取りこぼしがポロポロ出てしまいますので……。
(怪しい隣人)
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