5月6日に台湾・福隆で行われた砂像の世界大会で、日本人アーティストの保坂俊彦さんが優勝しました。優勝作品「宮本武蔵」に絶賛の声が相次ぐ保坂さんご本人に、現在の心境をうかがいました。
「福隆国際砂彫刻芸術季2017」で快挙を成し遂げた保坂俊彦さんは、日本では2人しかいないというプロの砂像アーティスト。東京芸術大学を卒業後、砂像アーティストとして活動をはじめ、活動歴は今年で20年を迎えます。
優勝作品の「宮本武蔵」は、刀を傍らに置いた武蔵が凛々しい表情で正座をしている様子を描いた作品。着物のしわや武蔵の表情が繊細に表現されている他、魂のこもった瞳がとても印象的です。また畳の目や刀の細部に至るまで非常に丁寧に作り込まれていることも分かり、見る者を圧倒します。
今回の優勝について保坂さんは「14カ国、20人が参加する世界大会だったので勝つことは簡単ではないと思っていました。大会のテーマは『ヒーロー』でしたが、日本の『侍』で優勝できたことに特に喜びを感じています」とコメント。参加アーティスト全員が投票して選ぶ「アーティストチョイス賞」も獲得したとのことで、「(同時受賞についても)うれしく思っています」と喜びを語ってくれました。
そもそも砂像とは砂と水のみで制作された彫刻のことで、芯材などは入っていません。彫刻後は雨や風、乾燥等によって砂が崩れることを防ぐために定着剤を表面に吹きかけて固めていきます。
今回の会場で使用した砂はかなり脆く崩れやすいもので、天候が暑かったことなどから砂の水分を気にしながらの制作になったと保坂さん。制作期間が3日間と短かったこともあり、ペース配分や雨についても常に気にしながら制作したため、とても苦労したそうです。
最後に保坂さんにサンドアートの魅力についてうかがったところ、「自然の中で自然の素材を使い、また時間をかけて自然に還るのが魅力の一つだと思います」とのこと。砂に戻るまでがアートなんですね。
今後は5月18日から「さかいで港まつり(香川県坂出市)」でソルトアート(塩の彫刻)の制作を行い、27日から公開予定。また7月15日から「いしかり浜サンドパーク2017」、7月29日から「サンドクラフト2017 in みたね」でも砂像作品を展示する予定です。7月上旬には愛知県での体験教室も予定しているとのことなので、現地で作品のダイナミックな魅力を感じてみるのも良さそうです。
また複数の作品が保坂さんの公式サイトでも公開されていますので、ぜひそちらも見てみてください。
画像提供:保坂俊彦さん・乙幡さん
(Kikka)
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