お笑いコンビ「キングコング」の西野亮廣さんが1月19日、「お金の奴隷解放宣言。」のタイトルでブログを更新。3カ月前に発売したばかりの絵本「えんとつ町のプペル」の全ページをWebで無料公開したことを報告しました。それを受け、TwitterなどのSNSでは、賛否両論が巻き起こっています。
なぜ作品を無料公開したのか。西野さんによると、ある小学生から届いた「2000円は高い。自分で買えない」との声がきっかけだったそう。絵本には特殊なインクを一般的な作品より多く使っている関係でギリギリの値段設定だったそうなのですが、「自分は『えんとつ町のプペル』を子供にも届けたいのに、たった『お金』という理由で、受けとりたくても受けとれない子がいる」「お金など介さずとも、昔の田舎の集落のように、物々交換や信用交換で回るモノがあってもおかしくないんじゃないか。『ありがとう』という『恩』で回る人生があってもいいのではないか」などの考えから、無料公開を決意しました。
また、通貨を支払うことでものを得るという、現代では当たり前となっている制度に対して、「『お金が無い人には見せませーん』ってナンダ?糞ダセー」と批判する一文も。「モノによっては、そういうモノがあってもいいのかもしれません」としながらも、「はたして全てのモノが『お金』を介さないといけないのでしょうか?」と、持論を展開しています。
制作側としては「実はこの決断には勇気が要りました」という西野さん。しかし、読みたいけど読めない人がいるという現状に気付かせてくれた小学生に対し、「もう大丈夫だ、2000円なんて必要ないぞ!」「そしてキミが、キミのタイミングで、誰かに恩を贈ればいい」と呼びかけました。
その後、ブログはしばらくしてから追記された「…てなワケで俺は無料にするけど、その代わり他のクリエイターに『西野はタダにしたんだからおまえもしろ』なんて絶対言っちゃダメよ」との言葉で締めくくられています。
このことを受けTwitterなどでは、「こういうの新鮮だしスゴいと思う」「西野さんかっこいい」「西野さんの行動力は素直に感心できる」といった称賛の声があがる一方、「クリエイターに支払う対価も下げてしまう可能性がある」「少なくとも、こういう前例はクリエイターにとってはマイナスな気しかしない」「絵本の読み聞かせ公演を無料でやるとかさ、そういう方法もあったと思う」など、西野さんの行動がほかのクリエイターたちにマイナスの影響を及ぼしかねないといった否定的な意見もあがりました。
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