梅雨が明けましたね。「暑いよー」「なんにもしたくないよー」と、ちょっとぐったりしてしまいそうなこの季節だからこそ、同人誌からパワーをもらってみませんか?
「めがねのね〜眼鏡の音〜vol1」 B5 24ページ 表紙カラー・本文モノクロ
著者:小野寺浩二
表紙のセクシーなお嬢さん、ガーターベルトにメガネを装備してます! ふとももにメガネ……? いままでお目にかかったことのない構図に、もうこれだけで、ただ事でない雰囲気がひしひしとしますが、ページを開いてみれば、さらに怒涛(どとう)の展開が待っています。あれ、そのメガネ差し出しちゃいます? 社長、それをかけちゃいます? え、将来の夢ですー!? 心のツッコミが追い付かない、この疾走感。軽い気持ちで開いたら、ジェットコースター並みの疾風怒濤のギャグがびゅんびゅん吹いてきます。しかも全てのページの必ずどこかにメガネキャラがいるという、タイトルに偽りなしの徹底ぶり。
作者の小野寺浩二さんは、月刊『YOUNGKING アワーズ』にて『おばけ道』を連載中のプロのまんが家さんです。なんとこれが初めての同人誌とのこと。ご自身のTwitterで発表された1ページまんがをまとめられました。まとめて読むと、次々繰り出される、ちょっと行きすぎなまでのメガネ愛がまた一層パワーを増しているように感じます……。
1ページまんがに登場するのは皆、メガネへの愛を包み隠さずストレートにぶつける方々ばかり。先生だから……、お嬢様だから……そんな立場などどこ吹く風! この方々は、保健体育のテストで「人間の三大欲求は?」という問いに「メガネ」って書いちゃう人たちですよね? と、妄想まんがから、さらに読み手が妄想を広げてしまうほどに強力な愛情を、惜しげもなくダダ漏れにされています。少年のきらきらした眼差し、女の子のぱっちりした瞳……くっきりした絵柄で読みやすく、それだけに多彩な擬音に彩られたコマが目に飛び込んできます。そう、こんなにかわいいメガネっ娘も、さわやか少年も皆なんだか過剰に一線越えちゃってます。
とにもかくにも勢いのある作品たち。時には、最終的にどうにもこうにものっぴきならない状況になってしまっているオチも。しかし、そんなときもなぜか登場人物たちは満足気なほほ笑みを受かべており……。しかも、勢いに押されてページをめくっているうちに、読者の私もいつのまにか謎のほほ笑みを浮かべていることに気づいてしまったのです。
最初は、何かと突っ走りがちな登場人物たちに苦笑していたはずだったのに、なんだかだんだん「良かったね、正直に生きてるって清々(すがすが)しいね!」とさえ思えてくる不思議。愛が高まりすぎてアブノーマル感満載なのに、最終的にさわやかな気持ちになってしまいました……。
暑い夏? メガネがあれば大丈夫! 根拠なくそんな気持ちにすらなってしまう、謎の元気がでること請け合いの本です。
サークル名:妄想電波るるる堂
Webサイト:http://rururudou.web.fc2.com/
次のイベント参加予定:コミティア121 「な22b」
購入場所:COMIC ZIN
Twitter:@onoderakoji
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