皆さまごきげんよう、秋葉原カルチャーカフェ「シャッツキステ」で司書メイドをしておりますミソノと申します。本連載は、オリジナル創作や評論ジャンルの同人誌を中心に、奥深い同人誌の世界をよりすぐってご紹介する場となっております。
一般にはあまり出会う機会のない同人誌。アニメ・マンガのパロディーや、コスプレ写真集などさまざまなジャンルがありますが、中でも作者さんの気持ちがぎゅっと詰まったオリジナル作品の同人誌は、濃縮された魅力にあふれていると感じます。連載を通して、皆さまそれぞれがお気に入りの同人誌を見つけることができましたら幸いです。
「アトリエココ クラフトワークス」A4 100ページ 表紙・本文カラー
「サウスクラフト」A5 20ページ 表紙・本文カラー
著者:cocoro
紙に描かれたものを切り、立体に起こした飛び出るポップアップ作品、よくお誕生日やクリスマスカードで見かけますね。こちらの作品集「アトリエココ クラフトワークス」には、一目見るなり「細かい! カラフル! ファンタジー!」と、きらきらした世界にぐぐっと引きこまれる大作が、たくさんの写真で紹介されています。
作者さんがこれまでに制作されたポップアップ作品を1冊にまとめたもので、カードになっている作品もあれば、もっともっと大きなものもあります。ただの平面にすぎない一枚の紙が、カットされ、組み立てられると、それは木になり、人になり……。雲の中を列車が走る街や、星と戯れる女の子といったファンタジックな世界が立体となって表現されているのが、写真でも迫力を持って伝わってきます。
細かく細かくカットされ、複雑に組み立てられたように見える世界……。この本では、その作り方まで載っていて思わず「そこも見せてもらえるんですか!?」と思ってしまうほどサービス満点。作品をしっかり見られる大きな写真と、短く添えられた世界観を楽しめるストーリー、実際の制作過程や、独特の色使いについてなど創作への思いが込められた文章が、バランス良く一冊に詰められています。全ての作り方が網羅されているわけではありません。でも時々(でもしっかりと)「作品を収めるボックスは、軽く加工しやすい『バルサ材』を使用」といったミニ情報が挟み込まれることで、むしろ「表からでは分からない、裏側を知ってしまった!」と何だかお得な気持ちになります。
この華麗で繊細な作品を支えているのは、細やかな技法だけではありません。作品にはそれぞれ「中央都市-セントラル-」といったタイトルに「ここは遊園地の街。何気ない日常でさえアトラクションの連続」と、解説が添えられています。そこはどこなのか? どんな人が住んでいるのか? 一つ一つにストーリーがあるのです。
例えば「サウスクラフト」という街は、何とその街の場所やそこに住む人々について、ちゃんとまとめられて1冊の解説本になっているんです! 灯りには“ルミネ-クリスタル”というエネルギー源が使われていることや、通信手段に電話があること、そして通貨は“アーメル”……あああー! これ! ファンタジー世界なのに、「100アーメルあれば食パン1斤が買えるくらいの価値がある」と日常のことまで細かく設定してあるのが、たまらなくわくわくをかき立ててくれます!
アトリエココさんの通販サイトには、工作キットをはじめ、ジグソーパズルやポップアップカード、マスキングテープなど、作品の世界観を200%満喫できるさまざまなアイテムが販売されています。ダウンロード可能な無料のお試しキットも用意されていますので、すてきな作品にうっとりと浸り、自分でも作ってみたいと思った人、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
サークル名:ATELIER COCO -アトリエココ-
Webサイト:http://atelier-coco.com
Twitter:@atelier_coco
参加予定イベント:11月21〜22日開催の「デザインフェスタ42」(H-1)、その他参加イベントはWebサイトで告知中
シャッツキステのTwitterから、週ごとに気になる写真をお届け。シャッツキステのハロウィンは3年に一度くらいのペースでメイドがゾンビになってしまうことがあるのですが、今年のハロウィンはメイドたちが力を出し合ってハロウィンパーティーを計画したのでした! 特別なお菓子やお飲み物をご用意したり……大がかりではないですが、おだやかながらにぎやかなハロウィンになりました。
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