砂糖じょうゆ味のせんべいとして30年近く愛されている亀田製菓の「おばあちゃんのぽたぽた焼」。昔からパッケージには、おばあちゃんが手焼きするせんべいに砂糖しょうゆを塗るイラストが描かれていました。このおばあちゃんが現在では既成品のおせんべいを食べる姿に変わっているというツイートが、約1万4000回リツイートされるなど反響を呼んでいます。
公式サイトで確認したところ、ツイートの通りおばあちゃんには変化が。発売の1986年から約20年は、細部を変えながらも火鉢でせんべいを焼く姿が描かれ続けていました。2004年になると一新。おばあちゃんは両手で湯のみを持ち、火鉢は脇に置かれてしまいます。そして2011年にはとうとう火鉢が消え失せ、おばあちゃんが既成のせんべいを袋から取り出す現在のデザインに。あの自家製精神はどこに行ったんだ、おばあちゃん……!
おばあちゃんに何が起こったのか。亀田製菓の広報担当者に聞いてみたところ、社会の生活様式の変化にともなうデザイン変更だったそう。
もともとイラストは購入者にとって身近なおばあちゃんの姿をイメージしたもの。発売当初は世間のおばあちゃん像として火鉢を扱う姿が思い描けました。現代では火鉢そのものが身近に感じられない物。そのため2004年にはおばあちゃんを目立たせるよう火鉢を陰に配し、2011年ではせんべいを食べたりするだけのものに一新しました。
現在おばあちゃんは4種類存在し、1.せんべいを袋から出す、2.せんべいを食べる、3.(食べ終え)口をハンカチでふく、4.お茶を飲もうとする、というストーリー仕立てに。また2011年はパッケージとともに味も改良。現代の好みに合わせて甘さを抑え、食感もサクサクしたものに仕上げました。前年対比で売り上げは上昇し、発売3カ月間で商品の初購入者が増えたことから、リニューアルは好評だったと亀田製菓は受け止めています。
あの手焼きしていたデザインは、今となっては「ぽたぽた焼」シリーズ全商品どのパッケージにも描かれていないとのこと。焼かなくなってしまった様子にTwitterでは「なんか切ない話だなあ」「時代の流れでしょうか……」と寂しがる声が多く上がっていました。現在のおばあちゃんの姿しか知らない人に会ったときは、昔は砂糖じょうゆをぽたぽた付けながら焼いていたことを、知恵袋として教えてあげたいです。
(黒木貴啓)
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